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ミスター・メルセデス(上・下)/スティーヴン・キング

2024年11月18日 | もう一冊読んでみた
ミスター・メルセデス 上 241118

スティーヴン・キングの少し以前のミステリ『ミスター・メルセデス 上』を読みました。
退職した刑事ビル・ホッジズのもとに、手紙が届きます。
ホッジズは、差出人は “あいつだ” と直感します。
霧雨の降る早朝、仕事を求める人々が市民センターの前で列を作っていました。
そこにグレーのメルセデスが突っ込みます。
その犯人、メルセデス・キラー(プレイディ・ハーツフィールド)からです。
この手紙をめぐって、退職刑事とプレイディ・ハーツフィールドが「デビーの青い傘」のチャット上でやり取りをします。
この駆け引きが面白い。罵りあい、だましあう。
物語は、下巻になだれ込みます。

 ホッジズは立体交差の安全な側にある駐車場へむかって歩きだす。ちらりとふりかえると、少年はまだそこに立つたままホッジズを見つめている。片手にバックパックをぶらさげた姿で。
 「おい、坊上」ホッジズはいう。
 少年はあいかわらず無言でホッジズを見ているだけだ。
 ホッジズは片手をもちあげて指を少年に突きつける。「ついさっき、わたしはおまえのためになることをした。だからおまえにも、きょうの日没までに、だれかのためになることをやってほしい」
 いま少年の顔にのぞいてるのは、まったく理解できないという表情だ----ホッジズがいきなり外国語をしゃべりだしたかのような。しかし、それはかまわない。こういった言葉がじょじょに滲みていくこともないではない----とりわけ相手が年若い場合には。
 人は驚かされるものだ。----ホッジズは思う。そう、意外な結果に驚かされることもないではない。


 「とにかくやってみて。あなたのことをググったけど、検索結果を見るかぎり警察署はじまつて以来の凄腕刑事のひとりだったみたい。賞賛の言葉がどっさりあったわ」
 「まあ、運に恵まれたことも二、三回はあったかな」
 口に出すと嘘くさいほど謙虚にきこえる言葉だが、幸運が大きな要素だったことはまぎれもない事実だ。幸運、そしていつでも準備を欠かさなかったこと。ウディ・アレンのいうとおりだ----成功の八十パーセントまでが、向こうから転がりこんでくるのである。


 「ただしマーヴォの動機はもっと複雑なものじやないかな。本人にも理解できないいろいろな要素のごった煮めいたものが動機だったと思う。綿密に調べれば、性的混乱や生い立ちなどが大きな要囚として浮かびあがってきそうだ。おなじことがミスター・メルセデスにもいえるように思う。
まず若い。頭がいい。環境に適応するのも巧みだから、周囲にいる仲間たちの大半には、この男が本質的には一匹狼だということがわからない。いざつかまったときには、まわりの人間はみんな口をそろえて、『まさか、そんなことをしでかしたなんて信じられない。いつだって感じのいい男だったのに』というんだろうな」
「テレビドラマのデクスター・モーガンみたいな?」


    『 ミスター・メルセデス(上・下)/スティーヴン・キング/白石朗訳/文藝春秋 』


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