ニュースなはなし

気になるニュースをとりあげます

黒川弘務氏>検察官定年延長、後手に回った政府 総長人事の調整不足…混乱に拍車

2020年02月26日 12時14分10秒 | 政治のこと
検察官定年延長、後手に回った政府 総長人事の調整不足…混乱に拍車
 東京高検の黒川弘務検事長の定年延長をめぐり、主要野党は、検察官の定年延長を可能にする法解釈の変更は「黒川ありきの後付けではないか」と批判しており、25日の衆院予算委員会分科会でも以前の政府見解との齟齬を追及した。そもそも、ここまで不信感を持たれた背景には、政府の説明が後手に回り、国会答弁も二転三転した面が大きい。公正さが求められる検察官の身分に関わるだけに、政府には透明性を持った説明責任が求められる。

【写真】定年延長をめぐり疑念が渦巻く黒川弘務検事長

 ■「長期間議論、後付けではない」

 「検察官も、国家公務員法(国公法)に規定される(定年の)特例延長制度の適用は排除されない」

 法務省関係者によると、同省の辻裕教事務次官は1月17日、省内の大臣室を訪れ、森雅子法相に検察官の定年延長を認める法解釈の決裁を求めた。森氏はその場で、了承する旨を口頭で伝えた。手元には、省内の議論をもとにした法解釈をめぐる内部文書があった。

 森氏は2月25日の衆院予算委分科会で、遅くとも昨年以来、政府内で国家公務員全体の定年延長が議論されていると言及。その過程で、法務省として国公法と検察庁法との関係を精査したと説明している。同省関係者は「長期間この問題を議論しており、後付けではない」と語る。

 ■ずさんんさ目立った対応

 政府は、一連の手続きに瑕疵はないとするが、手続きや経緯の説明にはずさんさが目立った。

 辻氏は森氏の決裁を受け、具体的な法解釈変更の手続きを進めた。1月17~21日には内閣法制局、22~24日には人事院と協議し、双方から了承をもらった。しかし、人事院とどのような協議を行ったか会議録は残していないという。

 また、政府は人事院が了承をした24日を「法解釈変更の日」と位置付けるが、安倍晋三首相が公式に解釈変更を表明したのは2月13日の衆院本会議だ。

 2月10日の衆院予算委員会では、立憲民主党の山尾志桜里氏が「検察官には国公法の定年制は適用されない」と人事院が答弁した昭和56年の議事録との整合性を追及。森氏は「検察官の定年延長には国公法の規定が適用される」と答えたが、人事院の松尾恵美子給与局長は12日の予算委で、56年の答弁について「現在まで同じ解釈を続けている」とも答えた。

 松尾氏は19日になって「言い間違えた。『現在』とは(法務省から相談のあった)1月22日のことだった」と答えたが、迷走した感は否めない。

 今月25日の衆院予算委理事会では、法務省が決裁の扱いに関する文書を提出した。野党側が「必要な決裁を取った」という森氏の答弁と「口頭による決裁のみ」とした同省の説明の食い違いを批判していたためで、文書では、法案策定過程での作成文書や国会審議の答弁案などは口頭決裁で運用してきたと説明した。

 野党側は「検察官の身分に関わる今回の決裁は、少なくとも書面を残すべきだった」と反発した。(水内茂幸、千田恒弥、田村龍彦)

 ■最後の最後まで候補が2人存在

 今回の定年延長は、法務・検察内の人事をめぐる極めて異例で複雑な構図が問題を複雑化している。検事総長候補が最後の最後まで2人存在したことだ。

 「両雄並び立つ2人のどちらかではなく、本来は2人が順番に総長になってもおかしくなかった」

 元検察幹部の一人はこう指摘する。両雄とは黒川弘務氏と林真琴・名古屋高検検事長。優秀な人材が集まり「花の35期」と呼ばれる司法修習35期の中で両氏はトップを走ってきた。

 検事総長は「2、3代先まで決まっているのが通例」(検察幹部)だ。政府関係者によると、法務・検察首脳らは数年前から33期の稲田伸夫現総長の後任に林氏を想定して人事を調整。平成28年9月に、刑事局長だった林氏を総長への登竜門とされる法務事務次官に起用する意向だった。

 これを官房長官の下で各省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局は承認せず、官房長だった黒川氏が次官に就任。29年夏にも林氏を次官にする人事案は認められなかった。30年1月には当時の上川陽子法相が、大臣官房への国際課新設をめぐって林氏と対立したことから承認しなかったといい、林氏は名古屋高検検事長への異動となった。

 黒川氏は昨年1月、検察ナンバー2の東京高検検事長に就任。時の法相の判断を踏まえ、この時点で「黒川総長」が固まったとみられている。

 ■ゴーン被告逃亡事件の指揮

 検事総長の任期は慣例で2年。30年7月に就任した稲田氏は今夏に「満期」となる。黒川氏は林氏より半年早く今年2月に定年を迎えるため、総長就任には、稲田氏の早期勇退が条件だったが、稲田氏にその意思はなかったとされる。

 総長が現役の検察官である必要はなく、「いったん定年退官してから総長という道もあった」(元検事長)というが、黒川氏は日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告の逃亡事件の指揮という重要な役割を担っていることもあり、定年延長という形を取らざるを得なかったとみられる。

 ■厳正・公平保持に「疑念」禁物

 元検察幹部は「同期で順番に総長をやらせるためには、前任者の任期を短くするといった調整が必要だったが、今回はそれを十分にしてこなかったツケが回ってきた」とみる。

 検事総長は内閣に任命権がある。検察の独善や暴走を防ぐため、政権の意向が反映されるのは当然だ。一方で、起訴権をほぼ独占する検察は国民から常に厳正・公平と思われなければならない組織。政権との間でも一定の距離感が求められ、少しでも疑念を持たれること自体が大きな問題だ。 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チェーンメールも…新型コロナのデマ拡散「お湯で予防できる」 病院も困惑

2020年02月26日 11時39分53秒 | 医療のこと
チェーンメールも…新型コロナのデマ拡散「お湯で予防できる」 病院も困惑


新型コロナウイルスの感染予防対策として根拠のない情報が書かれ、他者に転送を促す「チェーンメール」が会員制交流サイト(SNS)などで拡散されていることが、西日本新聞「あなたの特命取材班」への複数の情報提供で分かった。中には、コンピューターウイルスが埋め込まれたものもあり、専門家は「安易に信じず、拡散しないで」と呼び掛けている。

【別写真】新型コロナウイルスに関するチェーンメール

不安が拡散

 〈【拡散希望】武漢ウイルスは耐熱性がなく、26~27度の温度で死ぬ。お湯を飲めば予防できます〉

 福岡県内に住む60代女性の無料通信アプリLINE(ライン)に、そんなメッセージが届いたのは24日夜。友人や同僚にも同じような内容がメールやラインで届いたという。

  内容に多少の違いはあるが、「医療関係の友達」や「自衛隊」、「友人の友人の友人」からのまた聞きとして、「お湯を飲めば予防できる」という点が共通していた。一部にはインフルエンザなどのワクチン治療を否定するものもあり、名古屋市の40代女性は「保育園のママ友の中で出回っている。善意だとしても看過できない」と不安を口にする。 

 お湯を飲めば本当に感染を防げるのか。聖マリア病院(福岡県久留米市)の本田順一副院長(感染制御学)は「26~27度で死滅するなんてことはあり得ない。お湯に関しても根拠のないデマ」と完全に否定する。その上で「国や日本感染症学会など公式の情報以外は信じないでほしい」と訴える。近畿大の吉田耕一郎教授(感染症学)は「人間の体温より低い温度で殺菌できるなんて、常識的に考えてあり得ない。出元の分からない情報を安易に信じるのは危険だ」と話す。

 メッセージの中には、実際に存在する病院名を出して「一心病院の看護師から聞いた」という内容もあった。これについて、一心病院(東京都豊島区)の担当者は「うちで出した情報ではなく、内容も不正確。メールに関する問い合わせが十数件以上あり、業務妨害だ」と困惑した様子で話した。

  日本感染症学会は、お湯を飲めば防げるとの情報について「科学的に証明された成績は存じない」とコメント。具体的な対策のポイントについてホームページで紹介している。


PCの“感染”も
 
 見ず知らずの人物ではなく、家族や友人、知人からのメールで中身を信じ込んでしまうのがチェーンメールの恐ろしさ。中には、コンピューターウイルスが仕込まれたなりすましメールもある。

 サイバー攻撃対策の支援を行う団体「JPCERTコーディネーションセンター」によると、1月28日以降、新型コロナウイルスに関するなりすましメールの存在が確認されている。

  「別添通知をご確認ください」などと、添付ファイルのワード文書を開くよう促しているが、コンピューターの正常な利用を妨げる不正プログラム「マルウエア」の一種・Emotet(エモテット)が埋め込まれている。
 
 このファイルを開くとパソコンがウイルスに感染し、保存されたメールアドレスや本文が盗み取られる。その人物や組織になりすまし、勝手にメールを作り出して拡散するウイルスで、世界各地で被害が広がっている。

  担当者は「友人や知人が意図的に送ったメールではなく、なりすましメールの可能性もある。安易に添付ファイルを開かないように」と注意を呼びかけている。(押川知美、坂本信博)
 
SNSで調査報道の依頼を受付中!



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナウイルス「バナナを食べると感染する」“怪情報”の真偽を専門家に聞く>>無数のデマが

2020年02月26日 11時23分52秒 | 医療のこと
新型コロナウイルス「バナナを食べると感染する」“怪情報”の真偽を専門家に聞く


中国では死者2000人、感染者7万5000人を上回り、日本でも新たな死者が。増え続けるウイルスの脅威に、SNSなどで怪情報があふれている。それらのウソ、ホントは──。

【写真】SNSで感染抑止を訴えるマスク姿のキムタク、高機能マスクを着ける羽生結弦

流布する「情報」の真偽を専門家がチェック トイレットペーパーはマスク代わりになる
 
 感染が広がるアジアでマスクが不足する中、シンガポールや香港ではトイレットペーパーの買い占め騒動が起きた。

《トイレットペーパーとマスクは原材料が同じ》

 とする情報が流れ、マスクの代用品にしようと客が殺到したとみられている。

 感染症が専門の東京・品川区にある『KARADA内科クリニック』の佐藤昭裕院長は「トイレットペーパーとマスクで素材の違いはあります」としたうえで次のように話す。

「ウイルスはマスクの目よりも小さいので通ってしまいます。その点では健康な人がつけても効果はありませんが、感染者がつければ、くしゃみや咳による唾液の飛沫を防ぐ効果はある。必ずしもマスクじゃなくてもいいわけで、トイレットペーパーでも、タオルでも、口元をしっかり押さえられればいいんです」

  素材は違うものの、工夫すれば代わりになりうる。
漂白剤を飲めば治る
 
「漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムといって医学的には強い消毒剤です。命にかかわりますから決して飲んではいけません」と前出の佐藤院長。

 ノロウイルスが流行したころ、漂白剤で机やトイレなどをふいて殺菌したことがデマの背景ではないかという。

「そもそも、飲むものではありません。ウイルスは粘膜から肺に侵入しますが、仮に漂白剤を飲んだとして食道には入るけれども、肺には入りませんから」(同院長)

  信じていたら大変なことになるデマだった。
本当の致死率は15%
 
 別種のコロナウイルスが原因で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)と比べると、感染力は強くても致死率は低かったはず……。

 前出の佐藤院長は、

 「まったくのウソ。WHO(世界保健機関)の発表によると、致死率は2%程度です。これから検査を受ける人が増えて分母が大きくなり、もっと下がるでしょう。一般的なインフルエンザの致死率0・03%に近づく数値になるのではないか」と見込む。

中国の生物兵器が感染源
 
 当初からネットで囁(ささや)かれてきた陰謀論。中国情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所の富坂聰教授は、「兵器を流出させるような甘いことはしない国」と否定する。

 ネット情報に詳しいジャーナリストの渋井哲也さんは、「東日本大震災で千葉の工場火災をめぐるデマが流れたり、熊本地震ではライオンが逃げたとする画像が出回った。危機的状況のときは情報を欲するあまり、それが善意・悪意からを問わずデマが拡散しやすいので注意してほしいです」

  と呼びかける。
 突然倒れて吐血することもある
 
「これまでに吐血の報告はありません。咳が出て、ひどいと37・5度以上の熱が1週間以上続き、意識がなくなるといったところ」

 と前出の佐藤院長。

 アフリカで発生したエボラ出血熱の症状と混同した誤情報の可能性がある。怖がらせる目的で流したのであれば、不謹慎きわまりない。

 「エボラ出血熱はひどいと喀血(かっけつ)します。喀血とは、肺から血が出ること。吐血は胃から血が出ることなので異なります」(佐藤院長)
温度スキャナーで感染者はわかる
 
「サーモグラフィーでは熱がある部分は赤く映るので、熱を持っている人はわかります。しかし、感染した人がわかるわけではないですよ」

 と前出の佐藤院長。

 運動直後やカイロを貼っているケースなど、感染者と区別するのは難しいだろう。

  風邪やインフルエンザの可能性もあるので、さらなる検査が必要だ。
中国発表の感染・死者数は本当か
 
 前出の富坂教授は「故意に過少発表しているとは考えにくい」と指摘する。

 「問題は診察が追いついていないこと。受診前に感染して亡くなった人もいるのではないか。中国では近くに病院がなかったり、仕事を休めず重症化したり、闇販売の期限切れの薬で治そうとする人もいるので実際はもっと多いだろう」。格差社会の問題か。
子どもの尿を飲めば予防できる
 
 中国で広まったようだが、前出の佐藤院長は「ありえない」と断言する。

「尿は体内で不用になったものを排出しているだけ。免疫力を上げることはありません。以前、朝一番に出た尿を飲めば健康になるというような健康法が流布されましたが、医学的根拠はありません」

  民間療法などにも注意が必要だ。

アルコール、塩素を身体に吹きかけて殺菌できる
 
 アルコールには殺菌効果がある。しかし……。

「手によくもみ込んで初めて効果があるもの。吹きかけるだけではほとんど効果は期待できません。また、塩素(次亜塩素酸)を人体に吹きかけることは健康上の問題があります」(前出の佐藤院長)

  塩素をバケツに入れ、コップや食器などを洗う用途ならば効果があるそうだ。
 うがい薬を使えば予防になる
 
 水道水でうがいをするよりは効果がありそうだけれども。

「うがい、マスク、手洗いが感染防止の3点セットと言われますが、私は手洗い、マスク、睡眠の順に効果があって、その下がうがいだと思っています」と前出・佐藤院長。

  一部のデータでは、うがい薬よりも水道水に効果ありとする報告も出ているという。
ニンニクを食べると予防になる
 
「いわゆる“ニンニク注射”は、エキスのビタミンB1を抽出したアリナミンを注射するもの。疲労が蓄積される乳酸に効果があって、疲労回復につながる。しかし、直接的な予防効果まではどうか」

 と前出の佐藤院長。

  疲労回復による免疫力アップが期待できるぐらいという。
花粉症と併発することがある
 
 市場からマスクが消えて困っている筆頭格は花粉症患者だろう。花粉症と感染がかぶることもありうるという。

 「花粉症はダルさ、目のかゆみ、くしゃみが特徴です。これに熱が出てきたり、咳が出たら、新型コロナの可能性が出てきます。花粉症の人は粘膜が弱いというか、敏感な体質ですから注意してください」(前出の佐藤院長)
中国で体温測定を拒むと拘束される
 
「もう法規制していますし、それは確実にやられますよ」

 と前出の富坂教授は言う。

 上海に住む外国人がマスクをせず外出し、体温測定を拒否して身柄拘束されたとのニュースが流れたのは2月17日のこと。そこまで強引に自由を奪うことにためらいはないのだろうか。

「やると決めたら、やる国なので外国人だろうと容赦はありません」(富坂教授)

  厳戒ムードが続く。
ごま油を身体に塗ると予防できる
 
 業界団体の日本植物油協会に質問すると、「感染防止の効能は聞いたことがないですね」(担当者)とのこと。

「ごま油はセサミノールという抗酸化物質を含み、身体にいいとされています。インドでは身体に塗ることもありますが、対ウイルスの効果はこれまで1件も報告がありません」(同)

  飛躍しすぎのようだ。


食塩水で鼻の中を洗うと予防になる
 
 想像するだけで鼻の奥がむずがゆくなる。

 前出の佐藤院長は、

「子どもが風邪をひいた場合、効果があるといわれています。特に鼻風邪には効くようです」としたうえで成人や高齢者には注意をうながす。

 「高齢者の場合は生理食塩水が気管に入って、肺炎を起こすケースがよくある。誤嚥性肺炎といいます。子どもは○、大人は△、高齢者は×というところですかね」(同)
 バナナを食べると感染する
 
「新型コロナウイルスはまだわかっていないことが多いため、バナナを食べて100%感染しないとは言い切れません。しかし、通常の風邪やインフルエンザを参考にすると、バナナ感染は考えにくい」

 と前出の佐藤院長。

 なぜバナナが出てきたのか理解できないといい、「むしろ栄養バランスがよく腹持ちする食べ物」(同)と評価する。

 日本バナナ輸入組合は、

「バナナには酵素の消化、整腸、抗酸化、脂肪燃焼、代謝促進の働きがあり、免疫力維持の一助になります。根拠のないデマなので、安心して食べてください」(広報担当)

 と逆アピール。

  今までどおり食べて問題なさそうだ。
東京五輪は中止になる
 
 IOCは予定どおり東京で開催する考え。しかし、ロンドン市長候補は「かわりにロンドンでもできる」と発言するなど先が読めない。

 スポーツジャーナリストの玉木正之さんは、感染の終息宣言を見据えて「私は3か月の延期を提唱する」と話す。

 「10月末ならばマラソンも東京でできる。強行して一部の国や選手が参加できなかったり、無観客試合になれば、平和の追求という五輪の精神に反することになります」
ペットは感染を媒介する
 
 厚労省はホームページのQ&Aで、「ペットからは感染しません」と明記している。

  ただし、ほかにも動物を媒介する感染症はあるとし、「普段から動物に接触した後は手洗いなどを行うようにしてください」と付け加えているので注意は必要。
肺炎のワクチンで予防できる
 
「肺炎のワクチンでは予防できないと思っています」と前出の佐藤院長。いまだ解明されていない部分が多く、結論づけるのは難しいという。

「世界中で研究・開発中ですが今年中にワクチンをつくるのは無理。過去の例ではおおよそ1年半かかってます」(同)

  待つしかない。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月末までに新型肺炎の完全収束がなければ東京五輪は絶望的な訳

2020年02月26日 10時01分03秒 | 医療のこと
4月末までに新型肺炎の完全収束がなければ東京五輪は絶望的な訳


感染拡大に歯止めがかからない新型肺炎。政府は2月25日にようやく基本方針を発表しましたが、遅きに失した感は否めません。なぜ安倍政権の対応は、ここまで後手に回ってしまったのでしょうか。ジャーナリストの高野孟さんは今回、自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、このような事態を招いた根本に政権の「緩み」があったと指摘。さらに厚労省の医系技官がダイヤモンド・プリンセス号の「隔離失敗」の原因となったとして厳しく批判しています。


4月一杯に新型肺炎を完全終息させないと五輪開催が危うくなる!──なのに何の危機感もない安倍政権の緩みっ放し

東京五輪の開会式は7月24日で、その2カ月前の5月半ば、大型連休明けになってもまだ新型肺炎に収まりがつかず燻っているようであれば、五輪そのものの開催が危うくなる。

第1に、その時期には早くも、各国のチームが続々と来日し、ホストタウンとなる全国約480の市町区に散ってトレーニング・キャンプに入る。その前に安心して来日できる環境を整えておかなければ、急遽キャンプ地を自国かアジア近隣で新型肺炎から安全なところに振り替えるとか、それも難しいので五輪参加そのものを諦めるチームが出てくるとか、大混乱が始まる。


第2に、事前のキャンプ入りを予定していないチームや選手も、7月までに本当に収まっているのかどうか、正確な情報を得た上で参加するかどうかの判断を迫られる。有力なチーム・選手であるほど、そしてプロ選手であればなおさら、選手生命を絶たれることになりかねない疫病には敏感になるだろう。


第3に、発生源となった中国がその時点でどういう状況となっているか分からないが、自国と日本とそれぞれの終息度を見極めた上で、場合によっては中国選手団全体が参加を見合わせることをも含めて、この時期には最終判断を下さなければならないだろう。少なくとも、中国は大丈夫だが日本はまだ危ないので中国選手団が来られないというみっともない事態は、絶対に避けなければならない。
第4に、五輪目当ての外国人観光客も、2カ月前にはツァー予約をキャンセルするかどうかの決断を迫られる。


2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合は、終息までに8カ月を要した。今回の新型肺炎も同じだとすると、昨年12月12日に武漢市で最初の症例が出ているので、今年8月9日の閉会式あたりまでが8カ月間に入ってしまう。しかも、発症しないままの人からも感染してしまうという今回の特殊性を考えると、いったん収まったかに見えてもまたどこか思いもかけない所からポコッと出てくるといった格好で、一層長引くこともあり得るだろう。少なくとも、8カ月より短くて済みそうだと見る根拠は何もない。


だからこれは、8カ月を少し繰り上げて、7月の開会式までに収まっていれば何とかなるだろうというものではない。8カ月かそれ以上と予測される感染蔓延期間を半分以下に折り畳んで、4月一杯に世界に向かって完全終息宣言を発せられないようであれば、五輪は数千万人が濃厚接触する究極のマス・ギャザリングの場と見做されて、5月から“崩壊過程”に入ることになるだろう。
小泉進次郎が対策本部会合をサボッたのは無理もない?

先週の国会では、小泉進次郎環境相が16日(日)に開かれた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の第10回会合を欠席し、地元後援会の新年会を優先してそこで酒を飲んでいたことが暴露され、謝罪させられた。さらに森まさこ法相と萩生田光一文科相が似たような理由でその会合に出ていなかったことも判明した。


何ともあきれ果てた大臣たちで、もちろん彼ら1人1人の危機感の欠如は指弾されるべきであるけれども、実はこの対策本部そのものが、最初から形骸化していたと言っていいほどお粗末なもので、安倍首相自身の危機感のなさが小泉らに伝染したというのが物事の実際の順序だろう。


安倍晋三首相を長とするこの対策本部は、1月30日に創設されて第1回の会合を開き、以後2月8日までに11回を重ねている。それだけ聞くと、政府もけっこう熱心に取り組んでいるじゃないかと思うかもしれないが、官邸ホームページの記録を見ると、その11回すべてが短くて10分間、長くて15分間で終わっていて、中身は、厚生労働省をはじめ他の関係省庁からデータなどをまとめた紙が1~2枚配られて説明があり、それを受けて安倍首相が役人が書いた挨拶の原稿を2~3分程度読み上げて終わる。何のためにこんなことをしているのかと言うと、回数を多くし、その都度の安倍首相の挨拶をビデオに撮って官邸ホームページにアップすることで「やっているフリ」を演出するのが目的なのである。


これを新聞の「首相の一日」で見ると、16日は「4時3分、新型コロナウイルス感染症対策本部。5時1分、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議。38分、私邸」となっていて、これを見ると、日曜日にもかかわらず4時から1時間半ほど、熱心に対策に取り組んだような印象を受ける。しかし、4時3分に始まった会合は4時15分には終わっていて、その後の45分間はたぶん休憩して、5時1分に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の第1回会合に出席はしているけれども、別の記録によると1時間ほど続いたその会合で安倍首相は挨拶だけして、たぶん15分ほどで退席して、家に帰ってしまった。

この2日前、14日には対策本部の第9回会合が開かれていて、これも「首相の一日」で見ると、「5時26分、新型コロナウイルス感染症対策本部。6時39分、東京・内幸町の帝国ホテル」となっていて、約1時間、対策に取り組んだかのようだが、記録によればこの会合も15間で終わり。一休みしてから帝国ホテルに行って何をしたかと言えば日本経済新聞社の会長、社長、論説フェローら幹部と2時間半ほどもかけた会食で、そのまま私邸に帰っている。


つまり、安倍首相自身が新型肺炎にほとんど関心を持っておらず、せっかく第1回の会合に集まってくれた専門家の話に耳を傾けるでもなく中座し、マスコミ大幹部の追従笑いに囲まれて美酒美食に酔うことの方を大事だと思っているのである。総理がそんな風なら自分も地元後援会の会合を優先してもいいんじゃないかと、たぶん進次郎は思ったのだろう。
厚労省の「危機管理担当審議官」は一体誰でしょう?


この内閣にまともな危機感がなく、ましてや4月中に何としても終息させないと五輪が潰れるという国家的一大事になるという切迫感もないことのもう1つの現れは、厚労省の危機管理担当審議官としてダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んで指揮をとっているのが、あの大坪寛子だという悲惨な事実である。
審議官にも厚労省の場合は3種類があって、


(1)いちばん偉いのは「厚生労働審議官」。これは官僚No.1の「厚生労働事務次官」に次ぐNo.2で、審議官も次官と同様、たいていは東大法学部出身の文系事務職と決まっている。

(2)その次がNo.3に当たる「官房長」で、その両脇の局長級ポストとして2人の「総括審議官」がいる。

(3)さらにその下に〔上に何も付かない単なる〕「審議官」がいて、これは局次長級の、民間で言えば担当役員という役回りになる。厚労省では15人も居て、その筆頭にあるのが大坪寛子。「危機管理、科学技術・イノベーション、国際調整、がん対策、国立高度専門医療研究センター担当」と職掌が明記されている。


さて、厚労省には「医系技官」という系列があり、その頂点は(1)の事務次官に職階上で匹敵すると言われているが実際にはNo.1.5という感じの「医務技監」、(2)の「総括審議官」のうちの1人は医系だが、国際保健機関との連絡担当に仕事は限られているようだ。その下に(3)のヒラの「審議官」がいるのだが、その中でも筆頭に位置して危機管理とかイノベーションとか国際調整とかの包括的な分野をいくつも任されているのが大坪で、彼女がそこまで上り詰めたについては愛人の和泉洋人総理大臣補佐官のバックアップによるところが大きかったとされている。その彼女が、厚労省の職階上、危機管理の最高責任者としてこの事態に立ち向かっていて、途中からは自らプリンセス号の船内の同省対策本部に入って指揮していると言われるのだが、そんなことで大丈夫なのか。

今更語るのも恥ずかしいことだが、公費による内外同伴出張でコネクティング・ルーム(という言葉を今回初めて知ったが)を現地大使館などに用意させたり、京都でかき氷をアーンと口に入れてやるところとか、銀座で酔って手を繋いで歩いているところとかを週刊誌に写真に撮られたりして、自分の危機管理すらまるでなっていないような人が、どうして国家の危機管理を担当できるのか。そもそもこれだけの不潔としか言い様のない男女関係スキャンダルで和泉と大坪に何の処分も加えないことが政権の腐朽の証左だし、それどころかその大坪をこの国家的危機の現場責任者にしてはばからないというのが、もうこれは世も末である。


とはいえ、これはこの危機的事態の時にたまたまこのポジションにいた彼女の個人的な資質の問題で、根本は、組織体制の問題である。この危機管理担当審議官が誰であろうと、厚労省の医系技官というのは、確かに医学部出身で医師免許を持っているとはいえ、ほとんど、あるいはまったく、臨床経験もなく、ましてや世界中の感染症対策の現場で命懸けで戦ったことがある人など皆無である。そういう人たちが官僚制度の職階上でだけ偉くなって、その中には安倍首相や菅義偉官房長官に近い補佐官を愛人にしたおかげで何階級か特進して上の方に行ってしまったというような人もいたりして、そういう連中がこういう緊急事態の際にすべてを取り仕切る権限を握ってしまうことの悲劇である。

岩田健太郎医師の告発にほぼ問題は浮き出ているのでは
ダイヤモンド・プリンセス号への対処を中心として、日本のこの問題への対応が世界中の非難対象になるほど酷いことになったのかの総括は、すべてが一段落した後に詳しく論じられることになろう。


今の時点で直感的に判断する限り、この国が危機管理ができない致命的な原因は明らかで、9・11では経産省のとりわけ今井尚哉=現首相補佐官を筆頭とする原発官僚であったのと同様に、今の厚労省では大坪を象徴とする医系技官の無為無能のためである。


神戸大学の岩田健太郎医師のYouTube映像を通じての告発が話題になり、余りの反響の大きさと、恐らく彼が指摘した問題点のいくつかを改善するとの厚労省側からのアプローチもあったのではないかと推測されるが、彼は問題提起の目的は果たしたと言ってそれをYouTubeから削除した。

根源的には「そもそも常駐しているプロの感染対策の専門家が1人もいない」「やっているのは厚労省の官僚たち」にすぎないということである。そのため、何が船内で起きているかというと、「レッドゾーンとグリーンゾーンと言って、ウイルスがまったくない安全なゾーンと、ウイルスがいるかもしれない危ないゾーンをキチッと分けて、レッドゾーンではPPEという防護服をつけ、グリーンゾーンでは何もしなくていい。こういう風にキチッと区別することによって、ウイルスから身を守るのが我々の世界の鉄則。ところが、ダイヤモンド・プリンセスの中はグリーンもレッドもぐちゃぐちゃで、どこが危なくてどこが危なくないのか、もう、どこの手すり、どこのじゅうたん、どこにウイルスがいるのか、さっぱりわからない」という状態に陥っていた。


どうしたらいいのかと言うと、「日本にCDC(疾病管理予防センター)がない」ということに行き着く。米国のそれは、本部7000人、地方と海外の支部8500人、計1万5500人の様々な分野の専門家を常時抱えていて、予算も日本円で1兆5000億円。それに対して日本のそれに当たる国立感染研究所は人員306人、予算41億円。もう涙ぐんでしまうようなお粗末な現実である。しかし専門家の中には、今から別途に日本版CDCを作るよりも、感染症研究所と各県・主要都市にある衛生研究所を巧くネットワークして活用すれば、日本の医師や専門家たちの力量からすればいかなる危機にも対応可能だという主張もある、

今それを判断するだけの材料を持ち合わせないが、要するに、厚労省の医系技官が何でも分かっているかのような顔をして権限を振るっているのを許していると、この国は滅びに向かうののではないかという予感に取り憑かれる。

ちなみに、中国には米国を模倣したと思われる中国版CDCがある。それがどれほどのものであるかはこれから調査しようと思うが、その名の組織があるだけ日本よりマシなのではないか。
image by: 首相官邸



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政府対応に批判収まらず 基本方針にも疑問の声 新型コロナ

2020年02月26日 09時34分46秒 | 政治のこと
政府対応に批判収まらず 基本方針にも疑問の声 新型コロナ


新型コロナウイルスをめぐる政府対応への批判が収まらない。

 主要野党は、例年なら若手を質問に立てる衆院予算委員会の分科会に「論客」を送り込み、政府が決定したばかりの基本方針の問題点を追及。政府は防戦を余儀なくされている。

【写真】マスクの出品についてメルカリが発表したコメント

 「(国民から)一番出ているのはウイルス検査を受けたくても受けられないという声だ。だが、基本方針には検査の拡大が入っていない」。野党共同会派の山井和則元厚生労働政務官は25日、厚労省所管分野を扱う第5分科会で、基本方針は国民の期待に応えていないと指弾した。

 野党が問題視したのは、基本方針が今後のウイルス検査の対象を「入院を要する肺炎患者」に限定していくことを示唆している点だ。

 山井氏は今の基準に満たないとして検査を拒否された国民の声を紹介しながら、「大幅に検査を受けやすくすべきだ」と要求。加藤勝信厚労相は「(現場の対応)能力を見極め、必要な方を優先せざるを得ない」と述べ、理解を求めた。

 これまでのウイルス検査の実施件数を問われた加藤氏が「分からない」と答えると、山井氏が「ここ1、2週間がヤマ場だと指摘される中で、あまりに無責任だ」と語気を強める場面もあった。

 主要野党が問題視するのは基本方針だけではない。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から下船した栃木県在住の女性らの新型ウイルス感染が確認されたことを受け、政府が船内で講じた感染防止策や、下船客を公共交通機関で帰宅させた判断の妥当性を問う声も強まっている。

 医師でもある国民民主党の岡本充功氏は「船内隔離は完璧ではなかった」と追及。加藤氏は「下船後に陽性となった事実は重く受け止める」と苦しい答弁に追われた。政府の専門家会議座長の国立感染症研究所の脇田隆字所長も「どんな問題があったかを含めて検証していきたい」と語った。

 政府が後手に回っているとの批判は与党内からも漏れている。25日の記者会見で対応の遅れを問われた菅義偉官房長官は「これまで先手先手で対応してきた。基本方針も今後、患者が増加する局面を想定しており、ある意味で先手先手だ」と強調した。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする