ロンドンの同時多発テロ事件は、もはや「戦争」だから、日本も他人事ではなく警備体制の強化を

2005年07月08日 19時48分37秒 | イラク・テロ
英同時テロ、死者50人以上に…ロンドン警察 (読売新聞) - goo ニュース 

 英国ロンドン中心部の地下鉄構内3か所とバス1台で現地時間の7日朝(日本時間夕)、ほぼ同時多発で爆発が起き、38人(一説には、51人)が死亡、約700人が重軽傷を負った。折しも、主要国首脳会議(サミット)が、英国北部グレンイーグルズで開催中であり、ブレア英国首相は「サミットにタイミングを合わせた同時爆破テロ」と断定している。秘密組織「欧州の聖戦アルカイーダ組織」を名乗る正体不明の集団が、犯行声明を行っている。
 2001年9月11日の米国における同時多発テロ事件以来、英国はアメリカと共同歩調を取り、アフガニスタン空爆、イラク戦争に参加してきており、国際テロ組織「アルカイーダ」の標的になっていた。それが現実化したのである。
 世界3大金融市場である米国のニューヨーク・ウォール街、英国のシティ、東京の兜町のうち、2つがテロ攻撃された。残るは、東京・兜町である。日本の治安当局は、厳重な警戒が求められる。
 ところで、今回の同時多発テロは、英国が「9.11」以後のアフガニスタン空爆、イラク戦争に加担しているための「報復攻撃」とマスコミ報道は解説しているが、それはあまりにも近視眼的に過ぎる。
 少なくとも、1991年12月にソ連邦が解体し、1993年1月に、クリントン政権が誕生。2月28日にニューヨーク世界貿易センタービル爆破テロ事件が勃発、そのころ、オサマ・ビンラディンが、「ジハード論」を展開していたころからの動きから、今日のテロ事件をとらえないと、根本的な間違いをおかしてしまう。
 1994年夏、アフガニスタンでタリバンが登場。オサマ・ビンラディンは、「サウジアラビア王室を批判」。同年11月、タリバンがカンダハルを制圧。オサマ・ビンラディンは、サウジアラビアを追放され、スーダンに入っている。
 1995年4月19日、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破テロ事件が発生。
 この年の11月、サウジアラビア国家警備隊訓練施設爆破事件が起きている。
 1996年9月、オサマ・ビンラディンは、国連の圧力でスーダンから国外追放され、アフガニスタンに舞い戻り、タリバンと接触する。
 こうした前段階の経緯があって、極めて重大な出来事が起こる。それは、1998年2月に、オサマビンラディンが行った「ユダヤ人と十字軍に対する聖戦のための国際イスラム戦線」結成と対米戦線の宗教命令「ファトゥ」発令である。これは、オサマビンラディンの事実上の「宣戦布告」であった。
 この年の8月7日、クリントン政権の下で、ケニア・タンザニアの米国大使館が、同時爆弾テロ事件に見舞われた。
 これに対して、クリントン大統領が、スーダン、アフガニスタンを空爆報復。
 2000年10月21日、イエメン・アデン港の米海軍イージス駆逐艦が爆破される事件が発生。
 2001年1月にブッシュ政権が誕生し、この年9月11日にニューヨーク貿易センタービル、ペンタゴンなどで同時多発テロ事件が発生し、米英連合軍によるアフガニスタン空爆、有志連合軍によるイラク戦争へと突入し、これに対する報復として、スペイン・マドリッド同時多発テロ事件、今回のロンドン中心部における同時多発テロ事件が起きているのである。
 ここで注意しなくてはならないのは、オサマ・ビンラディンないし、アルカイーダによる国際テロ組織による「犯罪」と単純に見ると、事の本質を見損なってしまう。
 確かに、現象的には、「テロ事件」は、「犯罪」である。だが、1998年2月にオサマビンラディンが行った「ユダヤ人と十字軍に対する聖戦のための国際イスラム戦線」結成と対米戦線の宗教命令「ファトゥ」発令が、基点になっているととらえると、単なる「犯罪」である「刑事事件」のような扱いをすると、この「国際テロ集団」との戦いには勝てないのである。
 戦争と言えば、国家と国家が互いに宣戦布告して戦争状態に入るものを通例として受け止め勝ちではあるが、現在起きている「テロ」は、「姿の見えない敵」との明らかな戦争であるととらえて、関係国は、本格的な戦争として応戦し、また、徹底的に攻撃態勢をとらなくてはならない。
 一口で言えば、「イスラム世界」の「国際テロ集団」と、主に「ユダヤ・キリスト教国家」との戦争である。オサマ・ビンラディンは、「ユダヤ教徒とキリスト教徒を殲滅する」とはっきり言っているので、そのつもりで戦う必要がある。「ユダヤ・キリスト教国家」と深く結びついている日本も、ターゲットにされているので、それなりに自衛措置を講ずるべきである。
 しかし、地球儀をクルリと回してみると直ぐにわかることではあるが、「イスラム世界」の「国際テロ集団」と戦っているのは、アメリカや英国、あるいは今回、名指しされたデクンマークだけではない。その図式は、ザッとみて、以下のようになっている。
①中国--VS--新彊・ウィグル地区などに住むイスラム系少数         民族の独立運動
②フィリビン--VS--イスラム民族過激派
③インドネシア--VS--イスラム民族過激派
④マレーシア--VS--イスラム民族過激派
⑤シンンガポール--VS--イスラム民族過激派
⑥インド--VS--バキスタン(イスラム国家)
⑦ロシア--VS--イスラム民族過激派(チェチェン、アゼルバイジャンなどの独立運動)
⑧イスラエル--VS--バレスチナ(イスラム民族)
⑨バルカン半島スラブ民族--VS--イスラム民族
⑩アメリカ--VS--イラン(イスラム民族)
⑪アメリカ--VS--イラク(イスラム民族)
⑫スペイン--VS--イスラム民族過激派
⑬英国--VS--イスラム民族過激派
⑭アフリカ・部族--VS--イスラム民族過激派

 このように、アメリカや英国などイラク戦争に参加している国々だけが、イスラム民族過激派から「テロ攻撃」を受けているわけではない。
 日本もターゲットにされているのであるから、国外から日本に入ってくる「イスラム系の人々」に対する警戒の目は、これまで以上に厳重にし、厳戒態勢を敷く必要があるだろう。入国管理事務所や警察の外事課、公安調査庁、あるいは、海上保安庁、陸海空自衛隊の一層の努力に期待したい。


コメント (4)
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