ゆめ未来     

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罪の声 グリコ・森永事件をフィクション

2017年06月12日 | もう一冊読んでみた
罪の声/塩田武士  2017.6.12

  本作品はフィクションですが、モデルにした「グリコ・森永事件」の発生日時、場所。犯人グループの脅迫・挑戦状の内容、その後の事件報道について、極力史実通りに再現しました。

作者である塩田氏が訴えたかったのは、次のようなことか。

 理不尽な形で犯罪に巻き込まれたとき、これまで聞いたことも見たこともない犯罪に直面したとき、社会の構造的欠陥に気付いたとき、私たちはいかにして不幸を軽減するのか。それには一人ひとりが考えるしか方法はないんです。だから、総括が必要で、総括するための言葉が必要なんです。

実際の起こった未解決の「グリコ・森永事件」には、諸説有るようですが、この本の著者は、どのような事件の真実を語るのか、それはぼくが一番興味のあったことです。

 金の受け渡し方法がない以上、身代金事件は成立しません。だから株価操作に目をつけたんです。欲張ると必ず綻びが出ます。それは犯罪だけではない。人間の欲求が百パーセント満たされることなどありません。七、八割で手を引いて、次の機会を窺うのが一番賢いやり方です。

この小説を読みながら、人はこんなにも他人に饒舌になれるものだろうか、と疑問に思った。
日々平穏に暮らすためには、有ったことに蓋をすることのほうが多かろうと、ぼくは思うのだが。

 突き詰めれば「いい人」で終われる仕事などない。
 人生の闇は大抵、日常の延長線上にある。

『2017年版 このミステリーがすごい!』 国内編 第7位

    『 罪の声/塩田武士/講談社 』


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