伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

リンゴとクマ

2020年11月15日 | 旅行
 立ち寄った果物農家は米沢市内の農家。たしかにすぐそばに小山がある。しかし、こんなところでクマが出るのだろうか。町の中心部からそんなに離れていないし、人家は結構多い。

 いわき市というか、阿武隈山地にはクマがいないという。このためクマがいる地域の生活実感は分からない。もちろん、イノシシやハクビシンなど野生生物は出没する。先だっては日中にイノシシ4頭を見たばかりだ。イノシシも、ケガや死亡事故につながることもある。突進するイノシシのキバで大腿部の大動脈を損傷し、出血多量で死亡する事故も起きている。突進するイノシシのキバは大腿部と同じ位の高さにあり、運悪く大動脈を損傷する場合があるというのだ。イノシシも危険な動物に違いは無い。

 しかし、クマはまた別物。元来臆病な性質という。しかし、突然出くわした出くわしたりするとびっくりして襲ってくるという。振り下ろす腕の力は強く、ツメは鋭い。これで大ケガ、場合によっては命にかかわるケガを負わされてしまう。

 この農家では数年前、自宅付近、そう建物から5m程なのではないだろうか、そんなに近いところでセンサーがクマを捉えたという。クマの出没は日常生活の一部ということなのだ。

 さて、クマに襲われて被害にあったのは1枝分のリンゴ。約50個のリンゴが食われてしまったという。良いリンゴであれば12個で小売り価格は約4,000円。1万5,000円程度の被害ということだ。果物で生活を維持する農家にとっては痛い被害に違いない。



 もっとも、サルの被害は比べようもない位に大きいらしい。サルにクマ、木の周りは網や電気柵で囲い被害防止に努めている。しかし、こういう害獣と闘う農家は大変だと思う。

 購入してきたリンゴはフジだった。この農家ではサクランボ、リンゴの王林、洋なしのラフランス、シルバーベルなどを栽培しているという。新知識はラフランスの食べ頃。ヘタの周りを押してみて若干へこみが出来るようになれば食べ頃なのだという。実際そのような実を食べてみると、甘く、程よい歯ごたえの食感を楽しめる。お勧めだ。

 この農家のすぐ近くに栗の木があった。幹周りがずいぶん太い。見た目で幅が80~90cmもありそう。仮に80cmとしても幹周りが約4mにもなる。こんな太いクリの木は見たことがない。そういえば三内丸山遺跡の太い柱の材質はクリだったような。昔は、ふつうにこんなに太いクリの木があったのだろう。このクリの木はこの農家のご神木だと言っていた。根本にはほこらが祭ってあった。



 さて、米沢市は上杉謙信ゆかりの地。ここに国指定史跡となっている上杉家十二代の墓所があった。上杉家御廟と呼ばれ、初代の謙信公から十二代斉定公までの廟が並ぶ。財政危機にあった藩財政を、質素倹約と殖産興業の導入・田畑の開墾などを行い立て直す藩政改革を成し遂げ、
「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成さぬは人のなさぬ成りけり」
の明言で有名な上杉鷹山公の廟もここにある。

 

 奥まった謙信公の廟を中心に、左右交互に代を重ね十二代までの廟が並ぶ。初代は別として、二代から八代までと九代から十二代までで廟の様式が違う。前者が入母屋造り、後者は宝玉造り(屋根のてっぺんが丸い)となっている。当初、120万石の石高だった米沢藩は、30万石、やがて15万石と減らされていった。この厳しい財政状況が、廟にも反映して質素なものとなったという説もあるようだ。






入母屋造り



宝玉造り


 廟の外側は住宅地となるが、廟内は杉林に囲まれ、林内にはピンクの花が咲き、静けさを演出していた。



 調べて見たが花の名に確信を持てない。ベニバナゲンノショウコかもしれない。


 宿泊は山形県小国町だった。飯豊山に近い国民宿舎梅花皮荘。この名前を読めるだろうか。私は読めなかった。「かいらぎそう」と読むそうだ。鉄分が多く、ぬるめのお湯のため長時間浸かってリラックスできる、気持ちの良い温泉。2つの大浴場のうち1つは、雪を被った山々が眺望できる。時間によって男女を入れ替え、男女とも入浴しながら眺望を楽しめるようになっている。温泉に浸かりながらゆっくりと雪を被る山の景色を楽しめた。

 食事にはイワナの塩焼きや天ぷら、すき焼き風の煮物などが提供され、美味しかった。






 さて、道路を走っていると、2階に玄関がある住宅が目についた。1階に玄関がある住宅も基礎を高めにしているように見えたし、玄関周りをガラス等で保護している住宅も多い。雪深いために、冬場の出入りを確保できるようにこのような形にしているらしい。

 雪深さは、庭木の雪囲いにも示されていた。丸木でぐるっと三角錐に囲っているのだ。



 金沢市の兼六園の冬の風物詩である雪吊りは有名だ。縄で枝を吊り着雪で松の枝が折れないよう養生する。しかし、ここいらはそういう手段では間に合わないのだろう。丸木は雪に埋もれる庭木を養生するために添えられているようだ。


 小国町の大宮子易神社に立ち寄ってみた。子ども連れの家族が2組境内にやってきた。七五三か?



 安産や子育て、また、子どもを授かるよう祈る神社だが、川で発見されたという男女の象徴も安置されている。自然石のようだ。



 そのものの写真はよしておくが、まずは男性の象徴が川で発見されたものの一時行方不明になり、再発見された後に安置されたという。この経緯から、この男性が理想の女性を探し求めて長久の時間さすらってきたのだろうということで、折良く女性の象徴の存在が分かったことから、この女性も運びこみ安置したのだという。

 境内の巨大な杉の切り株には杉の若芽が育っていた。こうして代を重ね、気が遠くなるような時間を過ごしていくのだろう。



 池にはモミジが映り込み、静けさを演出している。



 浅い池の底は丸見え。水底を払ってあるともっと良いのだが。


 旅の途中では喜多方市の新宮熊野神社に立ち寄った。

 神社の奥には本宮、新宮、那智の三山が祀られ、その手前に国の重要文化財「長床」がある。茅葺き屋根を多数の柱で支えた構造で拝殿として造られたものだという。





 ここの大イチョウは根周りが8.1mの巨木。樹齢は600年とも言われているという。メスのイチョウの木もあり、銀杏が鈴なりについていた。

 旅の空にも彩雲が浮かんだ。



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