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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 310 「宅配ボックスのパイオニア2」 ~確実な受け取りがバリューでした~

2019-02-14 08:46:50 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 310 「宅配ボックスのパイオニア2」 ~確実な受け取りがバリューでした~


それまで世になかったサービスだけに設立当初は苦戦が続きました。

転機となったのは、1994年です。

旧郵政省への働きかけが奏功して郵便小包を宅配ボックスで受け取れるようになったのです。

フルタイムシステムの認知度は向上し、大手の不動産会社からも受注が相次ぎました。

その後は宅配ボックスでの荷物発送サービスや、荷物が届くとメールで通知するといった機能追加や改善を重ねて、着実に売り上げを伸ばしたのです。

しかし・・・それも長くは続きません。

創業以来の、最大の危機となったのが、2008年のリーマンショックです。

国土交通省によると、2007年の国内マンション供給数は22万7,000戸でした。

金融危機を起点に不動産業界にも激震が走った2008年から2009年には約17万個に落ち込み、2010年から2011年には10万個を下回ったのです。

フルタイムシステムも連続減収を余儀なくされました。

ところが、ここで「神風」が吹くのです。

インターネット通販の普及が進み、宅配需要が一気に拡大しました。

宅配業者が荷物を届けても不在で、再配達を余儀なくされる「宅配危機」が深刻化したのです。

困難な状況を打開する解決策の一つとして、宅配ボックスに大きな期待が寄せられるようになりました。

こうした流れの中、フルタイムシステムは賃貸マンション向けの市場開拓を本格化したのです。

既存の賃貸マンションに後付けしやすいシステムを開発して、賃貸住宅オーナーに売り込みました。

かつて、賃貸向け宅配ボックスの売上はほぼゼロだったのです。

2018年4月期には、合計約4000棟への納入のうち、賃貸向けが半数を占めるまでになりました。

同社の成長を下支えするのは、システム販売だけではなく、サービスから得られる収入が拡大していることです。

フルタイムシステムが運営する制御センターの利用料や、保守管理、緊急時の駆け付けといった、納入してからも継続的に得られる収入が伸びています。

当初はモノの販売が大部分を占めていましたが、宅配ボックスの稼働数が増えたことで、今では売上の半分強をサービス収入が占めるまでになっているのです。

フルタイムシステムのサービスは進化を続けています。

大規模マンションで導入が増えているか―シェアやシェア自転車のカギの受け渡しの他、宿泊できるゲストルームやパーティールームなどの共用施設の予約システムにも参入、さらに昨年6月には掃除ロボットのシェアリングサービスにも乗り出しています。

人口減少が薄む日本では、将来的に宅配ボックスを設置できるマンションの数に限りがあります。

より一層の成長を実現するには、これまで以上にサービスを充実させていくことが欠かせません。

「防犯など成長が期待できる分野はまだまだある」

原社長はサービスの強化に余念がありませんね。



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