★星空日記コリメート風goo★

星や旅などの話題を「ひらい」が札幌から発信。2010年開設。2022年7月にteacupからgooへ引越しました。

2023年版天文年鑑でようやく連星データが直されました

2022-12-15 06:00:00 | 重星・連星
 誠文堂新光社が毎年発行している天文年鑑にはその年の天文情報が満載され、私には大切な情報源のひとつです。

 ただ、稀に酷い間違いがあるので要注意なのですが、重星・連星を良く見る私にとって以前から些細な誤りが気になっていました。

 それは、「連星」の一覧表にあるADS番号8954という星名の明らかな誤植です。
 1994年版までは正しくβ932と表記されていましたが、1995年版からβ632と誤植され20年以上も誤植が続いていました。
 他の文献などを見て私が天文年鑑の誤植に気がついたのは、2010年ごろです。

 2010年ごろに発行元の誠文堂新光社天文ガイド編集部へ電子メールでお知らせしましたが、何の反応も訂正もなく現在に至っていました。

 ところが、「連星」の執筆者が2016年から国立天文台のSさんに変わっていたことを2022年になってから知りました。
 誤植ではないかという情報を本来であれば誠文堂新光社を通すべきでしょうが、過去の体験から期待できないと思い、非礼を顧みず私から直接Sさんに誤植ではないですかとの連絡を2022年2月に差し上げました。
 Sさんからすぐに返信があり、2023年版から訂正する旨の丁寧な返信がありました。


 左は私が初めて買った1967年版。120ページ250円。1967年以降、毎年継続購入し活用しています。
 右は2022年11月に発行された2023年版天文年鑑。383ページ1200円+消費税10%。「連星」の193ページを見たところ、β932に直されていました。
 些細なことですが、私にとっては毎年気になっていた誤植が直ってメデタシメデタシです。

 なお、以前に誤植だと私が判断したことを2015年3月のブログ記事 【 おとめ座γ星ポリマ 】に書いてあります。

 2015年10月のブログ記事 【 二重星β648 】に書いた2015年版のβ648という二重星データの誤りも、2016年版には正しいデータに直されています。
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青空に浮かぶプルケリマ

2022-07-29 06:00:00 | 重星・連星
 7月25日(月)の札幌は、昼過ぎから抜けるような青空が広がりました。


 16時過ぎに屋上の開閉式屋根を開け、望遠鏡を南中1時間前の1等星アークトゥールスに目盛環を使って向けてみると、視野内にとても良く見えています。

 透明度が良好なことから、アークトゥールスのすぐ近くにある「うしかい座ε(イプシロン)星」を目盛環を使い導入してみました。
 この星は、愛称を「プルケリマ(Pulcherrima))」といい、天文マニアには有名な二重星(連星)です。

 口径15cm屈折に165倍を使い眼視確認すると、2.5等級の主星の北側に2.9秒角離れた4.8等級の伴星がチョコンと光っているのが明瞭に確認できました。(連星の光度と離角の値はSkySafariのデータ)
 スカイグローフィルターと適切な倍率、そして何よりも青空の透明度の高さが伴星の確認を容易にしてくれたと思います。


 口径15cm屈折望遠鏡にスマホを使い、XW10mm接眼鏡でコリメート撮影した1枚画像のプルケリマです。
 日没の2時間07分前、高度68度のプルケリマで、北を上にして掲載しました。
 少し赤経方向へブレてしまいましたが、主星を取り巻くディフラクションリングも淡く写っているようです。

 眼視では明瞭に見えた伴星ですが、スマホのお手軽撮影だとこの程度しか写せないのは仕方ないですね。

 これまで夜間には何回も見てきたプルケリマですが、日没2時間前の青空に浮かぶプルケリマの伴星まで見たのは初体験です。嬉しいなー。

 なお、夜の暗い空で撮影したプルケリマについては 【 2022年4月21日のブログ記事 】をご覧ください。
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プルケリマをスマホで撮影

2022-04-21 06:00:00 | 重星・連星
 プルケリマ( Pulcherrima )とは「最も美しいもの」という意味のラテン語で、うしかい座の有名な二重星の名称です。

 しかし、有名な二重星とはいえ、主星と伴星の等級差が2等級ほどあり近接していることから、口径6cm以上の望遠鏡を使い100倍以上の倍率でないと分離が難しいですし、大気の揺れが穏やかで、ある程度の口径の大きさがないと、その美しさが十分に感じられないようです。



 4月17日(日)の夜は大気の揺れが比較的少なめで、著名な二重星を観望。

 口径15cm屈折望遠鏡を使い200倍で見るプルケリマは綺麗に分離。色の対比も見事でした。

 iP220418
 スマホで撮影したプルケリマです。
 10枚ほどマニュアル撮影した静止画のうち、大気の揺れの影響が最も少ない画像を1枚選び、北を上にして掲載。

 主星は金色、伴星は水色っぽく見えました。
 主星の周囲に4重ほど見えるジフラクションリングがキラキラと輝き、一部が画像に写っています。
 画像よりも眼視で見るプルケリマのほうが遥かに綺麗です。

 SkySafari というアプリケーションのデータによれば、主星は2.5等級、伴星は4.8等級、離角は2.9秒角です。

 iP220415
 撮影の様子です。
 自作のスマホ用コリメートアダプターを使い撮影しました。

 最近のスマホは内蔵カメラが高性能です。
 スマホ用のコリメート用アダプターも市販されていて、マニュアル撮影できるスマホであれば、明るい二重星を簡単に写せる時代になりました。
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リゲルの伴星をスマホで撮影

2022-02-16 06:00:00 | 重星・連星
 リゲルというのは、オリオン座のβ(ベータ)星のことで1等星です。

 リゲルは二重星としても知られ、Sky safari 6 というアプリによると主星は+0.28等級、伴星は+6.80等級、離角は9.4秒角です。(私が実際に見た感じでは伴星が8等級のように思えますけど)

 私のスマホはマニュアル撮影が可能で、リゲルの伴星が写せるか試してみました。

 s220214
 リゲルの伴星がスマホでも写せました。眩しい主星の右下にちょこっと写っているのが伴星です。眼視のほうがより明確に綺麗に見えます。画像は北を上にして掲載。
 撮影データは、露出2秒、絞りF2.0、感度ISO100、口径40cmF10反射望遠鏡にXW10mm接眼鏡を使い、2022年2月14日18時43分にコリメート撮影。

 なお、コリメート撮影というのは、望遠鏡の接眼鏡を覗く眼の代わりにスマホを接眼鏡に当てがい撮影する方法のことです。

 手ブレを防ぎ、接眼鏡とスマホの撮影レンズの中心合わせをするために、自作のコリメートアダプターを使いました。

 iP220215
 自作したコリメート用のアダプターにスマホをはめ込み、接眼鏡の見口にネジ込んで使います。

 iP220213
 アダプターを使いスマホで金星を撮影している様子です。

 マニュアル撮影可能なスマホとアダプターの活用で、いつも簡単に天体撮影できるようになりました。
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ミザールとアルコル

2021-07-10 06:00:00 | 重星・連星
 北斗七星を形作る6番目の2等星はミザールという名前で呼ばれています。

 夜空が暗い場所でミザールを注意深く裸眼で観察すると、4等星がくっつくように光っているのがわかります。この4等星はアルコルという名前で呼ばれています。

 このミザールとアルコルを望遠鏡で拡大撮影してみました。まだ薄明中の撮影で薄雲もありました。

 91420416
 やや暗い左がアルコルで、明るい右がミザール。両者の角距離は約12分角=0.2度です。

 ミザールは、2.2等級のミザールAと3.9等級のミザールBに分離します。角距離は約14秒で口径6cmクラスの望遠鏡で分離します。

 撮影データです。
 口径15cmF7.3屈折、ED1.5×エクステンダー、XW20mm接眼鏡、コンデジLX7によるコリメート撮影。露出2秒、感度ISO1600、合成焦点距離7400mm相当。2021年7月9日20時13分、北を上にして掲載。



 ミザールAもミザールBもそれぞれが角距離0.8秒角の連星、アルコルも角距離が1.0秒角の連星という不確かな情報があったことから、口径15cm屈折330倍で注意深く観察しました。

 残念ながら、大気の揺れが大きく薄雲だったせいか分離して見えませんでした。
 次回、条件がいいときに再挑戦してみます。
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