法務問題集

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刑法 > 罪 > 詐欺・恐喝の罪 > 恐喝罪

2015-08-24 00:00:00 | 刑法
【問題】
01. 人を恐喝して財物を交付させた場合、恐喝罪が成立する。

02. 人を恐喝して財産上の利益を得た場合、恐喝罪が成立する。

03. 恐喝とは、社会通念上、相手方の反抗を抑圧しない程度に畏怖させる暴行や脅迫をいう。

04. 脅迫の内容をなす害悪が違法でない場合、恐喝罪は成立し得ない。

05. 相手方が恐喝で畏怖しなかった場合、恐喝罪は成立し得ない。

06. 不動産は、恐喝罪の客体である財物に該当する。

07. 財物の交付は、財産的処分行為に該当する。

08. 債権の放棄は、財産的処分行為に該当する。

09. 他人への権利を有する者による権利の行使が権利の範囲内である場合、恐喝罪は成立し得ない。

10. 恐喝罪が成立した者は、原則として、10年以下の懲役に処される。

11. 恐喝は、未遂でも処罰される。

【解答】
01. ○: 刑法249条(恐喝)1項

02. ○: 刑法249条(恐喝)2項

03. ○: 最判昭24.02.08 要旨1
他人に暴行又は脅迫を加えて財物を奪取した場合に、それが恐喝罪となるか強盜罪となるかは、その暴行又は脅迫が、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足る程度のものであるかどうかと云う客観的基準によって決せられるのであって、具体的事案の被害者の主観を基準としてその被害者の反抗を抑圧する程度であったかどうかと云うことによって決せられるものではない。

04. ×: 最判昭29.04.06 要旨1
恐喝罪において、脅迫の内容をなす害悪は、必ずしもそれ自体違法であることを要しない

05. ○: 大判大03.04.29

06. ○: 大判明44.12.04

07. ○: 刑法249条(恐喝)1項

08. ○: 刑法249条(恐喝)2項

09. ×: 最判昭30.10.14 要旨
債権取立のために執った手段が、権利行使の方法として社会通念上一般に許容すべきものと認められる程度を逸脱した恐喝手段である場合には、債権額のいかんにかかわらず、右手段により債務者から交付を受けた金員の全額につき恐喝罪が成立する

10. ○: 刑法249条(恐喝)1項

11. ○: 刑法250条(未遂罪)

【参考】
恐喝罪 - Wikipedia