★星空日記コリメート風goo★

星や旅などの話題を「ひらい」が札幌から発信。2010年開設。2022年7月にteacupからgooへ引越しました。

50年前の土星食

2023-11-14 02:30:00 | 天体の記事
 今から50年前の1973年11月14日(水)の未明、北海道の北部で土星食が見られました。土星食というのは、地球から見て月の裏側に土星が隠される現象のことです。

 残念ながら、私が住んでいた札幌市東区では、土星は月の南端ギリギリを通過し土星食になりません。
 1973年版の天文年鑑で事前にそのことを知っていたため、札幌市から北側に30kmほど離れた厚田村(現在は石狩市厚田)では土星食になると推測し、北緯43度24分・東経141度26分の地点の食予報を自分で計算することにしました。

 まず、準備段階として洋書を取り扱う札幌丸善に依頼し、天体暦「Nautical Almanac and Astronomical Ephemeris for the year 1973(1973年版英国暦) 」を取り寄せました。
 
 天体暦には、土星の精密位置が1日おき、月は1時間おきの赤経赤緯の精密位置が出ています。これをガウスの補間公式を使った補間法で1分おきの精密位置を求めました。(補完法ではなく補間法です)


 補間計算や視差計算の参考にした書籍は1970年に購入した「数理天文学」(恒星社厚生閣 渡辺敏夫著)です。土星食があった1973年当時だと、四則演算の電卓も高価で三角関数電卓などない時代です。掛け算が足し算になる「対数」を使った三角関数表を引きながらの計算でした。

 札幌市天文台と厚田村での2通りの計算を1週間ほどで終え、作図してみました。


 その当時、札幌市天文台で臨時職員をしていたことから、まず札幌市天文台でどのように見えるか南を上にして作図したものです。土星は月の南側ギリギリを通過し、土星食にはなりません。
 なお、札幌市天文台の緯度経度は当時の日本測地系の値です。2002年から世界測地系に切り替えられたことから現在の緯度経度とは僅かに数値が異なっています。もちろん、望遠鏡の設置位置は1958年の開設以来移動していません。(笑)

 残念ながら厚田村における作図が残っていないので、SkySafari という天文アプリで50年前の様子を再現してみました。

 これは、北緯43度24分・東経141度26分(現在の道の駅あいろーど厚田付近)の様子です。土星が半分ほど月の裏側に隠されました。
 当時は計算に数日かかったことが、現在では便利なアプリのお陰で瞬時にそして視覚的に教えてくれます。

 当時所有していた西村製口径20cmF8反射経緯台を厚田まで運び、視野に浮かぶ土星が計算した通りの隠されかたになったことに満足して帰宅しました。

 なお、このブログ記事の投稿日時は土星食中心時刻の2時30分に合わせ予約投稿しました。今から50年前の遠い記憶です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 干渉光を軽減するアポタイザ... | トップ | JR一日散歩きっぷで鉄分補充... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿