その日、オレは会議で本社へ出掛けることになった。
支店の人間は、本社の人間から見ると田舎の人間、或いは山猿としか見られず、会議でもケチョンケチョンにやられて、オレは打ちひしがれて帰路についた。
むしゃくしゃして気分が悪く、人との触れ合いとか人の優しさが欲しかった。
帰りの電車は、気分直しに思い切り奮発して「JTR」に乗った。略せば「ニッポンタバコレイルロード」である。タバコの値上げでボロ儲けしたJTが、事故や不祥事で潰れかかった鉄道会社を乗っ取ったのだ。
この電車は、8両編成のうち6両が喫煙車両、2両が禁煙車両である。
喫煙車両は全席指定でガラガラに空いているが、禁煙車両は自由席なのでいつでも超満員だ。座席などはハナから付いておらず、オールスタンディングである。貧乏人が乗る車両と言う位置付けである。
一方、指定席といえば豪華で清潔で灰皿もピカピカだ。TVが付いておしぼりも付くし、マッサージを呼ぶことも出来る。しかし、指定席の料金は最低10,000円からだ。
内、税金は9,650円ぐらいだ。オレは、それにオプション価格の5,000円を払うことにした。そうすれば、客室乗務員のサービスが受けられるからだ。
可愛いメイド姿の客室乗務員が、「お帰りなさい、旦那様~♪」と迎えてくれるのだ。そして、オレの蒸れて臭くなった靴を脱がせ、優しく靴下を脱がせてくれて温かいお絞りでゆっくりと足の指1本1本丁寧に拭いてくれるのだ。
そこで、気分がエスカレートしてしまったら、裏メニューということになるが、それはエロくなるので言わないでおこう。ただし、金次第、納税額次第である。
「旦那様、いやん。○○を○○なさりたいのですか?もう~いやらしいったら。でしたら○○は10,000円ですわ。それに税金が10,000円ですけど。」
税金さえ払えば何をしても違法行為ではないのである。
タバコは車内で買える。一箱10,000円から15,000円くらいだ。
オレは迷わずメンソールタバコと缶ビールを買った。しめて30,000円である。内、税金は29,800円ぐらいであろう。
だが、オレはタバコは吸わないのでそのままカバンにしまい、ビールだけを飲んだ。高額のタバコ税やビール税などを払うことが出来る人間だけが優遇され、サービスを享受できる社会の仕組みなのだ。
オレはこんな贅沢の出来る身分ではない。だが、ヤケのヤンパチという、死語であっても使いたくなる気分だったのだ。
当然、現金など持ち合わせているわけがなく、カードが使える。ちなみに、カードの明細を見てみれば、いつも物を買った価格より、消費税やらサービス税が数倍の金額になっている。これがステータスなのである。たくさん税金を払えばエライ人と言われるのだ。
だが、とにかく明日からは当分、元の貧民に戻らなくてはならない。
政府の「乾いた雑巾をさらに絞れ」政策による大増税に次ぐ大増税で、貧民は反抗する気力すらなくなった。
自然と社会照準は金を持っている裕福層に合わせるようになり、金持ちはますますエライ人になっていった。
総理大臣が、「う~~ん、格差社会?ん~、結構じゃないですか、ねえ~。」とのたまい、株やギャンブルや会社転がしの虚業で儲けた、「金で何でも買える」ことを疑わない2~30代の若者たちがニッポンを動かす原動力になると祭り上げ、今ではそんな彼らが相次いで政治の世界を金で動かし自民党まで買取ってしまったので、汗かいて物を作るオヤジ世代の議員は完全に排斥されてしまった。
高額納税で、つかの間の王様気分を味わったオレは、空しい気分で家に帰り、インスタントラーメンに刻みネギを乗せただけの晩飯を食い、電気代をケチって早めに寝ることにした。
支店の人間は、本社の人間から見ると田舎の人間、或いは山猿としか見られず、会議でもケチョンケチョンにやられて、オレは打ちひしがれて帰路についた。
むしゃくしゃして気分が悪く、人との触れ合いとか人の優しさが欲しかった。
帰りの電車は、気分直しに思い切り奮発して「JTR」に乗った。略せば「ニッポンタバコレイルロード」である。タバコの値上げでボロ儲けしたJTが、事故や不祥事で潰れかかった鉄道会社を乗っ取ったのだ。
この電車は、8両編成のうち6両が喫煙車両、2両が禁煙車両である。
喫煙車両は全席指定でガラガラに空いているが、禁煙車両は自由席なのでいつでも超満員だ。座席などはハナから付いておらず、オールスタンディングである。貧乏人が乗る車両と言う位置付けである。
一方、指定席といえば豪華で清潔で灰皿もピカピカだ。TVが付いておしぼりも付くし、マッサージを呼ぶことも出来る。しかし、指定席の料金は最低10,000円からだ。
内、税金は9,650円ぐらいだ。オレは、それにオプション価格の5,000円を払うことにした。そうすれば、客室乗務員のサービスが受けられるからだ。
可愛いメイド姿の客室乗務員が、「お帰りなさい、旦那様~♪」と迎えてくれるのだ。そして、オレの蒸れて臭くなった靴を脱がせ、優しく靴下を脱がせてくれて温かいお絞りでゆっくりと足の指1本1本丁寧に拭いてくれるのだ。
そこで、気分がエスカレートしてしまったら、裏メニューということになるが、それはエロくなるので言わないでおこう。ただし、金次第、納税額次第である。
「旦那様、いやん。○○を○○なさりたいのですか?もう~いやらしいったら。でしたら○○は10,000円ですわ。それに税金が10,000円ですけど。」
税金さえ払えば何をしても違法行為ではないのである。
タバコは車内で買える。一箱10,000円から15,000円くらいだ。
オレは迷わずメンソールタバコと缶ビールを買った。しめて30,000円である。内、税金は29,800円ぐらいであろう。
だが、オレはタバコは吸わないのでそのままカバンにしまい、ビールだけを飲んだ。高額のタバコ税やビール税などを払うことが出来る人間だけが優遇され、サービスを享受できる社会の仕組みなのだ。
オレはこんな贅沢の出来る身分ではない。だが、ヤケのヤンパチという、死語であっても使いたくなる気分だったのだ。
当然、現金など持ち合わせているわけがなく、カードが使える。ちなみに、カードの明細を見てみれば、いつも物を買った価格より、消費税やらサービス税が数倍の金額になっている。これがステータスなのである。たくさん税金を払えばエライ人と言われるのだ。
だが、とにかく明日からは当分、元の貧民に戻らなくてはならない。
政府の「乾いた雑巾をさらに絞れ」政策による大増税に次ぐ大増税で、貧民は反抗する気力すらなくなった。
自然と社会照準は金を持っている裕福層に合わせるようになり、金持ちはますますエライ人になっていった。
総理大臣が、「う~~ん、格差社会?ん~、結構じゃないですか、ねえ~。」とのたまい、株やギャンブルや会社転がしの虚業で儲けた、「金で何でも買える」ことを疑わない2~30代の若者たちがニッポンを動かす原動力になると祭り上げ、今ではそんな彼らが相次いで政治の世界を金で動かし自民党まで買取ってしまったので、汗かいて物を作るオヤジ世代の議員は完全に排斥されてしまった。
高額納税で、つかの間の王様気分を味わったオレは、空しい気分で家に帰り、インスタントラーメンに刻みネギを乗せただけの晩飯を食い、電気代をケチって早めに寝ることにした。