法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- 理系だから考えた営業方法論(Sales Methodology)

2021-06-05 22:16:58 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
6月に入り、4月入社の新入社員の方も少し会社生活に慣れてきたかと思います。コロナ禍という特殊な状況下で、新入社員研修が進められているのかなと思っています。

遠い昔、IBMの新入社員だった私は、この時期、工場で現場実習をしていました。その後、ハードディスクの開発部門に配属され、海外赴任も経験、いい時代を過ごせたと思います。なんといっても、情報産業は毎年、二桁成長し、ハードディスクも小型化、低価格になりPCに標準搭載され、産業として飛躍しました。

そんな、エンジニアだったからこそ、製品開発・設計のように、営業をもっと論理的に進めたいと考え、研究・開発したのが『理詰めの営業』です。

しかし、どう勉強したらよいのか一番悩んだのが営業でした。

エンジニアとしての私は、学生時代に学んだ数学や物理、化学、専門科目を基礎にして、実務を行いながら関連する書籍や論文を読み、自分の知識・経験を蓄積していきました。
転職してプロダクト・マーケティングとなったときは、技術的なバックグラウンドを活かしつつ、フィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』などを精読し、また、ボストンカレッジのエグゼクティブコースでインターナショナル・マーケティングを学ぶ機会もいただきました。

では、営業はどうでしょうか。

何事も新しいことを始めるときは勉強から入ります。営業を学問的に研究しようと思いましたが、営業学という学問はありません。営業はマーケティングの一部にすぎません。コトラーの本を紐解いても、営業に関する記述は多くはありません。

一方、書店に行くと営業に関する本はたくさんあります。

外資系コンサルティング会社の社員が書いた本には、論理的に営業を分析したものもあり、ある程度は役立ちましたが、肝心なところがぼやけていたり、事例の内容が簡単化されすぎていたりで、今一つ満足できない内容でした。

また、営業の神様といわれる人たちが書いた営業の本は、精神論、根性論が多く、元気づけられることはありましたが、営業の方法論を考える上ではあまり役立ちませんでした。

私自身が営業をしていたときは、世の中がその製品を必要としていたので、同業他社との競争はありましたが、自分のエンジニアとしての経験を活かして、顧客の懐に入り、信頼を築くことにより、比較的容易に成果を上げることができました。

しかし、経営の一端を担うようになった1990年代後半には、私のやっていた素人営業では通じない時代になっていました。私が営業を行っていたときは、顧客がどのような製品を必要としているかが明らかで、製品の競争力もあったので、誰でも売れたのです。

しかし、モノ余りの時代、顧客自身が何を必要か判らない時代、グローバルに競争する環境では、なかなか営業が成果を出すことができません。

経営者として生産財、具体的には計測装置の営業を見ていたときは、毎週、営業会議を開いて、案件一つ一つの進捗状況をチェックするのですが、案件の詳細を十分に把握することができず、結果的に数字だけを追いかけることが多くなりました。案件の中身が見えないので、適切なアドバイスもできない等の問題もありました。

そこで、「こうすれば営業ができる」という営業に向けた精神論ではなく論理的で明確な指針ができないか、個人の資質にのみ依存しない営業の方法論(Sales Methodology)を確立できないかと考えました。

目指したのは、営業プロセスの標準化やマニュアル化ではなく、顧客の動きや環境変化に対して動的に、柔軟に対応するためのツールの作成と営業を論理的に行う方法の開発でした。

2000年から営業案件の可視化のツールを開発し始め、論理的に営業のステップを受注に向かって一歩一歩進める営業の方法論を『理詰めの営業』としてまとめました。
もともとは価格競争の土俵に上がるのを避け、付加価値を売るという意味で『バリューセリング』という名前を使っていましたが、顧問先の社長から「将棋や囲碁のように論理的に、一手先、二手先を考えて営業をする手法だね」と言われ『理詰めの営業』という名前に変えました。

この手法の開発では、コンプレックスセールスと呼ばれる法人営業への適用を目指していました。コンプレックスセールスとは、

・高額の商談や技術的に複雑な商談で、
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。
・また、受注から納品・引き渡しまでに時間がかかり、
・その後もフォローが必要な案件でもあります。

例えば、プラント建設やIT関連の大型投資、生産設備、ビル管理などは好事例でしょう。

初期の適用事例は、大手の生産財メーカーやSI企業でした。デモや提案の必要な業種です。
一方で、中小企業診断士として製造業やIT企業を中心に中小企業の営業強化支援も行いました。

その事例の一つを『匠な工場から巧みな営業へ~営業力強化による工場の町の経営革新』を2011年の中小企業経営診断シンポジウム(社団法人中小企業診断協会主催)で発表し、日刊工業新聞社賞を受賞しました。開発開始から10年余りの成果でした。

その後も、このブログを見ていただいてのとおり、研究と実践を積み重ねています。


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