折々スケッチ

小さなスケッチブックやハガキに水彩と鉛筆ペン等で描いた絵を中心に、感じたこと等日記代わりに添えています。

足りない物

2019年11月27日 | 
   「鉢植えのサルスベリの紅葉」



時々電話をかけてきて長話をする友人がいます。
「会えなくても電話でいつでも昔に戻っておしゃべりできるっていいよね」と彼女。
私は「会って話したら私はこんなふうに聴き取れないからね。電話が有り難いの」
固定電話をスピーカーホンにして補聴器をすれば普通に話せますが、対面では彼女の声はかなり聴こえ
ないはず。「聞こえるって凄い事なんだよ」と言うと「考えたこともなかった」って。

私が旅行に行きたいと言うと「街中で暮らして自然がないからでしょう。田舎に暮らしなさいよ」と。
「そうかもしれないけど今さら田舎暮らしはできっこない」
彼女は郊外の水田に囲まれた地域で猫と犬と畑仕事が趣味のご主人と暮らしている。
「どこにも行かなくても周りの自然を見ているだけで幸せよ」
「それはいいけど・・・そうかなぁ?」と私は思ってしまう。
それよりも前向きな気持ちをなくしているのではないかと心配になって来るのです。

今月末から彼女の街の近くで開かれる展覧会へ一緒に行く約束をしました。
「会うのは何年振りかしらね。白髪頭にビックリしないでね」と言うと
「いつも電話で話しているから話すこと残ってるかしらねぇ」と気乗りのない返事。
どこへも出かけたくないと言う彼女は本当に来てくれるかしら・・・

夫が亡くなって寂しいだろうと心配して時々電話をくれるようです。
寂しいけど色々したい事もあるし行きたい所も沢山あってたまには節約旅行なら楽しめるし。
考えればあれもこれも足りない物はいっぱい。でもそれは思っても仕方が無い事。
経済的にもご主人にも恵まれて「行きたい所も食べたいものも特にないわね」なんていうのは豊かだ
からではなくて彼女に不足しているのは「意欲」だと思う。
幸せ過ぎのせいなのか、先頭に立って歩いていた以前の彼女は・・・何だか寂しく思えます。



    「ウインターコスモス」

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