山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

やっとお供えできたキノコ料理

2020年08月29日 | キノコ料理
 むか~し昔、山形にホリデイマタギっていう爺様いだっけど。この爺様、すごい欲タガリで、「西の海に魚来た」って聞くと西に行って魚釣って、「東の山にキノコ出そうだ」って聞くと東に行ってキノコ採りしていだっけど。
 ある日のこと、マタギ思ったっけど。
「今年は変な年だ。もう、お盆も過ぎだのに、トビタケの噂、さっぱり聞こえでこね。このままだど、トビタケご飯、仏様にお供えする前に秋来てしまう。」
 なんぼ欲タガリでも、マタギも人の子で、季節のお供えのごど気になって仕方ねえみっでだ。
 そんな中、熱中症で倒れるんでねえべがど思うような日が暫く続いたある日、マタギと越後屋ど、キノコ採りに山さ入ったっけど。
 そしたら、山ん中、だあれもいなくて、二人だけだっけど。
「なんだか、今年は、お日様の具合が変だっけがら、キノコも出ねし、人も入んねんだがもしんねな。」
 なんて話しながら探し歩いったら、丁度いやんばいのトビタケ出ったっけど。
そんで、喜んで採ってきたっけど。
 二人とも、山の神様さお礼言うのは忘れねっけど。

「山の神様、ありがど様。これで仏様も喜んでくれる。」

・・・もちろん、欲タガリだ。次のキノコのお願いも忘れねで、しっかり頼んでがら帰ってきたっけど。
 とーびんさいすけさいざぶろう。 チャンチャン。

 さて、採ってきたトビタケだけど、何はさておいてもこれでしょう!

  ≪トビタケの炊き込みご飯≫

 正直なところ、これをお盆の頃に食べられればベストなのだが、今年の気象を考えるとやむを得ないでしょう。むしろ、採れただけでもありがたいと思わなければならない。
 調理に入る前にもう一つ。

採ってきて家で広げた所


山で見つけた所

 違いがお分かりだろうか。色が全然違っている。
 山では白かったキノコが里まで下りたらお化けに変わった?いえいえ、違います。
 このキノコ、採れる季節も独特なのだが、こんな風に触れると色が変わってしまう所もユニークな特徴なのだ(マタギの行いが悪かったことによるタタリではありません)。
 この辺の特徴のため、調理の仕方も普通のキノコと違ってくる。

 下ごしらえの部
 ・キノコの汚れを落とす
 ※ナイフと歯ブラシと濡れ布巾を使用
 ・調理する分を塩水にさらし一晩おく(他は冷凍しました)

水にさらした所

 ※一晩おくと、水が真っ黒くなるほどアクが出ます
 ※ここがトビタケの独特な手間
 材料の部
 ・油揚げ3枚を油抜き短冊切り、ニンジン2/3本をささがき、トビタケ200gを細かくちぎる

こんな感じ

 ※トビタケは育ちすぎると固くなるけど、今回は手で簡単にほぐれました
 ・調味料は、米1合に対して酒・醤油各大さじ1、顆粒だし大さじ1弱(お米が増えても変えない)

 ・米に具材と調味料と水を入れて(具材以外で合数分の水かさに)

さあ、どうなるか!


 暫くすると、家じゅうにいい香りが広がりはじめましたよ。時が来て蓋を開けると、

こんな感じ

 ※アク抜きをしないとご飯が真っ黒くなるという説もあるので、マタギはこんなやり方で炊きます。
 ※あくまでもマタギ流です。他の人たちは、違うみたい。

やっと仏様に供えることが出来ました

 これで、ひと安心です。


 それでは、私たちも、いただきます。・・・極めて美味!
 山の恵みに感謝です。