《2017年2月12日》
脱原発デモ集会での話題である。
フランスのフラマンビル原発の敷地内の火災事故について、5人が軽傷で放射能の漏洩はないという報道があったが、これまでの原子力関連の政府や原発側の発表に隠ぺいやごまかしが多いことを考えると、原発で起きた火災はとても心配だと話された。情報を正確に開示しない原子力関連の事故については、このような心配が決して解消されることはない。
続いて、ドイツから来られた方がフラマンビル原発の火災事故はドイツでも報道されているが放射能汚染は問題になっていないという話題から、全原発廃炉を決定したドイツについて話された。この人は女川原発にとても近い寄磯浜の地域研究を行っていて、地域の人には原発の不安ばかりでなく廃炉になった時の地域経済への不安もあるのだが、ドイツの廃炉の道筋では長期にわたる廃炉事業が地元を潤すことになっているのだが、そういう事実を知らせることが大切ではないかと話された。
ドイツ人だが住んでいるのはオーストリアで、そのオーストリアはかつて原発を建設したが国民投票でそれを拒絶して動かしていないこと、3年前には原発由来の電力を輸入することすら法によって禁止したことなどを説明したうえで、日本もオーストリアと同じく70%以上が山林地帯なので、かつてのように自然の小河川を利用した多数の小規模発電で電力がまかなえる可能性を追求することがいいのではないかと話された。
1月末の東電1F2号機の内部撮影に続いて、昨日(9日)東電は2号機の格納容器内に調査用ロボットを投入したことが話題として取り上げられた。
先週のブログで、「カメラのレンズもあっという間に不透明になってしまうだろう」と書いたが、まったくその通りのことが起こった。1000Sv まで耐えられるレンズだったというが2時間ほどで見えなくなってロボットを引き上げざるをえなかったという。この高線量のため、この後のロボットによる内部調査の実施は不透明になったということだ。
その時の放射線量は先の530Sv/hrよりさらに高い650Sv/hrに達したという。しかし、問題は、ロボットは格納容器壁から3mほど進んだものの、圧力容器を支える円筒内には入っていないということである。溶融核燃料はその円筒内に落下し、作業台を溶融してさらに下に落下していると思われるので、650Svよりはるかに高い線量を示す場所が内部に存在していると考えられる。
圧力容器を支える円筒の外側で650Svもあるということは、デブリが圧力容器直下ばかりではなく、横に広がって構造的に複雑な状態になっている可能性も否定できない。そうであれば、デブリの取り出しがいっそう困難になると考えられる。司会者の質問に答えて、おおむねそのような話をした。
昨年の北陸電力志賀原発3号機への雨水流入事故を受けて規制委員会が各電力会社に調査を指示したところ、東京電力柏崎刈羽原発、福島第2原発、東北電力女川原発、中部電力浜岡原発、中国電力島根原発、日本原子力発電敦賀原発、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅと東海再処理施設、日本原燃の六カ所再処理工場の10施設で、建屋に止水措置がされていない貫通部が残っていたというニュースの話題が出された。
本来、原発建屋は放射性ガスやダストが外部に漏れださないように密閉されたうえに万が一のことを考えて内部は減圧されているものなのだが、止水措置がされていない貫通部が残っていたというのである。もしかしたら、その貫通部を通じてこれまで放射能が漏れだしていたのではないかと疑いたくなってしまうような話である。
原発のことばかりではなく、仙台市ではすでに400tもの放射性ゴミの一般焼却試験が行われているが、その結果の詳細は明らかにされていないことなど、正しい情報を明らかにしないことへの怒りの訴えもあった。
政府は日本の規制基準は世界一厳しいなどと嘯いているが、溶融核燃料を受け止めるコアキャッチャーはヨーロッパでは設置が義務付けられているにもかかわらず、日本では設置しなくてもよいとされていて、日本の軽水炉原発はとても危険なものであると話された人もいた。
そして、そんな危険な原発を再稼働しようとするのは、ある自民党幹部が「原発は抑止力になる」と発言したように、発電よりも核兵器用のプルトニウム生産が目的なのではないかとつけ加えられた。
また、栗原市や色麻町などが計画している400Bq/kg以下の放射能汚染ゴミを堆肥化して農地にすき込むことへ厳しい批判もなされた。放射性物質は本来密閉保管されるべきもので、400Bq/kgといえどもその原子数、分子数は膨大なもので、それを農地に広くばらまいてしまうことはとても危険なことだという訴えだった。
東電2F原発の2号炉の内部調査ロボットの話題で、物質の放射線損傷のことに触れることがあったが、学生時代の修士論文のテーマで、シリコン半導体にコバルト60のγ線を照射する実験を行っていたときのことを思い出した。
高い放射線強度の照射で試料が発熱しないように水冷しながらのγ線照射できる装置を自作したのだが、ビニールパイプで通水させたのが大失敗で、危うく照射施設を水浸しにするところだった。ビニールパイプが放射線照射で真っ黒に硬化して、ボロボロになる寸前だったのである。γ線源に近い部分を金属パイプに置き換えたが、たっぷりと冷や汗をかいた経験だった。
そんな実験をしながら、サングラスを作ることを思いついたのである。私は中学時代から近視用メガネを使っているが、そのレンズだけをはずして、適当量のγ線照射を行うとガラスが着色する。照射量を変えれば、レンズの色は濃くも薄くも自在にできる。それをフレームに戻せば近視用サングラスの出来上がりである。そうやってサングラスを少し楽しんでから、あるいは夏が終わったら、ガラスが軟化しない程度の温度でレンズだけを温めてやれば、放射線損傷によってできた欠陥が回復して元の透明なレンズに戻るのである。
放射線損傷を勉強していたのでそんなことを思いついたのだが、管理の厳しいコバルト60照射施設を個人的な遊びで使うことは、いかな私でも憚られて、もちろんこれは空想だけに終わったのである。
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