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「南極のペンギン」
高 倉 健 著
読んで思いました。
高倉健という俳優はスタイルもいいし
立ち振る舞いも素敵だし
一つ一つの動きが、かっこいいし、
表情などに、時代の雰囲気がある。
もちろん、作られたイメージですが
寡黙で、人生の重たさを黙って背負っている。
そんな役を演じていると
高倉健までそのような人物に見えてきます。
けっこう、そのように勘違いしているところがあります。
この本を書いている高倉健も同じイメージです。
高倉健が演じているのか
自分がそのように思い込んでいるのか知りません。
でも、自分が好きなのは
高倉健ではなく
高倉健が演じている人物であり
高倉健を通して、その人物に共感しているのですね。
だから、高倉健のファンなのです。
だから、演技している高倉健が好きになるこということは
虚構の人物を好きになっていることなのですね。
高倉健のプライベートな部分はまったく知られていませんし
週刊誌などにはのることはありません。
仕事のないときはポルトガルとか
海外で暮らしているそうです。
確かにコンビニで買い物をしたりすることも難しいでしょうし
ジムに行ったりしたら更衣室を覗かれたりもするでしょう。
居酒屋、クラブなどもそうですが、国内旅行もままならぬでしょう。
ということは、映画で演じる高倉健を本人と錯覚しているのですね。
高倉健は家では着流しで、背中に刺青しょっている。
そんな錯覚があるのです。
その本人の実像を知らないで
虚構と虚構の組み合わせで出来上がった
高倉健のファンになっているのです。
この「南極のペンギン」
生真面目で不器用な男が
鉛筆舐め舐め書いている。
そんな文章です。
ちっとも面白くない文章なのに
高倉健が書いているから
「いいなあ」と思ってしまうのです。