岡山、高松、神戸、どこからでも小豆島へ行ける事を知った八田、母子は、
まず、小豆島に行ってオリーブの塩漬けとオリーブオイルを買うことにした。
テレビで見た、もこみち流の料理がいたく気に入ったからだ。
日本列島が海に沈んだ後は、あたりはまるで小島が点在するエーゲ海のようだった。
ジュディオングのヒットソングを口ずさみながら、とし子が前を見て叫んだ。
「あれ、あれをごらんなさい。緑色の生物がこっちに向かってくるわよ。
頭のハゲの形からすると、あれは、八田二郎おじいちゃんよ」
「おーい、とし子、七郎、元気だったかー。
わしはカッパからミドリガメになったよ。
わしは内宇宙に瀬戸内海からエーゲ海まで含んでいるから、
どこにでも連れて行ってやるぞ。
小豆島に行きたいのか、じゃあ、わしの口を通れ。
一瞬で小豆島に着くぞ」
「そんな、加齢臭と歯槽膿漏の口を通るのはやめておきます
私たちはJR西日本で行きます。
今まで、私たちの事にまったく興味を示さなかったおじいちゃんが
いまさら、いい人ぶっても、もう遅いのです」
「なんでだー、わしの株券は換金できれば1憶万円なんだぞ。
わしは、子供や孫の幸福のために、人生を棒に振って生きてきたんだ。
1憶万円あれば、おいしいものや、好きな物が自由に買えるんだぞ」
ふと、我にかえった八田二郎は思った。自分は何がしたかったんだろうか。
自分の好きな物などあったのか、自分が死ぬ時に何が残せるのだろうか。
自分の死んだ時、自分の棺の前で何人の人が涙を流すのだろうか。
少し涙が出た気がしたが、ミドリガメとなってしまった八田二郎には、
もはや、涙の辛さと塩水の辛さの区別ができなかった。
まず、小豆島に行ってオリーブの塩漬けとオリーブオイルを買うことにした。
テレビで見た、もこみち流の料理がいたく気に入ったからだ。
日本列島が海に沈んだ後は、あたりはまるで小島が点在するエーゲ海のようだった。
ジュディオングのヒットソングを口ずさみながら、とし子が前を見て叫んだ。
「あれ、あれをごらんなさい。緑色の生物がこっちに向かってくるわよ。
頭のハゲの形からすると、あれは、八田二郎おじいちゃんよ」
「おーい、とし子、七郎、元気だったかー。
わしはカッパからミドリガメになったよ。
わしは内宇宙に瀬戸内海からエーゲ海まで含んでいるから、
どこにでも連れて行ってやるぞ。
小豆島に行きたいのか、じゃあ、わしの口を通れ。
一瞬で小豆島に着くぞ」
「そんな、加齢臭と歯槽膿漏の口を通るのはやめておきます
私たちはJR西日本で行きます。
今まで、私たちの事にまったく興味を示さなかったおじいちゃんが
いまさら、いい人ぶっても、もう遅いのです」
「なんでだー、わしの株券は換金できれば1憶万円なんだぞ。
わしは、子供や孫の幸福のために、人生を棒に振って生きてきたんだ。
1憶万円あれば、おいしいものや、好きな物が自由に買えるんだぞ」
ふと、我にかえった八田二郎は思った。自分は何がしたかったんだろうか。
自分の好きな物などあったのか、自分が死ぬ時に何が残せるのだろうか。
自分の死んだ時、自分の棺の前で何人の人が涙を流すのだろうか。
少し涙が出た気がしたが、ミドリガメとなってしまった八田二郎には、
もはや、涙の辛さと塩水の辛さの区別ができなかった。