予選大会が始まる前、マイクはタカシの家に遊びに行った。
タカシの家は古い日本家屋。
出迎えたのはタカシの父だった。
タカシの隣に立つ外人の子供を見て、父は小さく呟く。
「米軍の子供か・・・」
マイクは仏壇に飾ってあるセピア色の古い写真に目が留まった。
バットを担いだユニホーム姿の青年が写っていた。
「だれ?」
「曾祖父さん、甲子園に出たときの写真だってさ、キャッチャーだったんだって」
「KOSHIEN?」
タカシは「甲子園」について話した。ついでにタカシの夢も。
「ところで、タカシの曾お祖父さんは、甲子園に出た後はどうしてたの?」
「よくわかんないけど、戦争で死んだらしいんだ」
奥の部屋にいる父に向かって尋ねた。
「ねぇ、何処で死んじゃったんだっけ、どっか島だったよね」
「硫黄島だ」
「そうそうイオウ島だった、けどさ、イオウ島ってどこにあんだろね」
奥の部屋では、タカシの父が預金通帳に目を落としていた。
毎月多額の金が引き出されている。
貯蓄が底をつこうとしていた。
「タカシ、お母さんはどこにいるの」
「長崎だよ、長崎の大きい病院で、お祖母ちゃんの看病をしてるんだ」
終戦間際、長崎市街の近郊にいたタカシの祖母は原爆を目撃していた。
祖母は長いこと癌を患っており原爆症が疑われていたのだった。
マイク達の戦いが始まった。
「SASEBO」は勝ち進み、憎き熊本のゴリン頭のチームを破り全国大会に駒を進めていった。
つづく
タカシの家は古い日本家屋。
出迎えたのはタカシの父だった。
タカシの隣に立つ外人の子供を見て、父は小さく呟く。
「米軍の子供か・・・」
マイクは仏壇に飾ってあるセピア色の古い写真に目が留まった。
バットを担いだユニホーム姿の青年が写っていた。
「だれ?」
「曾祖父さん、甲子園に出たときの写真だってさ、キャッチャーだったんだって」
「KOSHIEN?」
タカシは「甲子園」について話した。ついでにタカシの夢も。
「ところで、タカシの曾お祖父さんは、甲子園に出た後はどうしてたの?」
「よくわかんないけど、戦争で死んだらしいんだ」
奥の部屋にいる父に向かって尋ねた。
「ねぇ、何処で死んじゃったんだっけ、どっか島だったよね」
「硫黄島だ」
「そうそうイオウ島だった、けどさ、イオウ島ってどこにあんだろね」
奥の部屋では、タカシの父が預金通帳に目を落としていた。
毎月多額の金が引き出されている。
貯蓄が底をつこうとしていた。
「タカシ、お母さんはどこにいるの」
「長崎だよ、長崎の大きい病院で、お祖母ちゃんの看病をしてるんだ」
終戦間際、長崎市街の近郊にいたタカシの祖母は原爆を目撃していた。
祖母は長いこと癌を患っており原爆症が疑われていたのだった。
マイク達の戦いが始まった。
「SASEBO」は勝ち進み、憎き熊本のゴリン頭のチームを破り全国大会に駒を進めていった。
つづく