マスコミ、マスメディア、ジャーナリストというジャンルの仕事は、何を報道するか、何を書くかという以前に公平であるということが決定的に大事なことではないか。
例えば、2004年、井上ひさし、梅原猛、大江健三郎、奥平康弘、小田実、加藤周一、澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子の9氏により「9条の会」が結成され、「改めて憲法九条をを激動する世界に輝かせたい…」というアピールを発表した。
それに呼応し、いま日本中で何百万もの人々が、地域で職場でグループで「九条の会」を立ち上げ、活動をはじめている。
さまざまなイベントを行い宣伝活動など行っている。それがどんな大規模なものであろうと、いわゆる大新聞をはじめ、テレビなどのメディアはほとんどそのことを報道しない。
報道とは何か。
以下は6月17日付『毎日新聞』の記者のコラム「発信箱」から。今日は社会部松井宏員氏。
《沖縄とイラクから
沖縄にて。泡盛のよいがほどよく回ったころ、地元紙の基地担当記者が尋ねてきた。
「米軍再編に税金を投入することに本土ではどんな反応なんですか」
「大して反応ないみたい」
「71年の沖縄返還の密約事件のとき、日本が肩代わりした400万ドル(当時のレートで十数億円)が問題になったのに」
海兵隊のグアム移転経費が約7000億円。これだけでもべらぼうなのに、日本の負担総額は3兆円という数字まで飛び出している。密約とはけたが違いすぎるのに、批判のほこ先は決して鋭くない。
「どうしてなんですかね」
そう言われて、考え込んでしまった。時代状況の違いだけで済ませられる話ではない。
大阪にて。占領下のイラクで米軍に3度拘束され、拷問を受けたジャーナリスト、イサーム・ラシードさんが来日し、米軍再編に触れて、こう語った。
「税金でこうしたことをするということを、広く伝えるのが私たちの義務」
イラク戦争後、電気技師から転身した彼が拷問を受けたのも、ジャーナリストを続けているからだった。さらに言葉を継ぐ。
「日本はジャーナリズムが弱いと感じた。テレビはニュースが少なくバラエティ番組ばかりだから」
命をはっているジャーナリストの指摘は重い。何もテレビに限った話ではなくわれわれ新聞の責任を改めて考えさせられた。沖縄とイラクから発せられた言葉をどう聞くか。》
何をいまさらという気がしないでもないが、まともな発想のできる記者か、とは思う。
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