九十八歳の母親が言った
「この子はこの歳になっても
一人でおトイレに行けないンですよ」
言ってから 口を開けて笑った
顔いっぱいが 皺だらけになった
七十七歳の息子は思った
(何言ってンだい
一人でトイレに行けなくなったのは
母ちゃんのほうじゃないか)
息子は思ったが 何も言わずに口を開けて笑った
母親と同じように 皺だらけの顔だった
あめんぼういのち浮かべてさりげなし 鵯 一平
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