僕のよく行くトンカツ屋のおやじは、
いつも営業中、テレビのバラエティ番組をつけっ放しにして
トンカツを揚げながらテレビをチラ見して鼻で笑ったりしている。
トンカツ屋のおやじにもいろいろなタイプがいる。
駅前のちょっと高級なトンカツ屋のおやじはゴルフが趣味らしく、
客とゴルフのスイングの話をしたりしてブルジョア感をただよわせている。
また、
以前よく行っていた店のおやじもまたブルジョア感のある人で、
自分が観てきたオペラの話題や世界情勢の話を得意げに語っていた。
お客さんも、その話を楽しんで聞いているようだった。
プロ野球選手も家族連れで来るような店だったから、
「セレブな店」と言ってもいいかも知れない。
だけど僕は、ブルジョア感はどうも苦手だ。
僕はゴルフをしたことがないし、オペラも興味はない。
世界情勢や政治の話にもはっきり言って疎い。
だから今の店に落ち着いたのだと思う。
いま常連の店はあまり綺麗な店構えじゃない。
禁煙でもないしカウンターの下の雑誌もそうとう昔の号が置いてある。
要するにチープな店だ。
おやじも庶民の代表のような人だ。
でもウチの近くでは、その店が一番お客さんが入っている。
高級感やブルジョア感は、トンカツ屋には必要ないのだと僕は思う。
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