モーパッサン全集より
難破船(1)
L' épave
—————————【1】——————————————
C' était hier, 31 décembre.
Je venais de déjeuner avec mon vieil ami Geor-
ges Garin. Le domestique lui apporta une lettre
couverte de cachets et de timbres étrangers.
Georges me dit:
——Tu permets ?
——Certainement.
—————————(訳)————————————————
12月31日、昨日のことである.
私は旧友のジョルジュ・ガランと昼食を終えたばかり
であった. 使用人が封印と外国切手のたくさんついた
1通の手紙を友人にもってきたのです.
ジョルジュが私に言いました:
「君、失敬していいかい?」
「もちろんいいさ」
—————————⦅語句⦆————————————————
épave:[エパーヴ](f) 漂流物、漂着物、
les épaves d'un naufrage / 難破船の漂流物;
タイトルは定訳に従って難破船としたが、難破は
naufragé、難破船はnavire naufragé である.
vieil ami:旧友;vieil は「昔からの」の意.
尚、「年老いた友人」と言いたい場合は
un ami vieux と形容詞は後方に置く.
domestique:[ドメスティック](名) 召使い、使用人
couverte:(p.passé) < couvrir (他) 覆う、包む
cachet:[カシェ](m) 封印
timbre:(m) 郵便切手
étranger(ère):(形) 外国の
permets:(直現2単) permettre (他) 許す、許可する
ここでは手紙をこの場で読んでもいいかい?
といっています.
certainement:(副) ①確実に、たしかに、❷もちろん
これはtu permets に対する許可の返答.
「読んでもいいですよ」
友人とふたりでいるときは、手紙はあとで読む
というのが相手を無視しないための最低限の
マナーですが親しい場合は別なのでこういう
許可表現になります.
—————————《ひとこと》—————————————————
「私は」で始めましたが、実はje を「ぼくは」にしよう
かと迷いました.結論は、現段階では、この語り手が男
性である保証がないので、男女共通の「私は」で訳しま
した.
それと「使用人」domestiqueですが、公式呼称は
employé de maison です.
——————————≪学習書≫ —————————————————
1:テキスト:17 - La petite Roque et 9 autres histoires
に収められている“ L' épave”
2:参考翻訳書:「難破船」(モーパッサン全集11より)
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