あきオジの風景

写真、そして、俳句(もどき)
毎日更新しています。

映画「愛を乞うひと」の話

2009-01-28 16:14:03 | 日記
神代植物園

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「愛を乞うひと」(平山秀幸監督・原田美枝子主演)
この映画をお奨めします。
いい映画ですよ。
母親とは何か
娘とは何か
そして愛するとは何か
そんなことを問いかける映画です。
舞台は戦後です。
戦後、厭世的な気分が漂っていた時代
誰でも自分に関心を示す男性であれば
くっつき
体を売りながら生活をするような女性
誰の子か分らない子を産みながら
台湾の人と結婚する。
愛することができなない女性は
夫にも邪険にする。
その夫が病気になる。
愛する人を失いたくない女性は
自分の娘を虐待する。
そして、夫は病死する。
主人公である娘は殴られても蹴られても母親から離れられない。
そして、愛しながら虐待し、母親を憎みながら離れならない
そんな親子であった。
女性は次々男を代える。
主人公は自分が働くようになったとき
主人公は給料袋を取り上げる母親の元を去る。
しかし、いつか主人公が母親になり
夫を失い
その娘が成長すると
自分とは何だろう
母親ってなんだろうと考え始め
いつしか父親探し
そして、母親探しを始める。
そんな母親の姿を見て
娘は父親探し
そして、次には、母親探しに協力する。
母親とその母親を大切にしてくれた
夫、その夫の死に場所を探し
郷里である台湾を巡る。
そんなことをしているうちに
田舎で再婚し
理髪店をほそぼそとやっている
母親と再会する。
お互いに母であること
娘であることを知りながら
名乗らない。
それでいいのだと
自分に言い聞かせる主人公を写しながら
映画は終わります。
夫婦とは何か
夫婦にとって娘とは何か
愛しながらも表現できない。
愛しながら虐待するしかできない女性
そんな問いかけをします。
次々と男を代え
体を売りながら生きることに疑問を持たない母親
そして、そんな母親を見ている子の葛藤
半端じゃない。
でも、それが生きる現実だと思えば
悲しい映画とも思えない。
一度は見ておくといいと思います。
よくこんな映画を作らせてもらえた思うし
評価したものだと思いました。
日本の映画ファンの底力を感じた映画でした。
説明が不器用でごめんなさい。
この映画で
「お前は強姦されてできた子だよ」
と母親が娘に怒鳴りつけるシーンがあります。
自分は祝福されて生まれたのではないと
知ったとき、人はどのような物語を準備するのだろうか
そんなことばかり考えていました。

       あきオジ



「喜びも悲しみも幾年月」

2009-01-28 07:30:35 | 日記
観音崎

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メール有難うございます。
「喜びも悲しみも幾年月」を文章の中で取り上げたら
懐かしく、そして思い出があったとか
共感する人がいて嬉しかったですね。
昭和二十年代に生まれた人には、映画と自分が重なりますね。
もう、あの映画を見たという人も少なくなりましたね。
戦後間もない頃
希望の与える映画でした。
私は静岡県のある地方都市の「銀星座」という映画館で見た記憶がありますが
でも、本当はどうか、確かではありません。
私は小学生でした。
貴兄は、この映画を、どこでご覧になりましたか
その見た場所も思い出の一つですね。
灯台守の映画と言われても
若い人は「灯台守」って、何だか分らないでしょうね。
各地にある灯台は
今は、遠隔操作で維持されていますが
昔は職員が常駐して管理していたのです。
ですから、燈台勤務者は所帯持ちは
人里はなれた場所で家族で暮らしたのです。
複数の勤務者がいたわけですから
燈台付近で燈台勤務者だけで
ひっそりと暮らしていたのですね。
ご苦労が多かったと思います。
この映画は、職員が各地を転々と転勤して歩く姿
子の成長を織り成してみせます。
もちろん時代の移り変わりを取り上げています。
辺地での生活の中で
精神的にまいってしまう職員の話
適切な医療を受けられない
子どもの反抗
戦時中の疎開者の生活などが絡まってきます。
庶民の生活など終われば、それなりの終わり方
そんな庶民の生活
そして、燈台守の人柄や誠実さが伝わってきますね。
職業人の営利を越えた使命感
そんなものが巷に溢れていた時代だったのですね。
この映画を繰り返し見て
涙し、そして、自分と自分の家族の成長を
重ねていたのです。
映画としてもよくできた映画ですし
「二十四の瞳」と重ねてみると
時代が分りますね。
木下恵介の代表作ではないでしょうか
美しい景色もさることながら
主題歌の力強さは励ましになりましたね。
考えてみれば
今の時代で言えば「海猿」の感動に近いですね。
人のためになる底辺で
生きる姿って、終わってみて尊さが分るのですね。
いろいろな感想を含めて御礼申し上げます。
このような映画を見たことは人生の宝物ですね。

            あきオジ