美しきこころ (H・Kに寄す)
ぼくの愛は
何とわがままだったのだろう
ぼくの善意は
何と気まぐれだったのだろう
喜びを共にすることが
悲しみを分かち合うことが
ぼくの愛のすべてだった
(それは確かに ひとつの愛)
そして 他人 (ひと)のことで
自分には 利害のないことで
心から怒ることは
何とむずかしいことだろう
多くの人々が (そしてぼくも)
ともすれば
どうにでもすればいいさと
あきらめてしまうことを
それは他人のことだと
切り捨ててしまうことを
君のなかの子供の様なこころは
あきらめを知らない
そのために
君はそんなにやせてしまったというのに‥‥
本当の愛を
美しきこころを
確かにぼくは君のなかに見つけたのだ
自分の愛と善意に
誰よりも自分自身があまえていないのかと
ぼくは君を見ていて
そう思ったのだ
(1978.3.13)