一昨晩、ふと南の空を見上げると星たちが静かに輝いておりました。などと柄にもないことを漏らしています。ギリシャ神話にでてくる、オリオン座とさそり座の話でもしましょう。オリオンは日ごろから、粗暴で行状も悪く、何かにつけて自分の力を誇示するため、他の神々から嫌われていました。ある時、オリオンが「この世で、俺以上に強い動物など存在しない」と、高言したため、ゼウスの妻であるヘラの怒りを買ってしまいます。そして、ヘラは、オリオンが通る道に猛毒を持つさそりを放って待ち伏せさせ、息の根を止めてしまいました。さそりは、オリオンを倒した功績をヘラに認められ、星座として天に上げられます。後に、オリオンも星座となりますが、さそりが大の苦手なため、決して同じ時期に天に上がろうとはしません。実際の空でも、さそり座は夏の、オリオン座は冬の星座として知られることからもわかります。東の空からさそり座が出てくるとオリオン座はそそくさと西の空に沈み、さそり座が西に沈むころようやく東の空から上がってきます。