あの頃 この海で
私の少年期が 広がっていた
あの頃 この浜辺で
私の少年期が 光っていた
都会の片隅で 六十年余りが過ぎた
いろいろなものを 拾ったり 捨てたり
そんなことの繰り返し
いつの間にか 「私」が何処かへ消えてしまった
この海に 「私」がいるかもしれない
誰かが言ったので 密かにやって来た
だが そんなことはなかった
そんなはずはなかったのだ
海は わざとらしく波を打ち続け
浜は 神経質に砂を鳴らした
そんな中 浜昼顔が 薄い眼差しを向けてくれた
温かい顔だった
ふと あの日の少女を 思い出した
「そんなもの 捨てておしまい!」
耳元で 険しい鬼の声
振り返ったら あれっ、あの日の母がいた
(写真は旧友H.I君の提供による)
別館として、写真俳句ブログの「ひよどり草紙」を開いてます。
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