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「警官の街」  かわいそうに、この子一週間ももたないだろうね

2018年09月17日 | もう一冊読んでみた
警官の街/カリン・スローター  2018.9.17

 『血のペナルティ』、『罪人のカルマ』 に続き、3冊目 『警官の街』 を読みました。

舞台は、1974年のアトランタ。
女性蔑視や人種差別が横行する、アメリカ社会。警察も例外ではない。
そんな警察の世界に、良家のお嬢様であるケイト・マーフィーが新人警察官としてやってくる。
明日は、音を上げて辞めるだろう、「 かわいそうに、この子一週間ももたないだろうね」という周囲の予想に反して、しぶとく毎日出勤してくるケイト。
極めて個性的な二人の先輩に、からかわれ、しごかれながら一人前の警察官として成長していく物語です。

ゲイル・パターソンは、言う。

 「ウーマンリブなんてのは金持ちの女のためにあるの。あんたにあるのは、その顔と体だけ。それをなくす前に利用しなくちゃ」

 「自分を見失っちまうのは、男がやさしくなったときだよ」ゲイルは不意に切なげな表情を見せた。「あいつらはみんなたくましくて物静かだ。だけどある日----ほんの一秒、運がよけりゃ二秒----やさしい面が現れる。そしたら----」彼女は指を鳴らした。「こっちはイチコロってわけ」

 「あいつはひとりですねるようなやつじゃない。はっ、女から見られないところですねるような男はいないよ。
 そんなの意味がないだろ?


警官になってマギー・ローソンが思うこと。

 警官になってマギーが落胆したことのひとつは、人は常に嘘をつくという事実だ。悪い人間だけでなく、協力的なはずの一般市民まで。..........驚くべきことに、彼らはなんの理由もなく、そんな嘘をつく。腹立たしいことだ。そして、来る日も来る日も人々を刑務所に送りこんでいるのも、こういう目撃者なのだ。

1973年1月27日 べトナム和平協定(パリ和平協定)成立。
同年3月、ニクソン大統領の最終判断で、南ベトナム駐留のアメリカ軍が撤退。

ベトナム戦争がアメリカに与えた影響が随所で述べられています。

 たぶんやつらは、新しい成分の有毒ガスを戦場まで持っていく前に味方の兵士で実験していたのだ。そんなのはこれが初めてではない。最後でもない。戦争とは壮大な実験にすぎない。あらゆる無意味な悲劇の裏には、クリップボードを持って記録する人間がいるのだ。

 「ちくしょう、いい男が死ぬと悔しいよ。くそいまいましい戦争で戦ってきたあげく、せっかく帰国したとたんに同じアメリカ人に路地で撃ち殺されるなんてさ

ケイト・マーフィーを支えたものとは。

 「意味のある人生を送るのは大切なことよ。不幸せだと感じるときでも、目的を持って生きなくてはね」

 「なにか見つかるまで、前に進みつづけるしかないのよ」

 それまでの人生で、なにかを請うたことは一度もなかった。十二歳のときだ。すぐに、請うのが無意味であることを学んだ。誰も助けてくれない。頼れるのは自分だけ。

 朝にデリアがなにをしているかは誰も知らない。たぶん、相も変わらぬ問題を抱えたまま相も変わらぬ家で目覚めたことについて神をののしっているのだろう。

    『 警官の街/カリン・スローター/出水純訳/マグノリアブックス


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