山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

ナラタケ物語

2024年09月04日 | キノコ料理

 昔々、あるところにナラタケと言う名の、普通のキノコがおった。

 ナラタケは、普通のキノコだったから、それなりに美味しくて、『モダシ』とか『サワモダシ』とか呼ばれて皆から愛されておった。

 『モダシ』というのは、陸奥(みちのく)では、『キノコ』という意味でも使われる言葉だから、人々は、ナラタケのことをキノコの代表のように考え、大事にしておったことがよく分かる。

 これを汁物に入れると、それはそれは良い出汁が出て美味しい汁になったものだ。

 ところがある日、ナラタケは思った。

「僕は、どうして普通のキノコなんだ。どうしてマツタケやマイタケのように食卓の主役になれないんだ。」

 そこへ、悪だくみのプロとして悪名高いマタギがやってきて声を掛けました。

「どうしたんだい?そんな浮かない顔をして。」

ナラタケは答えました。

「実は、僕があまりにも普通のキノコなことに嫌気がさしてしまったんです。なんとか、マツタケやマイタケのようなスターキノコになりたいんです。」

「そうだったのかい。普通が嫌なのか。」

「はい。」

「だったら、特別なキノコに変身できる薬をあげよう。これを使えば、きっと別人のようなキノコになれるよ。」

マタギは、ニヤリと笑いました。

「ありがとうございます!早速、使ってみます!」

「うまくいくといいねえ。・・・みんなから嫌われないといいねえ。」

 ナラタケは、マタギからもらった薬を持って、早速台所に行きました。

 下ごしらえ・調理の部

 昨日、常備菜がなくなりそうな話を書いたが、長くお世話になってきた『トビタケナス炒め』も、なくなりそうなことが分かった。

 そこで、冷凍庫から出してきたのが、

       ナラタケ、通称サワモダシです

       これを普通に解凍して

       普通に味付けをして

 佃煮にしようと考えたんです。

 でも、

 さっきのような話になってしまったものだから、悪徳マタギは、秘密の薬を出してきたんです。

       その名は『鷹の爪』

       輪切りにして

       ナラタケと一緒に煮詰めることにしました

 ところが、

       煮詰まるに伴ってすごく辛い気配が漂い始めました

「やっぱり無理です。とってください。」

       ナラタケ君の声を聞いて、慌てて拾い出しました

「本当に、これでいいのかい?」

「はい。やっぱり僕は普通がいいです。普通に美味しくて、みんなから愛されるキノコを目指します。」

「そうかそうか、いい勉強になったね。」

       第二の常備菜、ナラタケの佃煮

 ちょっと辛いけど、とても美味しくて万人向けの常備菜が出来ましたとさ。

 めでたしめでたし