マーケティング研究 他社事例 746 「賞味期限切れを起こさない取り組み」 ～食品ロス解消のマッチング～

マーケティング研究　他社事例　746　「賞味期限切れを起こさない取り組み」　～食品ロス解消のマッチング～


食糧問題とは無縁とも思える企業も動き始めています。

東京ガスがインターネット関連事業のオークファンと2019年4月に開設した通販サイト「junijuni（ジュニジュニ）」は、ドレッシングや鍋用スープ、インスタントラーメン、グミなどの画像が並んでいますが、価格は定価より2～6割ほど安くなっています。

これらは食品メーカーなどから仕入れた賞味期限が近付いた、まもなく行き場を失い、廃棄処分される運命だった商品たちばかりです。

東京ガスは顧客である食品メーカーに出品を働きかけて消費者に情報発信し、収益の一部を受け取ります。

サービス開始から1年半で、会員数は数万人規模になりました。

「収益は着実に上がっている」

東京ガスは食に通じる事業を担う事業者として「まだよちよち歩きの状態だが、我々にも社会にとっても間違いなくいい取り組み。消費者も協賛メーカーも増やし、社会課題の解決につなげていきたい」と話します。

会員の1割強は営業エリアである関東以外の在住者です。

商品を出品するメーカーは100社に達し、取り扱い品目はおおむね1000種類と安定した供給ができるようになってきました。

食品メーカーと消費者を結び付ける事によって食品ロスを解消する好例となっています。

廃棄を回避すること自体が、目的でなくても、食品の仲介サイトは必要な食品を最低限の流通を通して手に入れられるツールとなります。

生産者が農産物や魚介類を出品し、消費者が買うポケットマルシェなどが成長し始めました。

ネットの社会普及で日本の先を行く中国では、中小レストランが農家から野菜を購入できるECプラットフォーム「美菜（メイツァイ）」が陣地を広げています。

運営会社のメイツァイは資金調達を繰り返し、企業価値は70億ドル規模ともされています。

提供者と消費者がネットでつながり、両者をつないでいた業者が淘汰されてプラットフォーマーが残る流れとなり、流通の発達も相まって、今後は足が早い生鮮品でも活用が広がります。

欧州ではオンラインで魚の買い付けができるオークションサイトが立ち上がっています。

しかし、今ある食糧を足りていない場所に動かすコストは、遠くなればなるほど高くなります。

現地で食糧生産のあり方を考え直している企業の取り組みからも未来の問題に対応しようとしています。

（続く）


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成長クリエイター　彩りプロジェクト　波田野　英嗣