■罪人のカルマ/カリン・スローター 2018.9.10
『血のペナルティ』 に続いて、 『罪人のカルマ』 を読みました。
「血のペナルティ」で、大活躍の二人の女刑事アマンダとイヴリンの駆け出しの頃、彼女たちの若き日の物語です。
当時、警察は、男たちの横暴な男性社会。そして、女性蔑視と人種差別が渦巻き、人種間でもお互いにいがみ合う大変な職場でした。
二人は、男性刑事から激しい暴力を受けたり、彼らの無理解に悩まされたりしますが、それでもめげず闘い、自らの世界を逞しく切り開いていきます。
「この仕事は人を変えるのよ。考え方や、世界の見方を変える。男の人になにを言われようとかまわない。わたしたちは刑事よ。あの人たちと同じように仕事をするの」
北上次郎氏の「解説」で、カリン・スローターの「ウィル・トレント」シリーズで翻訳された作品は6話あることと各内容の簡単なまとめを知ることが出来ました。
『三連の殺意』 (ウィル・トレントデビュー)
『砕かれた少女』 (同僚女性刑事フェイス登場)
『ハンティング』 (小児科医サラ登場)
『サイレント』 (警察官サラの夫の死)
『血のペナルティ』 (アマンダとイヴリンの活躍)
『罪人のカルマ』 (若き日のアマンダとイヴリンの活躍)
「罪人のカルマ」で、気になった部分。
一人の人間の存在が、ウィルの人生を変えました。
誰と出会うか、出会う人によって運命が大きく変わります。
ミセス・フラニガンは背伸びをしてウィルを引っぱたいた。「自分を哀れむのはおやめ。さっさとバスに乗らないと、食糧品庫に閉じこめるよ」
「ミセス・フラニガンがぼくに金を遺してくれたんだ」その話を聞いたときの驚きを、ウィルはいまでもありありと覚えていた。「その金の用途は大学の学費に限定されていた。そういうわけで----」ウィルは肩をすくめた。
イヴリンの隣人、ロズばあさん(「血のペナルティ」でも登場する喰えない婆さん)は、若い頃からかなり変わった人物で気むずかしい性格。
犯罪現場のカメラマンとして、女性でありながら自分の位置をしっかり確保している。草分け的存在。
毒舌家。
「あんたたちは見ているだけよね? 警察学校に行って、バッジと銃をもらったから、自分たちはいかしてるってあんたたちは思っている。よく覚えておくんだね。あんたたちが高くのぼらせてもらっているのは、落ちたときに背骨を折らせるためなんだよ」ロズはコーラをひと口飲んだ。
ロズがわかりきったことを言った。「だれにだって家族はいる。それを認めるかどうかは、まったく別の問題だけれどね」
薬について、こんなことは知りませんでした。
この場合の白人女性は、売春婦。
バイク乗りたちが売っていたのはヘロインではなく、スピードだ。ヘロインは黒人のものだった。マフィアですら手を出さない、スラム街のクスリだった。白人にとってはあまりに強力で、あまりに中毒性があり、あまりに危険すぎた。とりわけ白人女性にとっては。
いつの時代も変わりませんね。
いずれはジョージア大学に入り、自分で選んだ女子学生クラブの一員となり、輝かしい未来が待つ真面目な若者と父親から祝福されて結婚するのだという思いが、当時はまだ彼女のなかに残っていた。
だれだって最初はいい子なんだ。どこかで一度間違った選択をした。そしてまた間違ったほうを選んだ。気がついたときには、間違った選択ばかりの人生になっているんだ。とりわけルーシーはそうだった。あんなふうに死んでいいはずがないんだ
「罪人のカルマ」を読み終わって感じたことは、アンジー・トレントの不気味な行動でした。
「きっと何かが起こる」という不吉な予感が漂います。
次回第7話は、アンジーを中心とした物語になるのでしょうか。
「男がどんなものかは知っているでしょう?」
ときに女は、罪になるようなこともしなきゃならないのよ」
それにしても、カリン・スローターは、物語を語るのが上手ですね。
『 罪人のカルマ/カリン・スローター/田辺千幸訳/ハーパーBOOKS』
『血のペナルティ』 に続いて、 『罪人のカルマ』 を読みました。
「血のペナルティ」で、大活躍の二人の女刑事アマンダとイヴリンの駆け出しの頃、彼女たちの若き日の物語です。
当時、警察は、男たちの横暴な男性社会。そして、女性蔑視と人種差別が渦巻き、人種間でもお互いにいがみ合う大変な職場でした。
二人は、男性刑事から激しい暴力を受けたり、彼らの無理解に悩まされたりしますが、それでもめげず闘い、自らの世界を逞しく切り開いていきます。
「この仕事は人を変えるのよ。考え方や、世界の見方を変える。男の人になにを言われようとかまわない。わたしたちは刑事よ。あの人たちと同じように仕事をするの」
北上次郎氏の「解説」で、カリン・スローターの「ウィル・トレント」シリーズで翻訳された作品は6話あることと各内容の簡単なまとめを知ることが出来ました。
『三連の殺意』 (ウィル・トレントデビュー)
『砕かれた少女』 (同僚女性刑事フェイス登場)
『ハンティング』 (小児科医サラ登場)
『サイレント』 (警察官サラの夫の死)
『血のペナルティ』 (アマンダとイヴリンの活躍)
『罪人のカルマ』 (若き日のアマンダとイヴリンの活躍)
「罪人のカルマ」で、気になった部分。
一人の人間の存在が、ウィルの人生を変えました。
誰と出会うか、出会う人によって運命が大きく変わります。
ミセス・フラニガンは背伸びをしてウィルを引っぱたいた。「自分を哀れむのはおやめ。さっさとバスに乗らないと、食糧品庫に閉じこめるよ」
「ミセス・フラニガンがぼくに金を遺してくれたんだ」その話を聞いたときの驚きを、ウィルはいまでもありありと覚えていた。「その金の用途は大学の学費に限定されていた。そういうわけで----」ウィルは肩をすくめた。
イヴリンの隣人、ロズばあさん(「血のペナルティ」でも登場する喰えない婆さん)は、若い頃からかなり変わった人物で気むずかしい性格。
犯罪現場のカメラマンとして、女性でありながら自分の位置をしっかり確保している。草分け的存在。
毒舌家。
「あんたたちは見ているだけよね? 警察学校に行って、バッジと銃をもらったから、自分たちはいかしてるってあんたたちは思っている。よく覚えておくんだね。あんたたちが高くのぼらせてもらっているのは、落ちたときに背骨を折らせるためなんだよ」ロズはコーラをひと口飲んだ。
ロズがわかりきったことを言った。「だれにだって家族はいる。それを認めるかどうかは、まったく別の問題だけれどね」
薬について、こんなことは知りませんでした。
この場合の白人女性は、売春婦。
バイク乗りたちが売っていたのはヘロインではなく、スピードだ。ヘロインは黒人のものだった。マフィアですら手を出さない、スラム街のクスリだった。白人にとってはあまりに強力で、あまりに中毒性があり、あまりに危険すぎた。とりわけ白人女性にとっては。
いつの時代も変わりませんね。
いずれはジョージア大学に入り、自分で選んだ女子学生クラブの一員となり、輝かしい未来が待つ真面目な若者と父親から祝福されて結婚するのだという思いが、当時はまだ彼女のなかに残っていた。
だれだって最初はいい子なんだ。どこかで一度間違った選択をした。そしてまた間違ったほうを選んだ。気がついたときには、間違った選択ばかりの人生になっているんだ。とりわけルーシーはそうだった。あんなふうに死んでいいはずがないんだ
「罪人のカルマ」を読み終わって感じたことは、アンジー・トレントの不気味な行動でした。
「きっと何かが起こる」という不吉な予感が漂います。
次回第7話は、アンジーを中心とした物語になるのでしょうか。
「男がどんなものかは知っているでしょう?」
ときに女は、罪になるようなこともしなきゃならないのよ」
それにしても、カリン・スローターは、物語を語るのが上手ですね。
『 罪人のカルマ/カリン・スローター/田辺千幸訳/ハーパーBOOKS』