後手後手に回ったコロナ対策で、菅政権が窮地に陥っている。自民党内では“泥船”の菅政権を見限る動きも始まってきた。
2021
緊急事態宣言の国会報告が行なわれた1月7日の衆院議院運営委員会。トップバッターに立った自民党の松本洋平・元経産副大臣(東京19区)が、西村康稔・経済再生相に厳しい質問を浴びせた。
「去年12月には新規陽性者数が過去最多の水準になっていた。年明けのこのタイミングで発令した理由は何か。もっと早く出すべきだったとの批判にどう答えるのか」
野党より厳しい追及だ。それもそのはずで、内閣支持率は急落を続け、NHKの1月調査では支持率40%で不支持率(41%)が上回った。緊急事態宣言については「遅すぎた」が79%に達している。いまや自民党議員は菅首相を批判しないと選挙で生き残れないのだ。
週刊ポストでは、政治ジャーナリスト・野上忠興氏の協力で衆院の全選挙区と比例代表の選挙予測を行ない、自民党にとって最悪ケースでは、53議席減で過半数割れもあり得ると報じた。
実は、自民党もこの年末年始にひそかに世論調査を行ない、全小選挙区の情勢を調査していた。自民党選対関係者が語る。
「全体の結果は菅総理と二階俊博・幹事長らごく一部の幹部にだけ報告されたが、現段階でも小選挙区だけで40議席くらい減らす可能性がある。各議員にはそれぞれの選挙区の情勢が伝えられ、どんな手を使っても挽回しろとムチが入っている」
苦戦を知らされた議員たちは、票が取れるなら、総理批判であろうとなりふり構っていられない。自民党の大臣経験者が言う。
「衆院選を巡る状況は、追い込まれ解散で自民党が大敗した麻生内閣の時(2009年)にものすごく似てきた。コロナ対応が後手後手に回り、地元を回っても“今頃緊急事態宣言なんて何をやってるんだ”と言われ、強い逆風を感じる。支持率はもっと落ちていくだろう」
菅首相への党内からの批判も今後増えるという。
「選挙が終われば総理は代わる。ポストが欲しいベテランも選挙が厳しい若手も、菅さんの顔色を窺う必要はなくなった」(同前)
入院拒否で1年以下の懲役または100万円以下の罰金-。新型コロナウイルス感染者が入院や疫学調査を拒否した場合に罰則を設ける感染症法改正案が波紋を広げている。