河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

小豆島への旅 復活編4

2016年02月26日 | ZIZY STARDUST
岡山、高松、神戸、どこからでも小豆島へ行ける事を知った八田、母子は、
まず、小豆島に行ってオリーブの塩漬けとオリーブオイルを買うことにした。
テレビで見た、もこみち流の料理がいたく気に入ったからだ。

日本列島が海に沈んだ後は、あたりはまるで小島が点在するエーゲ海のようだった。
ジュディオングのヒットソングを口ずさみながら、とし子が前を見て叫んだ。

「あれ、あれをごらんなさい。緑色の生物がこっちに向かってくるわよ。
頭のハゲの形からすると、あれは、八田二郎おじいちゃんよ」

「おーい、とし子、七郎、元気だったかー。
わしはカッパからミドリガメになったよ。
わしは内宇宙に瀬戸内海からエーゲ海まで含んでいるから、
どこにでも連れて行ってやるぞ。
小豆島に行きたいのか、じゃあ、わしの口を通れ。
一瞬で小豆島に着くぞ」

「そんな、加齢臭と歯槽膿漏の口を通るのはやめておきます
私たちはJR西日本で行きます。
今まで、私たちの事にまったく興味を示さなかったおじいちゃんが
いまさら、いい人ぶっても、もう遅いのです」

「なんでだー、わしの株券は換金できれば1憶万円なんだぞ。
わしは、子供や孫の幸福のために、人生を棒に振って生きてきたんだ。
1憶万円あれば、おいしいものや、好きな物が自由に買えるんだぞ」

ふと、我にかえった八田二郎は思った。自分は何がしたかったんだろうか。
自分の好きな物などあったのか、自分が死ぬ時に何が残せるのだろうか。
自分の死んだ時、自分の棺の前で何人の人が涙を流すのだろうか。
少し涙が出た気がしたが、ミドリガメとなってしまった八田二郎には、
もはや、涙の辛さと塩水の辛さの区別ができなかった。