1965年(昭和40年)、私が小学校6年生のとき、新天文学通論という1200円の書籍を買いました。
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巻頭言に著者が「高等学校卒業を目安とした」と書いてあり、小学生の私には難解でしたがどうしても天文のことを知りたかったのです。
お小遣いとお年玉を貯め、ようやく買うことができました。
その本の中に書いてある、SIN、COS、TANというのは三角関数のことだと他の本で独学したのですが、望遠鏡で見える恒星の極限等級を表す公式に「log」というものが書いてあり、その意味がどうしても分かリません。
中学校に入学し、数学担当のN先生に「エルオージーって何でしょうか?」と聞いたら、ニヤニヤ笑いながら「高校生になったら習うから」と言って教えてくれませんでした。
一念発起し自力で調べると、「log」というのはスコットランドの貴族で数学者、物理学者、天文学者のジョン・ネイピア(1550-1617)が提唱した「対数」という概念だということがわかりました。
なお、ネイピアは小数点の発案者でもあり、「ネイピアの公式」という球面三角法の基本公式を発見しています。球面三角法というのは、当時の遠洋航海に必要な天文学(船の測位)を支える数学のことです。
安全な航海には膨大な掛け算と割り算を短時間で行う必要があります。ネイピアは膨大な計算量の劇的な軽減を図って考案したのが「対数」です。
先人の偉大な知恵に尊敬の念を覚えました。
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高校1年生のときに使った数学の教科書です。53年の時の経過で紙が変色しています。
簡単に書くと、掛け算は足し算に、割り算は引き算で計算できるのが対数の大きな特徴です。計算尺はこの対数の原理を応用したものです。
当時、私が使った対数表です。
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左は兄からもらった「中学数学公式集」。奥付けを見ると初版は1959年で、1966年28版、定価70円の記述があります。4桁の対数表が付録で付いていました。(昔は中学校で対数を学んだのでしょうか?)
右は天文計算を行うために1970年に130円で購入した5桁対数表で、三角関数の5桁対数表も掲載されています。
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高校1年生のとき、星座早見盤を自作しようと、札幌市における水平線を星図上に描くため、水平線の位置を球面三角法を使い対数三角表を引きながら計算したノートです。
厚紙で作り始めた星座早見盤は、300個ほどの恒星位置を厚紙上へ正確に描く根気が続かず、途中で挫折。
1973年に札幌市天文台でアルバイトをしていた際、11月14日午前2時ごろに起きる土星食(月の裏側に土星が隠れる現象)が予報されていましたが、札幌での詳細な予報はありません。
視差計算の練習になると考え、英国暦(The Nautical Almanac 1973)を購入し、月と土星の視位置を補間法で求め、月と土星の視差計算を新たに購入した6桁の対数三角関数表を引きながら札幌での予報計算をしました。
天文台に来客があった場合の応対以外は、対数計算に没頭できたので1週間ほどで計算が完了しました。
その予報計算通りになるか、土星食を口径20cmF8反射望遠鏡で見たのも懐かしい思い出です。
ところで、自分用の星座早見盤を作ろうとした経験は、1981年に札幌市青少年科学館で市販用の星座早見盤を作る際に役立ちました。
この頃はパソコンが一般的になり、恒星位置や水平線枠をプログラム計算しXYプロッターで出力できたので、短時間で原盤を作ることができました。
この星座早見盤を作るときのことは、ブログ記事 【 星座早見盤の思い出 】として書いています。
なお、2022年現在、札幌市青少年科学館で販売されている星座早見盤は、私が手がけたものと全く異なる別物です。
2017年ごろに改訂された星座早見盤をお借りし調べてみると、恒星原盤の縮尺と水平枠線の縮尺率が不一致なほか、恒星位置のトレース誤差なども大きいことに驚きました。
改訂した際の関係者にそれとなくお聞きしたところ、驚くような作り方をしていたことが判明。
2017年以前は、札幌市青少年科学館の星座早見盤を私が定価で数百枚を買い取り、私が北海道各地で講師を務めた星空講習会で購入を希望する受講者さんに儲けなしの定価でお譲りしていましたが、改訂後の星座早見盤はとてもお勧めはできないと判断し、買い取りは止めました。
星座早見盤を買い取りした事情は 【 2015年11月4日のブログ記事 】に詳しく書いています。
とても残念な改訂でした。
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巻頭言に著者が「高等学校卒業を目安とした」と書いてあり、小学生の私には難解でしたがどうしても天文のことを知りたかったのです。
お小遣いとお年玉を貯め、ようやく買うことができました。
その本の中に書いてある、SIN、COS、TANというのは三角関数のことだと他の本で独学したのですが、望遠鏡で見える恒星の極限等級を表す公式に「log」というものが書いてあり、その意味がどうしても分かリません。
中学校に入学し、数学担当のN先生に「エルオージーって何でしょうか?」と聞いたら、ニヤニヤ笑いながら「高校生になったら習うから」と言って教えてくれませんでした。
一念発起し自力で調べると、「log」というのはスコットランドの貴族で数学者、物理学者、天文学者のジョン・ネイピア(1550-1617)が提唱した「対数」という概念だということがわかりました。
なお、ネイピアは小数点の発案者でもあり、「ネイピアの公式」という球面三角法の基本公式を発見しています。球面三角法というのは、当時の遠洋航海に必要な天文学(船の測位)を支える数学のことです。
安全な航海には膨大な掛け算と割り算を短時間で行う必要があります。ネイピアは膨大な計算量の劇的な軽減を図って考案したのが「対数」です。
先人の偉大な知恵に尊敬の念を覚えました。
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高校1年生のときに使った数学の教科書です。53年の時の経過で紙が変色しています。
簡単に書くと、掛け算は足し算に、割り算は引き算で計算できるのが対数の大きな特徴です。計算尺はこの対数の原理を応用したものです。
当時、私が使った対数表です。
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左は兄からもらった「中学数学公式集」。奥付けを見ると初版は1959年で、1966年28版、定価70円の記述があります。4桁の対数表が付録で付いていました。(昔は中学校で対数を学んだのでしょうか?)
右は天文計算を行うために1970年に130円で購入した5桁対数表で、三角関数の5桁対数表も掲載されています。
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高校1年生のとき、星座早見盤を自作しようと、札幌市における水平線を星図上に描くため、水平線の位置を球面三角法を使い対数三角表を引きながら計算したノートです。
厚紙で作り始めた星座早見盤は、300個ほどの恒星位置を厚紙上へ正確に描く根気が続かず、途中で挫折。
1973年に札幌市天文台でアルバイトをしていた際、11月14日午前2時ごろに起きる土星食(月の裏側に土星が隠れる現象)が予報されていましたが、札幌での詳細な予報はありません。
視差計算の練習になると考え、英国暦(The Nautical Almanac 1973)を購入し、月と土星の視位置を補間法で求め、月と土星の視差計算を新たに購入した6桁の対数三角関数表を引きながら札幌での予報計算をしました。
天文台に来客があった場合の応対以外は、対数計算に没頭できたので1週間ほどで計算が完了しました。
その予報計算通りになるか、土星食を口径20cmF8反射望遠鏡で見たのも懐かしい思い出です。
ところで、自分用の星座早見盤を作ろうとした経験は、1981年に札幌市青少年科学館で市販用の星座早見盤を作る際に役立ちました。
この頃はパソコンが一般的になり、恒星位置や水平線枠をプログラム計算しXYプロッターで出力できたので、短時間で原盤を作ることができました。
この星座早見盤を作るときのことは、ブログ記事 【 星座早見盤の思い出 】として書いています。
なお、2022年現在、札幌市青少年科学館で販売されている星座早見盤は、私が手がけたものと全く異なる別物です。
2017年ごろに改訂された星座早見盤をお借りし調べてみると、恒星原盤の縮尺と水平枠線の縮尺率が不一致なほか、恒星位置のトレース誤差なども大きいことに驚きました。
改訂した際の関係者にそれとなくお聞きしたところ、驚くような作り方をしていたことが判明。
2017年以前は、札幌市青少年科学館の星座早見盤を私が定価で数百枚を買い取り、私が北海道各地で講師を務めた星空講習会で購入を希望する受講者さんに儲けなしの定価でお譲りしていましたが、改訂後の星座早見盤はとてもお勧めはできないと判断し、買い取りは止めました。
星座早見盤を買い取りした事情は 【 2015年11月4日のブログ記事 】に詳しく書いています。
とても残念な改訂でした。