朝から頭に違和感があった。
鏡を見ると頭の皿が無くなってるではないか。
そういえば、昨日、歯医者に行った時、
「歯垢除去の時にお皿がじゃまなんで、はずしてもらえますか」
わてはしかたなく皿をはずした。
「ざわざわざわ、カッパの皿は、ざわざわざわ、はずれるんだ」
歯科医院内のスタッフのみんながいっせいにつぶやいているのが聞こえた。
あの時に置き忘れてきたのだ。
「昨日のカッパの皿を返してもらえますか」
「な、なんですか、それ。院長、変な人が来たんですけどー」
「あ、あれ、捨てたよ、要らないものだろ」
「なんてことするんだ、要るか要らないかは患者が決めることだ。
虫垂だって最近は医者の判断で勝手に切るものじゃないんだぞ。
わては、あの皿でハゲを隠していたんだぞ、
『これは皿であってハゲではない』というアイデンティティのためにだ。
そのためにわては今までカッパとして生きてきたんだ」
泣きそうになる心を抑えながら、替わりの皿を探したが、
ぴったりくるものが無かった。
「そうだ、植木鉢の水受けが使えるじゃないか」
そう気づいた二郎の心にやっと春が訪れたような気がした。
もうすぐ春一番の嵐が来るような気圧配置だった。
鏡を見ると頭の皿が無くなってるではないか。
そういえば、昨日、歯医者に行った時、
「歯垢除去の時にお皿がじゃまなんで、はずしてもらえますか」
わてはしかたなく皿をはずした。
「ざわざわざわ、カッパの皿は、ざわざわざわ、はずれるんだ」
歯科医院内のスタッフのみんながいっせいにつぶやいているのが聞こえた。
あの時に置き忘れてきたのだ。
「昨日のカッパの皿を返してもらえますか」
「な、なんですか、それ。院長、変な人が来たんですけどー」
「あ、あれ、捨てたよ、要らないものだろ」
「なんてことするんだ、要るか要らないかは患者が決めることだ。
虫垂だって最近は医者の判断で勝手に切るものじゃないんだぞ。
わては、あの皿でハゲを隠していたんだぞ、
『これは皿であってハゲではない』というアイデンティティのためにだ。
そのためにわては今までカッパとして生きてきたんだ」
泣きそうになる心を抑えながら、替わりの皿を探したが、
ぴったりくるものが無かった。
「そうだ、植木鉢の水受けが使えるじゃないか」
そう気づいた二郎の心にやっと春が訪れたような気がした。
もうすぐ春一番の嵐が来るような気圧配置だった。