映画『珈琲時光』は、(故意に)忘れられた音楽家「江文也」を追う、ライターの陽子(一青窈)のストーリーが、ひとつの軸である。従って音楽は、江文也のピアノ曲が中心になっている。私はこの映画で初めて「江文也」の存在を知った。
戦前の日本の西洋音楽界、その「華麗で精神的にゆたか」で「自由と創意を尊重する」文化があった事を、江には言及されていないが、最近読んだこの本で知った。この時代には、たくさんの事実が隠されている。
非常に優れた論考なので、この本も、いずれこのブログで詳しく紹介する。
今日は、『東京家族』の音楽を担当された、久石譲氏の話である。久石氏はこの『東京家族』の音楽において、メロディアスで神話的に美しい、一連の宮崎駿監督作品などの方向とは、少し違った方法をとったように思われる。
『東京物語』をDVDで見返してみると、意外なほどに音楽が歌っている事がわかる。しかし映画を観ている時も観終えた時も、音楽の印象は少なく、影のような距離で静かに映像に寄り添っている。これは音楽にとって不名誉な事ではまるでなく、逆に音楽技術者の最高度の仕事だ。
山田監督は『東京家族』で、久石氏に初めて音楽を依頼した。これは何故か?
これは、大林宣彦監督が新・尾道3部作・第1作として制作された『ふたり』(1991)の久石氏による主題曲である。「劇場プログラム」から筆写した。この奇跡のような映画は、大林監督と久石氏が初めて組んだ作品である。
まだ固まっていない私の仮説だが、山田監督はこの『ふたり』の音楽の記憶も引用したのではないだろうか。
〔CAST〕
石田ひかり
中嶋朋子
柴山智加
中江有里
島崎和歌子
西山典子
入江若葉
藤田弓子
吉行和子
奈美悦子
増田恵子
富司純子
『ふたり』 劇場プログラムから (女優のみ転載)
さらに、この劇場プログラムには、「女子学生」のエキストラとして、141名の名前が記載されている。
その全部をここに再録しようと思ったが、理性がぎりぎり止めた(笑)。
しかしアイウエオ順で並んだその名簿を見ているうちに、不思議な事に気付いた。5番目に「井上陽子」という名前がある。これは『珈琲時光』における、一青窈の役名だ!
野口久光 画
戦前の日本の西洋音楽界、その「華麗で精神的にゆたか」で「自由と創意を尊重する」文化があった事を、江には言及されていないが、最近読んだこの本で知った。この時代には、たくさんの事実が隠されている。
非常に優れた論考なので、この本も、いずれこのブログで詳しく紹介する。
今日は、『東京家族』の音楽を担当された、久石譲氏の話である。久石氏はこの『東京家族』の音楽において、メロディアスで神話的に美しい、一連の宮崎駿監督作品などの方向とは、少し違った方法をとったように思われる。
『東京物語』をDVDで見返してみると、意外なほどに音楽が歌っている事がわかる。しかし映画を観ている時も観終えた時も、音楽の印象は少なく、影のような距離で静かに映像に寄り添っている。これは音楽にとって不名誉な事ではまるでなく、逆に音楽技術者の最高度の仕事だ。
山田監督は『東京家族』で、久石氏に初めて音楽を依頼した。これは何故か?
これは、大林宣彦監督が新・尾道3部作・第1作として制作された『ふたり』(1991)の久石氏による主題曲である。「劇場プログラム」から筆写した。この奇跡のような映画は、大林監督と久石氏が初めて組んだ作品である。
まだ固まっていない私の仮説だが、山田監督はこの『ふたり』の音楽の記憶も引用したのではないだろうか。
〔CAST〕
石田ひかり
中嶋朋子
柴山智加
中江有里
島崎和歌子
西山典子
入江若葉
藤田弓子
吉行和子
奈美悦子
増田恵子
富司純子
『ふたり』 劇場プログラムから (女優のみ転載)
さらに、この劇場プログラムには、「女子学生」のエキストラとして、141名の名前が記載されている。
その全部をここに再録しようと思ったが、理性がぎりぎり止めた(笑)。
しかしアイウエオ順で並んだその名簿を見ているうちに、不思議な事に気付いた。5番目に「井上陽子」という名前がある。これは『珈琲時光』における、一青窈の役名だ!
野口久光 画