ゆめ未来     

遊びをせんとや生れけむ....
好きなことを、心から楽しもうよ。
しなやかに、のびやかに毎日を過ごそう。

ありがとう、熊。きみは本物じゅないが、真実だ。

2020年02月03日 | もう一冊読んでみた
拳銃使いの娘/ジョーダン・ハーパー    2020.2.3  

  このミステリがすごい! 海外編 2位 『拳銃使いの娘

メチャメチャ面白いミステリでした。

ギャングの大親分から、回状が回された。

  塀の内外にいるすべての忠実なる兵士に告ぐ
  弟を殺害した民族の裏切者への
  狩猟を解禁する
  聞くところによると
  そいつの名はネイト・マクラスキー
  まもなく釈放される
  このナイフ男への正式な青信号を点す
  聞くところによると
  そいつにはポリーという名の娘がいる
  そいつにはエイヴィスという名の女がいる
  どちらもフォンタナにいる
  その女への正式な青信号を点す
  その娘への正式な青信号を点す
  死は刃によってもたらされること
  大地に塩をまけ
  協力をこばむ者はみな青信号に加える
  なしとげる者には構成員の資格を保証する
  なしとげる者には特権を保証する
  総長クレイジー・クレイグ
  スティールよ永遠なれ、永遠なれスティールよ



 「おれもどうしていいかわからないよ。なにせ一週間前には、寝る時間も、食べる時間も、小便をする時間も決められてたってのに、今こうして目の前に、全世界が地図もないままに広がってて、その中でおれを殺そうとしてないように思えるのは、おまえとその熊公だけなんだからな」

雲霞の如くギャングどもが、鵜の目鷹の目でネイトとその娘ポリーに群がってくる。
追われる父と娘は、その絶望的状況をどのようにして切り開いていくのか。
あらすじを読んだ時のわくわく感。
読み始めれば、面白さで一気読み。


クレイジー・クレイグ

 皮膚に刻まれた数々の刺青とナイフ傷が、男の経歴を物語っていた。男は夜のない部屋で暮らし、おのれを神と見なしていた。
 ペリカン・ベイ州立刑務所の終身刑囚にして、<アーリアン・スティール>と呼ばれる刑務所ギャングの総長。


ポリー

 負け犬のように背を丸めて、顔を髪で隠してはいても、少女は拳銃使いの眼をしていた。
 あんたの父さんそっくりの拳銃使いの眼だ。母親にはよくそう言われたものだ。


 あたしは金星から来たんだ。
 金星は一見静謐そうに見えるけれど、それは外側から見た姿にすぎないと書いてあった。
 外見は静かでおとなしいけれど、内面では酸の嵐が吹き荒れているんだと。


ネイト

 きっと脱獄してきたのだ。
 父親は悪い人で、強盗だから、本当なら刑務所にいるはずなのだから。あんたの父さんはね、夫や父親でいるより、悪い人でいるほうが好きだったの。母親はそう言っていた。
 悪い人を父親に持つのは、父親などいないのと同じようなものだった。


 人は結局のところ、自分以外の誰のものでもないのだ。

 「強くなるには、弱さを感じなきゃならない」父親は言った。

父とその娘は、生き残りをかけてギャングの世界に挑戦するのだが..........

 銃口をのぞきこんでも、弾の先っぽは見えない。見えるのは、来世の予告篇みたいな暗闇だけだ。

  「ミステリが読みたい!2020年版」発表  (2019/11/26)

「ミステリが読みたい」では、海外作品ランキング 9位 だった。
この違いは、どうしてでしょうか。
ぼくには、第2位の面白さなのだが。

さて、ポリーはどのような女性に成長すると思いますか?.........それはあなたやぼくの想像力の世界で息づく。


        『 拳銃使いの娘/ジョーダン・ハーパー/鈴木恵訳/ハヤカワ・ミステリ 』



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