山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

デパートの屋上はやっぱりデパート

2022年05月26日 | 山菜採り

 「次、どこに行く?」

「S川は、まだ早いし、T川は、もう遅いみたいだ。」

「庄内のT川は、どうかな。」

「行ってみるか。」

「OK!」

次回は、A氏と山遊びに出かける。こんな感じに話が進んだんだけど、直前になって、もう一度進路変更。

「最上のT氏が言うには、庄内のT川も、もう遅いみたいなんだ。だから、S川の上流に行ってみないか。」

S川には、3日前に訪れたばかり。まだ残雪が多くて、山菜の本番は、まだ先という感じだった。

「S川の場合、下流よりも上流の方が早く山菜が出るから、行ってみる価値あると思うんだ。」

なるほど、言われてみれば、そういう採り場は少なからずある。この際、ものは試し。行ってみましょう!

 そういうことで、今回の行き先がようやく決まった。

 そして、当日、夜明けの時刻を目標にS川に向かった。

 確かに、雪は下流部よりも少ない。思うに、海抜が少々高くても、渓の開け具合がよければ、雪消えも早くなるのかもしれない。

 ということは、期待出来ますかね。

 ここでは、車止めから渓を下流へと辿る。

       ニリンソウが花盛り

       スミレサイシン(多分)も咲いている

 そして、

       ネマガリタケです

 初物です。戴いていきましょう。

       ゼンマイを採るA氏

 確かに、3日前の採り場の上流なのだが、こちらの方が季節が進んでいる感じ。

 山菜ウォッチングをしながら渓を下り、このコースの本命ポイントに到着。

       ウルイが開いていた

       ウルイ採りは嬉しいけど怖い

 その下の竹林を覗くと、

       意外と良質のタケノコ

 以下、夢中になって画像なし。ここだけで、十分満足してしまいました。

 帰り道に枝沢に入ってみる。

       脆い土崖の沢

 こういう沢には、

       こういうもの(ウド)が出てきます

 「面白かったあ!おかげさまで、たっぷり楽しめた。」

 「うん。色々出てたねえ。」

       本日の収穫物(これとウルイ他)

 S川の上流は、下流部と同様、やっぱり山菜のデパートでした。豊富な品揃えに感心!ただし、我が家には、まだ在庫も少なからずあるので、持ち帰ったのは、ほんの一部。でも、満足です。

 今回は、山の神様は勿論だけど、コースを提案してくれたA氏に大感謝です。

 ありがとう!

 また、よろしくお願いしますね!


ちかづかないで(さんぽうた144)

2022年05月25日 | いきもの

  ちかづかないで   はりえんじゅ まりりん

 

たしかに

わたしは

ひとりでいるのが すきじゃない

 

だから

わたしに きづいてもらうため

どりょくもしてきたわ

まっしろいどれすに

しゃねるをまとって

 

でも

あなたじゃないの

たずねてほしかったひとは

 

ごめんなさいね

あなたじゃなくて

 

わたしにふれると

もっと きずつけてしまう

 

だから

ごめんなさいね

これいじょう

ちかづかないで

 

 

 いつもの散歩道を歩いていると、今年初めて感じる香りに気付いた。

 甘さをたっぷり含んだ濃厚な香りだ。香りに惹かれて歩いていくと、正体が分かった。

       ハリエンジュの花

       (ニセ)アカシアと言った方が分かりやすいかもしれない

        正に、花盛り!

       美しく、甘い香りに包まれて咲いている

 思わず近づいていくと、

「さわらないで!」

と声がした。

「なぜ?」

と聴くと、

「あなたを傷つけたくないから。」

とのこと。

 ああ、そうだった。ハリエンジュは、その名の通り、『針』に覆われているのだった。

 お気遣いありがとうね。少し離れて香りと花とを楽しませて貰いましょう、と思って眺めていたら、昆虫たちは結構沢山集まってきていることに気がついた。

「虫たちは、大丈夫なの。」

と言いながら、美味しい蜜を分けてあげているようだった。

 なるほどね。ハリエンジュの花房は、天ぷらにして食べたりするという話を聞いたことがあるんだけど、本当は、人間よりも昆虫たちと共に生きたいんだろうね。

 アメリカ生まれの可憐なお花です。でも、安易に手を出すべきではない。妙に納得させられてしまった今日の散歩でした。

 ・・・でも、花や香りを楽しみに、また遊びに来るからね。どうぞよろしく。


セカンド ウド

2022年05月24日 | 山菜料理

 ウドも2度目なら

 少しは上手に

 美味しい料理を

 届けたい

 

 昨日の続きです。

 こんな、胸の高鳴りを伴って連れ帰ったウドなんですけど、方針が決まっている料理は一つだけ。あとは、どうなるか分からないまま調理に突入することになった。

       なかなかいいウドです

 今回調理するのは、採ってきたうちの半分。どのように調理して、どのような結果になったかを記録しておくことにします。

 前回、うまくいったと言えばそうなんだけど、失敗とも言える出来映えになってしまったのが『ドンコロ煮』。今回こそは、と思いつつ材料を補充しにスーパーに出かけると、

       なんと、あるじゃない!

 前回は、在庫がなくて仕方なく『男爵』を買ってきたんだけど、その時、店員さんに声を掛けたのが良かったのかな。今回は、ちゃんと用意されていたのだ。マタギ1人だけの声ではないと思うんだけど、客の声を即座に販売に反映させていることに感動してしまった。さすが全国チェーンのスーパーだ。

 これを使って、≪ドンコロ煮≫に再び挑戦してみた(これは想定外のラッキー料理)。

       ジャガイモ、結構、小さめに切ったんだけど

       しっかり煮詰めても

       全然、崩れません

 さすが、メークイン!この手の料理には、欠かせませんね。おかげさまで美味しく出来ました(安心して煮詰められるから)。

 そして、今回、最もやりたかったのが、≪ウドの天ぷら≫です。前回は、コシアブラだけではなくタラノメも結構あったので、先端部分は、揚げずに炒めていただいたんだけど、今回は、コシアブラの一部を炒め物に回して、その代わりにウドを揚げてみることにしました。

       やっぱり美味しい!

 前回のコシアブラ料理もそうだけど、このウドもウコギ科のお仲間。炒めたり揚げたりする料理には、どれも相性がいいということを再確認出来ました。家族も喜んで食べています。

 これで、当初の目的は達成されたんだけど、もうひと品、いってみます。それは、

  ≪ウドの刺身≫

 下ごしらえ・調理の部

 ・洗って水を切る。味噌を添える。

 これで終了!

       これが、超旨いんだよ!

 まあ、子ども向けではなくて、どちらかと言えば、酒のつまみですね。味噌をちょっと付けて、ガブリと戴きます。口の中に爽やかでジューシーな春の香りと味わいがパアッと広がります。一応、必要条件は、地中から掘り出した白いところであることです(『白根ウド』と呼ばれている)。

 クウウッ、たまらんぞなもし!!

       本日の食卓

 山菜尽くしの料理を堪能させていただきました(ウドの刺身は、妻と半分っこにしました)。

 

 ウドも2度目なら

 少しは上手に

 美味しい料理を

 届けたい

 

 この想い、家族には届いたみたいです。

 ちなみに、セカンドよりも多くなった山菜たちは、

       コゴミちゃんも

       フキノトウちゃんも

美味しく仕上がりました。

 また、暫く食卓に花を添えてくれそうです。

 毎度のことながら、山の神様、ありがとうございました。


セカンドラブ for コシアブラ

2022年05月23日 | 山菜料理

 恋も2度目なら

 少しは 上手に

 愛のメッセージ

 伝えたい

っていう歌があったっけ。

 今回、山菜(明菜じゃないよ)を連れ帰ったときに思い浮かんだ音楽がこれでした。

 恋い焦がれて連れ帰った山菜たち。1回目の初物は、それこそドキドキしながら1年ぶりの調理に向かいます。そして、2回目というのも、かなり胸が高鳴るんですよ。

 1回目でうまくいったこと、いかなかったことを思い返し、原因を考えて次に活かしたり、まだ試していない調理方法を考えて、仕上がりを想像したりするのが、すごく楽しいんです。

 で、今回、セカンドラブのお相手は、この方達です。

       クワダイ(イヌドウナ)

       ウド

 そして、

       コシアブラ

 このお三方です。

 この内、クワダイは、多分、今回が最後の収穫。香りを楽しむ山菜だけど、この山菜に関しては、香りを保存する方法をマタギは知らない。

 従って、一番美味しい調理方法で、香りが飛んでしまう前に戴きます。

 すなわち、  ≪クワダイのおひたし≫

 やっちゃいます。

 ・沸騰したお湯で4分ほど茹でます

 ・水にさらしたら

 ・水分を絞って

 ・寸切りにします

 繰り返しになるけど、クワダイの魅力は、キク科でも独特の爽やかな香りと味わいです。下手な味付けは一切なしで(醤油はちょっとかけるけど)、愛のメッセージを受け止めるべきだと思います。

 続いてはコシアブラ。前回は、天ぷらとナムルを楽しませて貰いました。どっちも美味しかったんだけど、今回、もう少し上手な食べ方はないかと考えた結果、試したくなったのがこの料理です。

   ≪コシアブラのオリーブ炒め≫

 前回は、ウドの先端部で試してみたら美味しかったんですけれど、コシアブラに当てはめても、きっと旨いはずだと考えていたんですよ。そこで、今回は、天ぷら用の短めの芽と、この料理向けに長めの芽を採ってきたんです。

       種分けした物(左が天ぷら用、右が茹で用)

 下ごしらえの部

 ・ハカマと木質部を外します

 ・1分強ほど茹でます

 ※ウドよりずっと短めの茹で時間です

 ※キド味が少ないし、本体が細いから

 ・根元は短く切り落として、他は寸切りに

 ※ここからは、前回のウドとほぼ同じです

 ・オリーブオイルを熱したフライパンでベーコン3枚を炒めて

 ・コシアブラにも火を通します

 ・使う調味料は3つだけ

 ・コシアブラ300gに対して、コンソメ顆粒を小さじ1程あわせて、塩とコショウで味を調えます

       はい、召し上がれ

 摘まみ食いしてみると、超旨いっす!

 ウドもコシアブラも、同じ『ウコギ科』なので、このタイプの料理には絶対合うと思っていたんだよね。

 妻も喜んでました。

 これは、コシアブラからの?それとも、マタギからの?

 どっちからでもいいんだけど、愛のメッセージは、前回よりも上手に届いてるみたいですよ。

 ああ~、うまくいって良かった。

 次は、ウドからのメッセージです。

 うまく届くといいな。


山菜のデパート

2022年05月22日 | 山菜採り

 お向かいに住むM氏と山菜採りに出掛けることになった。秋のナメコ採り以来だから、ほぼ半年ぶりだ。

 目的地はS川。この時期のマタギのホームグラウンドである。先週も歩いてきたのだが、今週もワクワクしている。なんと言ってもこの採り場、季節の進行とともに、次々と新しい山菜が顔を出し始めるんですよ。しかも高品質。訪れる度に感動をもらえるから通い詰めている。

 先週まで、林道が不通になっていたので、今回も林道入り口に車を駐めて、渓の降り口まで歩く。

 この1週間のうちに融雪というか除雪が進み、道路を塞いでいた倒木は撤去され、覆っていた雪も除雪されていた。

「これなら、来週は、車で入れるね。」

「行き止まりの畑、まだ、やってるってことだべな。」

 昔の国土地理院の地図を見ると、畑や田んぼの記号がついているのだが、新しい地図だと、田んぼの記号は消えている。しかし、畑作はまだ続いているということだろう。完全に人が入らなくなってしまうと、その土地は一気に自然の姿に戻ってしまう。それがいいことか悪いことかは分からない。マタギ達は、その状況に応じて自然と付き合っていくだけだ。

 1週間ぶりに渓底に降りると、景色が季節を教えてくれる。木々の緑が前回よりも色濃くなっていた。

       緑の中でワラビ採り

       クワダイがいい感じです(貰いました)

       斜面を登ると

       山の幸(ウド)が食べ頃!

       やっぱりいいウドです

 これで本日の目的の1/3を達成。次です。

       コゴミの園

 今シーズン、コゴミをいただくのは、これで最後になるかもしれません。随分季節が進んでいました。これで2/3達成。

 タケノコは、まだ「走り」ですね。ミズやウルイも来週以降のようです。ただ、フキノトウが真っ盛りだったので、今回も1週間分(20本)をいただきました。これは、おまけ。

「戻っか。」

「あと、タラノメとコシアブラ採ったら終わりでいいはあ。」

「OK!」

 谷を離れて斜面を登り始める。

       コシアブラが盛りになっていた

 採り放題状態で、その気になれば、いくらでも採れる状況なんだけど、そこは、大人の採り方で、控えめに戴いてきました。今回は思うところがあって、少し伸び加減の物を多めにです。これで目標達成です。

「いやあ、おもしれえっけ!」

「次、1週間後な。タケノコも伸びるんねがい。」

「うん。」

 除雪されて現れた地面から、次々と山菜が伸びはじめていた(道端のゼンマイとウド。トリアシショウマも出てる)。我々は、十分戴いているので、もう手を出しません。

 何でも採れる山菜のデパート。来週訪ねたら、どんな品揃えになっているかな?楽しみで仕方ありません。

 本日も楽しいひとときをありがとうございました。山の神様に感謝。