山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

脇役が大事

2021年02月23日 | 日記とレシピ
 いい役者が頑張っても、一人だけの舞台では限界がある。主役に対峙する準主役ってのがすごく大事だ。今回の台所ドラマでも、主役や準主役達は、それぞれが個性を発揮して食卓を盛り上げてくれたと思う。
 ただ、叔母様は、必ず面白い脇役を用意して送ってくれるんです。この脇役達が、主役には出せない味わいを出してくれるんですねえ。食材のハーモニーと申しますか、喜びの幅を広げて味のオーケストラみたいなことになってしまうんです。
 ここまで、主役と準主役を中心に調理状況を記してきましたけど、脇役の調理記録も残しておかなくてはいけないと思うんです。それでは台所ドラマ最終回、始めます。

  ≪カレイの二夜干し≫


名前の分からないカレイ

 あれだけ多くの鮮魚が届いたんだから、一部は保存しなければ対応しきれない。ここで無理して味を落としてしまったのでは、それこそ、食材というか海の神様に申し訳ないってもんだ。
 真っ先に目にとまったのがこの子達です。君たちは干物にさせてもらいますね。

 下ごしらえの部
 ・ウロコを削り落として、ワタを外します
 ・軽く洗います


 ・3%の食塩水(海水と同じ)を作り、1時間ほど浸します


 ・カゴに広げて干します
 ※山形は、まだ真冬(背景は雪原)なので、どのくらい干したら良いのか分からん!
 ※1日では足りないだろうから2日間干してみたら、


なんだか、いい感じ

 ・・・寒風干しって、もっと時間かけて干すんだよなあ。でも、これも、やったことない。
 まあ、やってみなけりゃ分からないことなんだから、とりあえず、焼いて味見してみましょう。

 調理の部
 ・飾り包丁を入れてみました
 ・コンロを1分間余熱後、魚を入れます(ここまで強火)
 ・30秒ほど強火で粘ったんだけど、焦げ臭くなってきたので弱火に切り替え
 ・そのまま6分間加熱したら


結構いいんじゃない

 そのまま食べたところ、文句なし!旨え~!家族全員の意見が一致しました。
 当初は、「ちょっとだけ醤油を垂らしてみようかな。」なんて考えていたんだけど、全く不要です。そのまま美味しく戴きました。

 全部、冷凍保存しようと考えていたんだけど、予定変更。近日中に食べられるよう、一部を冷蔵庫に入れて待機してもらうことにしました。
 刺身は美味しいよ。煮物も炒め物も美味しいよ。でも、この子達の楽しみ方は、焼き魚。考えてみれば、これも魚料理の王道だよね。
 さすが、名脇役がいると喜びや楽しみの幅が広がりますね。
 はっはっは、よきかな~。

 あれ?他の脇役もいるんだけど、書き切れませんね。ま、料理名だけ残しておきましょう。
 ドンコは煮付けに、ワカメはきんぴらに、タラコもう1㎏は煮物⇒小分けにして冷凍保存しました。

 ・・・ブログの設定いじくってたら変な風になっちまった。現在、調整中。

敵は冷凍庫にあり!

2021年02月22日 | 日記とレシピ
 魚料理も長丁場になってしまったんだけど、大事な「記録」でもあるので、もう少し続けます。

 大きなマダラだったけれど、頭やタラコにワタなどの外堀はほぼ埋まった。残るは本体。『身』である。調理内容も決まっている。まあ、このラスボス殿に相応しい、最も美味しい料理と言っていいんじゃないかな。それでは、始めましょう。

  ≪タラの刺身≫

 タラの身は、煮ても焼いても揚げても美味しいんだけど、生 = 刺身も旨いんですね。ただ、アニサキスの心配があるので、一時冷凍しておきます。
 最初に捌いたとき、半身を冷凍しておきました。さあ、敵は冷凍庫にあり!


丸二日間眠ってました

 ・マタギの場合、普通は海水に近い濃度のぬるま湯で戻すのですが、今回は自然解凍してみました
 ※半解凍の時点で包丁を入れると切りやすいです
 ※代わりに水っぽくなるので、シートみたいな物を敷いて水分を吸わせた方が良いかも


腹側は削ぎ切りにします



背側は平造りに

 これで、十分ご馳走なんだけど、残る半身もいっちゃいました。

  ≪タラのムニエル≫


 ・残る半身を切り離して


 ・食べやすい大きさに切り分けたら、水分を拭き取ってから塩コショウ
 ※アラも切り分けて、こちらはどんがら汁に追加


 ・薄力粉をまぶします
 ・フライパンにオリーブオイルを敷いて、中弱火で熱しながら両面に火を通します
 ・バター(20gぐらい)と日本酒とリンゴ酢少々をフライパンの隙間にかけて馴染んだら、醤油を少々垂らして香りと味をつけます(そのままソースになります)
 ・皿に盛ってソースをかけて出来上がり


こんな感じ(最後に箸で運ぼうとしたら崩れちゃった)



オニオンスープを添えて戴きます!


 旨かった! 家族も大満足で良かった。
 何より、これだけ魚づくしの中で満足のいく料理が続けられたこと。そして、送られてきた発泡スチロール箱がすっかり空にできたことが嬉しい。

 これで、魚でいっぱいだった台所が平らかになりましたね。両肩にのしかかっていた重荷もおりて、落ち着かなかった心にも麒麟が来たようです。
 めでたしめでたし。

タラで平らかに

2021年02月21日 | 日記とレシピ
 「いくら小物達を治めても、台所は安まらぬのう。」
「仰せの通りでございます。やはり、あの ◎◎ 殿の首に鈴を付けねば、台所は平らかにはならぬと存じます。」
「やはり、そちもそう思うか。さて、あの ◎◎の首に鈴をのう。誰がどのようにやるか・・・」
「勿論、一筋縄に行くお方ではございません。されど、それがしに妙案がございます。」
「何だ。申してみろ。」
「まずは、一番厄介な◇◇を、続いて ××、更に ■■ と外堀を押さえていけば、さしもの ◎◎殿も万事休するはず。最後に ●● でうまくことが運ぶかと存じます。」
「なるほど。それができれば、台所は平らかになるであろう。」


 マタギの心のつぶやきです。悩みの種は、でっかいこのお方。


天下布武を語るようなマダラ殿です

一筋縄ではいきません。光秀の助言に従って外堀を埋めていきます。

  ≪どんがら汁≫


 ・頭とワタを外して


 ・頭が大きすぎるので切り分けて


 ・切り分けた胃袋とともに熱湯を回しかけて


 ・大根とニンジンを茹でた汁に合流して
 ・味噌で味を調えて、長ネギを入れて、盛り付けたら海苔を添えて出来上がり


これね(外堀その1)

続いて
  ≪タラコの煮物≫


 前回と大きく違うのが、ショウガを使わずにゴボウで香りを出してみたところ。


 湯通しした糸コンとアク抜きのゴボウを炒めて


 タラコ600gにだし汁(1カップ)と酒みりん(各50ml)で煮込んで


 醤油(大さじ2)と少量の砂糖とで味を調えて出来上がり(外堀その2)
更に、

  ≪タラコの煮凝り≫
 ・タラのシッポとか剥いた皮とかをだし汁(2カップ)と酒大さじ2みりん1、ショウガ少々で煮込みます
 ・一旦、魚とショウガを取りだして、白身だけを鍋に戻します。
 ・生鱈子(大さじ3ぐらい)も合流
 ・醤油をひと垂らしと寒天粉2gを加えて再沸騰させます
 ・ガラス容器に流し込んで冷めるまで待ちます
 ※ガラス容器だと切り離すとき簡単です


さあ、うまく固まれよ

翌朝、覗いてみると、


イメージ通りにできてました(外堀その3)

 どこにも載ってない料理なので心配しながら妻と食べると、あらら!旨いじゃないの!
 乗り気でなかった妻の表情が明るくなったのでOKですね。

 さあ、我が家の台所も、だいぶ平らかになってきましたよ。
 もう一息で、麒麟が来そう。

辿り着いた夢を食す

2021年02月20日 | 日記とレシピ
 今回送られてきたお魚たち。刺身を楽しんだその次はこれでしょう。


きれいな赤

 単純に「キチジでしょう。」と思っていたんですけど、なんだか違うよ。身体のつくりも背びれの色合いも違う。体型はメバルに近いですね。調べてみると、アカメバル、シロメバル、クロメバル・・・。いっぱい仲間がいるみたい。じゃあ、メバルの仲間のどれかでしょうかね。
 でも、メバル独特の模様がない。ヒレもあんまりトゲトゲしていない。口の中が黒っぽいからノドグロ(アカムツ)?いやいや、体型が違うし、鰓蓋に黒っぽいシミが付いてるから別物。
 そこから、魚検索の旅が始まる。図鑑やウエブサイトを使って、暫く調べていった結果辿り着いたのが、『夢笠子』というお名前。なんだか、おしゃれな名前じゃないの。命名の由来を調べてみたんだけど、「海底で目を開けながらじっとしている生態が、夢を見ているようだから」みたいなことが書かれた解説を見つけた。
 平和な海の底でのんびりしていたところを捕まって、ここまで連れてこられてしまったわけだ。心して調理せねばなるまい。

  ≪ユメカサゴの煮付け≫

 この手のお魚の美味しい食べ方といったら、なんと言っても煮付けです。早速始めましょう!

 下ごしらえの部
 ・ウロコを削ぎ落として軽く洗う
 ・口から割り箸を差し込んでエラとワタをツボ抜きする
 ※肝は美味しいので、出てきてしまったら戻す
 ・飾り包丁を入れます(表は × 、裏は ー にしてみました)
 ※熱と汁の染み込みを助けるため

 調理の部
 ・適当な広さの鍋に魚(7~8寸が3匹)を並べる
 ・水カップ1と酒みりん各大さじ3に醤油大さじ2とショウガの千切り少々をかけて着火


既に美味しい夢が見えてくるよう

 ・沸騰したら火力を落として、アルミ箔で落とし蓋


こんな感じ

 ・時々煮汁を魚に回しかけながら10分ぐらい煮込みます
 ※一旦火を止めて冷まし、盛り付け直前に再加熱しました


ゴメンね、頭が切れちゃった

 ・食べてみると


すんごく旨い!(見苦しくて済みません)

 この脂ののり、伝わるかなあ。
 生態だけじゃないですね。この味、正に『夢』のようです。

 さあ、これで3品。この、お魚戦国時代を抜け出すまでの道のりは、まだまだ長い。

 ・・・ちなみに、このユメカサゴも地域によってノドグロと呼ばれているそうです。少々紛らわしいのですが、どっちも美味しいので、いいんじゃない。 

出世魚は幼少より芳し

2021年02月19日 | 日記とレシピ
 今回届いたお魚たち。八種類あった。その中でも刺身を味わいたいものは、優先して調理することになる。まずはアマエビを準備しました(旨い!御利益ありそう。)。次はこれでしょう。

  ≪イナダ料理≫

 このお魚、ブリの子どもです。今回贈られてきたサイズは、50㎝弱。と言うことは『イナダ』です。
 出世魚なので、成長に伴って名前が変わっていく魚です。ブリが太閤秀吉だとすると、この子は木下藤吉郎ぐらいでしょうか。信長の草履を温めて喜ばれるぐらいのレベルです。まだまだ大きな国を築く程までは成長していないんです。でもね、このイナダ君、冬場になると美味しくなるんですよ。
 春から初夏にかけて北上してくる頃は、ガリガリの痩身なんです。だけど、栄養をたっぷりと蓄えた戻りイナダは、脂がのって美味しいんです。それでは早速、


ピチピチのイナダ

 ・ウロコを外して、ワタを抜いて、洗ったら


カマと頭を落とします

 ・梨子割りにして、カマを外して


御免なさい。君たちは冷凍庫で待機

 ・三枚におろして、うち一枚とアラは、こちらも御免なさい。


即戦力状態で冷凍庫へ

 ・更に柵取りして、血合い骨を外したところで選手交代


包丁を交換します(柳刃の出番です)

 ・包丁をまな板の上に固定したまま、皮だけを引っ張ります。すると、
 ・皮だけが剥けて、身と薄皮(?)が残ります


マタギにしてはまずまずかな

 ※包丁には、ある程度自信があるんだけど、まな板には手入れが届いていません(もちろん、腕も)。


素直に切り分けます



そのまま食卓へ

 ブリと比べたらサイズ的にはお子様。でもね、脂ののりは絶品でした。
 アマエビとともに、いくらでも食べたい感じ。
 満足じゃ!

 イナダの藤吉郎。おぬし、若いのになかなかやりおる。次の料理、期待しておるぞ。ますます励むがよい。