廃刊した「月刊つりのとも」時代から短歌を書き連ねてきた武富純一氏の作品を少し書き出してみました。
先日、自費出版した「我が大物たちの記録」にも載せていますが、誰にでも思うことを上手く表していると思いませんか?。
=============================================
百メートル九秒九は出せぬとも大きな魚は釣れるやしれぬ
今月のこんちくしょうのありったけまとめて海に捨てにゆくのだ
本当に魚が欲しけりゃ魚屋へ行けと教えし先輩ふたり
「今日こそは」「次こそは」など呟いて未来へ期待を紡ぐお遊び
はやる手で針にエサ付け第一投釣りの楽しさこのあたりまで
ウキを見る頭の中はぐつぐつと〆切、ローン、車の凹み
我もしも魚であるなら真っ先に釣られるタイプ朝一番に
エサ取りと呼ばれる小魚群れでいて正しく書くなら断固「エサ盗り」
ウキ入れば車の凹みはかき消えて脳が真白く放電されぬ
高き竿高きリールに高き糸駆使して上がる小さき魚
巨大魚に竿を掴まれ糸切られただ呆然と突っ立っている
一匹を得ればたちまち地獄から天へと昇る釣師なるもの
釣りと恋かなり似ていて違ってて釣りたる後のエサの必要
懸命に釣った魚はおいしくてもらった大魚はそう旨くない
日曜に釣りし魚は月曜に大きくなりて仲間に伝わる
=============================================
長く物事を続けていくと、やはりその道でこのように上手くなるものですなぁ。
彼は今年の5月に「第2回角川全国短歌大会」で題詠大賞を受賞しました。「銭儲けしないでそんな事ばかりやってたらあかんでー」と言っているのですが、このような賞をもらえるようになると、またもっとのめりこむのでしょう。まぁ大したものです。
皆さんも、短歌、一度考えてみませんか。