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炭水化物の摂取量が多いほど死亡リスクが高まり、脂質の摂取が多いほど死亡率が低下する>一流医学誌に衝撃論文>

2021年12月05日 13時00分22秒 | 医療のこと
糖質制限」論争に幕?一流医学誌に衝撃論文>

ランセット』といえば、医学界では知らない人のいない権威ある医学雑誌である。そのオンライン版に掲載された論文が話題を呼んでいる。要点をいうと、

「炭水化物の摂取量が多いほど死亡リスクが高まり、脂質の摂取が多いほど死亡率が低下する」という内容。

12/24/2020

「脂質をなるべく減らしましょう」という日本の従来の健康常識を真っ向から覆す研究報告であり、波紋を呼んでいるのだ。
この論文の内容と意義などについて、『江部康二の糖質制限革命』の著者・江部康二氏に解説してもらった。



炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という論文が、『ランセット』のオンライン版(2017年8月29日)に掲載され、医学界で話題を呼んでいます。ちなみに『ランセット』というのは、世界で最も権威ある医学雑誌の一つです。ここに掲載されることは、医学界ではかなりインパクトが大きいことなのです。
なお、炭水化物は「糖質+食物繊維」ですから、「糖質の摂取増加で死亡リスク上昇」と言い換えてももいいでしょう。

糖質を取り過ぎると死亡リスクが高まる

このことは一般の人には衝撃的かもしれませんが、糖質制限食を推進してきた私からしますと、「日頃の主張がとうとう証明された」という印象です。
やはりわれわれの仲間で湿潤療法の創始者として有名な夏井睦医師が2013年に『炭水化物が人類を滅ぼす』(光文社新書)という本を出しベストセラーになりましたが、まさに正鵠を射ていたといえます


この論文は、カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan博士らが報告したもので、5大陸18カ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)の結果です。


2003年1月1日時点で35~70歳の13万5335例を登録し、2013年3月31日まで中央値で7.4年間も追跡調査しています。

これまでの研究データのほとんどが、栄養過剰の傾向にある欧米のものであったのに比べ、低所得、中所得、高所得の18カ国を網羅しており、その点でも信頼性の高い研究だといえます。


論文の要旨は下記のとおりです。
①炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連
②総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連
③総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していない
④飽和脂肪酸は脳卒中と逆相関している

 
つまり、炭水化物をとるほど死亡リスクが高くなる一方で、脂質の摂取量が多いほど死亡リスクは低下するということです。特に飽和脂肪酸の摂取量が多いほど脳卒中のリスクは低くなるということです。

以上のことが確認されたことから、画期的な内容といえます。
「今回の結果を踏まえ、世界的な食事ガイドラインを再検討すべきである」と著者は提言しているのですが、当然と思います。

炭水化物6割以上は避けるべきである
この研究では、「炭水化物の摂取量が60.8%以上の群では、死亡率が上昇する」という結果が出ています。


しかし、日本の医療現場などで指導されるカロリー制限食では、6割くらいの糖質量になってしまいます。これでは、糖尿病に限らず、生死にかかわる健康リスクが増大してしまいます。

これまでの指導基準を改め、糖質量を控えた食事を指導するように変えていくべきでしょう。

また、和食はどうしても糖質量が増えてしまいがちです。従来の日本人の食事では、糖質(炭水化物)がやはり6割くらいの割合になります。
特に外食のランチで見られる「麺類+ご飯物」のような食べ方をしていれば、糖質量は6割をはるかに超えてしまいます。

正しい糖質制限食の考えを取り入れた食事に改められることをお奨めします。



また、「脂質の摂取量が多いほど全死亡リスクが低い」という結果には驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。「脂質を取るのをなるべく控えましょう」というのが従来の健康指導でした。今もこのように食事指導する栄養士が多いようです。

でも、前回(「栄養」について知らない「栄養士」が多すぎる)解説したように、「脂肪=悪玉」説は世界的には否定されています。「食事でコレステロールをたくさんとっても、血液のなかのコレステロールが増えるわけではない」ということが最近の研究で明らかにされているのです。

そこで、2015年2月にアメリカでは、栄養療法の指針が改訂され、食事のコレステロールについては気にしなくていいことになりました。

日本でも、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」2015年版で、コレステロールの摂取基準を撤廃しました。

にもかかわらず日本では、相変わらず「脂肪を減らしてその分、炭水化物を増やしましょう」という誤った指導が堂々と行われているのが現状です。早く認識を改めていただきたいものです。


繰り返される根拠なき糖質制限批判

また、今回の研究報告とは逆に、「糖質制限は危険」などと“警告”する医師・専門家が日本ではいまだ見受けられます。


でも、ほとんどの方が過去の常識にとらわれ、単に不勉強なだけです。現在では、日本糖尿病学会の理事長も糖質制限を取り入れるなど、学会の主流派の方々も変わりつつあります。最新の栄養学を勉強していただければ、糖質制限食の有効性と安全性がご理解いただけるはずです。


しかしながら、まだまだ一般の医師らには理解が十分進んでいないのが現状のようです。

先日も、ある週刊誌で「糖質制限ダイエットで総死亡率やがん死亡率が増える」という記事がありました。いつものように不勉強な医師による記事だろうと思って見たら、ある高名な医師のインタビューだったので驚きました。


でも、その内容はというと、根拠としている論文は2010年と古いものでした。しかも、その中で「糖質制限食」としているものは、到底「糖質制限食」とは呼べないくらい糖質が多い食事だったのです。

以前、「糖質制限ダイエットの恐ろしい『落とし穴』」でも解説したように、自己流の誤った糖質制限を行った場合の危険性はあります。でも、正しい糖質制限食はきわめて安全で理にかなった健康食です。

日本の医師・専門家も、世界的な潮流に目を向けて、「正しい糖質制限食」の啓蒙に力を入れていただきたいと願っております。



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日本の企業は入社後3年間で約3割が離職する! 調査でわかった「スグにヤメる新入社員」に“共通する傾向”とは

2021年12月05日 10時01分23秒 | 雇用と職のこと
>義務でやらなければならない学業は頑張らずに、趣味やクラブ、アルバイトという自分の好きなことばかりに注力している学生はリアリティ・ショックを受けやすく、離職しやすい

10/26/2021

日本の企業は入社後3年間で約3割が離職する! 調査でわかった「スグにヤメる新入社員」に“共通する傾向”とは


日本の就職試験は不毛な過程が重視される? 採用において「面接」が精度の低い選考方法である“決定的証拠”  から続く 


【写真】この記事の写真を見る(3枚)  

日本では約30年にもわたって「3年で3割の新卒者が離職する」状況が続いている。コストをかけて学生を採用した企業にとっても、そのような現状は由々しき事態だ。離職に歯止めをかけられない理由は何なのだろうか。そして、離職者を減らす方法はあるのだろうか。


原因と考えられるのは「リアリティ・ショック」


 それではなぜ、新卒社員は辞めていってしまうのでしょう。その理由を考えるのに、パーソル総合研究所の2019年に発表された「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」は示唆に富むデータが満載です。 

 この調査によると、報酬・昇進・仕事のやりがい・働きやすさなどについて、入社後に何らかの事前イメージとのギャップ(リアリティ・ショック)を持ち、「期待外れ」であったと感じる新社会人は76.6%におよぶことがわかっています。実に約8割という驚くべき数字です。

  彼らは何にギャップを感じているかといえば、「報酬・昇進昇格のスピード」(思ったより早く昇給・昇進できない)や、「仕事から得られる達成感」「仕事のやりがい」「仕事で与えられる裁量」などの仕事内容についてでした。  

同調査において、このリアリティ・ショックが高い新入社員ほど、成長実感がなく、仕事を楽しんでおらず、3年以内に離職していることも判明しました。つまり、3年以内離職の原因の一つとして、このリアリティ・ショックが関係していることが窺えます。



学業に力を入れている人は「リアリティ・ショック」が少ない


 さらに、同調査では、どのようなタイプの新入社員が、リアリティ・ショックが高くなってしまうのかについても検討しています。その結果、入社前に「将来やりたいことが決まっていること」との関係が示されています。リアリティ・ショックの高低で分けると、大学3年の冬の時点で、リアリティ・ショックが低い群の6割は、将来のやりたいことが決まっている一方、リアリティ・ショックが高い群は3割を下回っていたのです。  

そして、学生時代に早期に「将来やりたいこと」が決まっている学生(以下、決定層)は、決まっていなかった学生(以下、未決定層)と比較すると、学業に力を入れていることもわかりました。


「学生時代で時間をかけていた活動」という調査項目において、「大学で授業や実験に参加する」という質問でYesと回答した人は、決定層では79.7%に対して、未決定層では66.7%でした。また、「授業に関する勉強(予習や復習、宿題・課題など)」では、決定層で60.3%、未決定層で45.6%、「勉強のための本(新書や専門書など)を読む」では、決定層で48.3%、未決定層で37.8%でした。加えて、「授業とは関係のない勉強を自主的にする」という質問でも、決定層で49.1%、未決定層で31.8%という差がありました。(※上記データ、いずれも1%水準で有意差あり)

 ここでは、長年人事業界に携わる辻太一朗氏、曽和利光氏の著書『 日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか? 』(星海社新書)の一部を抜粋。3年以内に離職してしまう新入社員たちに見られる傾向を紹介する。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

 ◆◆◆

何十年も続く「3年で3割の新卒者が離職」する事実


 厚生労働省が2020年に実施した調査によると、2017年3月に大学を卒業して就職した大卒の新卒社員のうち、3年以内に仕事を辞めてしまう人は32.8%でした。その内訳を見てみると、1年以内に辞めた人は11.6%、2年以内が11.4%、3年以内が9.9%となります。1年目に辞める人が最も多く、経験を重ねるごとに少しずつ離職率が低くなる傾向にあることがわかります。 


 さて、この状況はいつからあったものなのでしょうか。そこで、さらに30年前からのデータをすべて見てみると、バブル崩壊の翌年、1992年が23.7%と最も離職率が低く、逆に最も高いのは2004年の36.6%という結果でした。しかし、いずれにせよ、この30年間、おおよそ3割の大卒の新入社員が離職していることに変わりはありませんでした。

 つまり、よく巷で聞くことの多い「最近のゆとり教育で育った若者は我慢が足りず、すぐ辞めてしまうのだ」というような事実はまったくなく、3年で3割辞めるという現象は30年前からほとんど変わらない傾向なのです。30年前の学生、つまり現在ではすでに中高年世代の人々も、変わらず「3年3割」辞めていたのです。



やりたいこと決定層」は学業、「未決定層」は趣味・クラブ・アルバイト


 さらに興味深いことに、同調査では「学生時代で最も重点を置いていたこと」(まさに、これは「ガクチカ[編集部注:学生時代に力を入れたこと]」です)を単一回答で答えさせているのですが、決定層と未決定層では、まさに対照的な結果となりました。 

 決定層が選んだものは、「資格取得」「勉強」「豊かな人間関係」でしたが、未決定層が重視していたのは、「アルバイト」「クラブ」「趣味」でした。そして、選ばなかったものは逆転し、決定層は「アルバイト」「クラブ」「趣味」で、未決定層は「資格取得」「勉強」「豊かな人間関係」でした。 

 この結果を、これまでの我々の調査や考察と合わせてみると理屈がつながるように思えます。つまり、学業に力を入れている学生は、将来やりたいことを入社前に早期に決定していて、その結果リアリティ・ショックが少なく、離職もしにくくなる傾向がある。逆に、あまり学業に力を入れずに、自分のやりたい趣味やクラブ、アルバイトに注力している学生はなかなか将来やりたいことが決まらずに、就職後にリアリティ・ショックを受ける可能性が高く、そして離職をしやすくなる可能性があるということです。 

 これまで採用面接での「ガクチカ」質問で、クラブやアルバイトのことばかり聞いてきた採用担当者にとっては、意外な結果ではないでしょうか。

「好きになれること」自体は高評価できる



 ここまで、クラブやアルバイトに力を入れている人の「傾向」について、調査にもとづいて述べてきました。簡単にいえば「決してプラスとはいえない」という、長年採用面接を行ってきた筆者(曽和)にとっても驚きの結果ではありましたが、なぜこのようなことになったのかについて、ここからは考察してみたいと思います。 

 そもそも、クラブやアルバイトはどのように始めるものでしょうか。大学生になったら、全員がやらなくてはならない義務でしょうか。当然そうではありません。これらは学生が自発的に好きで行ったことです。嫌ならやらなくてもよいことです。


  もちろん、そういう「やらなくてもよいこと」を自発的に始めること自体は大変素晴らしい行動であり、それを高く評価する企業も多いでしょう。クラブやアルバイトを頑張っている人が悪いなどということは決してありません。ここはくれぐれも誤解のないように強調しておきます。 

 このように好きなことを頑張れるということはまったく悪くありません。さまざまなことの中から特定の対象を「好きだ」と感じてコミットできることは才能ですし、それを高いレベルで追究できることは素晴らしいことです。近年では、自分の好きな領域に熱中してのめり込んで、深い専門性を身につけることができる、いわゆる「オタク気質」を高く評価する企業はとても増えています。ですので、繰り返しますが「物事を深く好きになることができること」「熱中できること」「没頭できること」自体に関しては高く評価されるでしょう。


問題は、好きなこと「しか」頑張れないこと


 ただ、好きなことであれば、それをモチベーション高く頑張ることができるというのは当然のことともいえます。極端な例ですが、採用面接の際に、「私はディズニーランドが好きで、年間パスポートを持っていて、毎週のように通っているので、年間数十回も行っています」と聞いたところで(実際にそういう自己アピールをしてくる人は存在します)、面接官は「それはすごい継続力だなあ」などとは思いません。ただ単に、「この人はとてもディズニーランドが好きなのだなあ」と思うだけで、採用上の評価に組み込むことはないでしょう(むしろ、すごいのはその人ではなく、その人を年に数十回も呼び寄せるディズニーランドです)。 

ですから、好きになれること自体は評価されても、好きなことを頑張ることができることはそれほど評価されない場合が多いのです。むしろ、評価に関係してくるのは、好きでもないこと、義務でやらねばならないこと、やりたくもないのに巻き込まれてしまったことで、どのぐらい頑張ることができるかどうかです。なぜなら仕事で高い業績を出せる人は、このような「好きでもないこと」においてでも頑張れる人だからです。


どんな仕事にもたくさんある「嫌なこと」を頑張れるか


 すでに何年も仕事経験のある社会人の皆様には釈迦に説法ですが、毎日やっている自分の仕事がすべて好きなことばかりでできているという幸運な人はほとんどいません。好きな領域の仕事に就いていたとしても、その中には雑務やらルーチンワークやらトラブル対策やら、嫌なことも多分に含まれているのがふつうです。それらをこなさなければ、結局は、好きな領域の仕事であっても、最終的には高い成果を上げることは難しいのが現実です。それで、高業績者は「嫌なことでも頑張れる人が多い」のです。 

 以上のような考え方は、多くの企業の採用面接における基準の一つになっています。ですから、好きなこと「しか」頑張れないと判断されると、低い評価につながる可能性が高くなるのです。実際、この評価の考え方は、義務でやらなければならない学業は頑張らずに、趣味やクラブ、アルバイトという自分の好きなことばかりに注力している学生はリアリティ・ショックを受けやすく、離職しやすいということにも符合します。

  やはり、面接官は「ガクチカ」で学生が好きなことについての話ばかりするのを黙って聞いていてはいけませんし、就職活動をしている学生の側も、「自分は好きではないことでも頑張れる」ということをきちんと証明するために、趣味やクラブ、アルバイトだけではなく、学生の最大の義務である学業についても話すべきなのです。




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パトカー」も同様の被害に…路上にネジ3本貼り付けた金属板 車に踏ませパンクさせた疑いで55歳男逮捕

2021年12月05日 09時15分13秒 | 事件と事故
2021>
2月2日、岐阜市で路上にネジを置き、通過した車のタイヤをパンクさせたとして55歳の男が逮捕されました。 

 逮捕されたのは、岐阜市の会社員・福田和弘容疑者(55)で、2月2日、岐阜市桜通の路上にネジ3本を金属板に貼り付けて置き、通過する乗用車に踏ませてタイヤをパンクさせた疑いが持たれています。 

 警察によりますと、付近の防犯カメラの映像などから福田容疑者が浮上し、自宅からは加工された複数のネジなどが押収されていて、調べに対し容疑を認めています。 

 岐阜市では2019年6月以降、ネジを踏んで車のタイヤがパンクする被害が十数件あり、去年8月にはパトカーのタイヤもパンクしていました。  警察はいずれも福田容疑者が関与した可能性が高いとみて、余罪を追及しています。
東海テレビ


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選手村でクラスター発生の危険 建物構造もコロナ対策に大きな欠陥【本当にやるのか? 東京五輪7つの壁

2021年12月05日 06時25分37秒 | 社会のことなど

【本当にやるのか? 東京五輪7つの壁】#2 

 政府と東京オリンピック・パラリンピック組織委員会、都、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者会合が、3日開かれる。オリンピック開催後の新型コロナウイルスの感染爆発を防ぐため、無観客開催を含む対応を協議する見通しだ。だが、無観客となったところで感染拡大のリスクが消えるわけではない。  

3/6/2021

オリンピックとパラリンピックで計1万5000人余りの選手が参加する予定だ。選手のコーチやスタッフはもちろん、報道関係者は計3万5000人余りが見込まれ、数万人超の外国人が入国する。

出国時にPCR検査で陰性証明を求めるが、もともと精緻に欠ける検査方法であり、偽陰性を排除できない。しかも選手は、入国後2週間の待機を免除される。不十分な感染対策のまま訪日外国人を入国させ、感染爆発するリスクと構図は同じだ。

  選手の場合、感染リスクはより高い。IOCはオリンピック選手を選手村に宿泊させ、競技外での交流を求めている。コロナ前は「平和の祭典」「スポーツの祭典」を体現する仕掛けが、コロナ禍では感染リスクを高める。 

 IOCと組織委は、感染対策指針「プレーブック」を公表した。選手は入国時とオリンピック村入村3日前、以後は4日ごとに検査する。PCR検査と明記しておらず、検出率が劣る抗原検査の可能性もある。

テニスの全豪オープンが選手全員を隔離し、毎日のPCR検査を義務付けた厳格さと比べようもない。 

 IOCのバッハ会長は東京大会開催の根拠として、他のスポーツ大会の開催を引き合いに出すが、対策は同程度でなくてもよいというのか。 

 選手村(写真)の構造もコロナ対策に大きな欠陥がある。大会後に分譲マンションとなる建物の約3800戸を利用するため、1部屋に複数人の宿泊が基本だ。選手のひとりが感染すれば、同じ部屋の選手は濃厚接触者となり、最悪の場合はクラスターとなる恐れが強い。 

 また、食事は4500人収容の24時間運営の大食堂が中心だ。「プレーブック」では、2メートルの距離を取り、同じグループで食事し、食事後に消毒するとしている。日本の飲食店の時短制限と比べ、緩いやり方で感染を防ぐことができるのだろうか。 

 何より問題なのは、出身国の感染状況の違いによる選手の環境格差だ。高齢者のワクチン接種が進み、都市封鎖が解かれる国の選手は練習環境も整う。イスラエルは世界先進のワクチン接種率を誇るが、占領地のパレスチナへのワクチン供給は限定的だ。コロナ禍で最終予選中止が決まった男女ボクシングで、日本人選手5人の出場が絶望的となった。

「アスリートファースト」で大会開催を主張する陰で、選手間の不平等は見向きもされない。これがオリンピックの現実だ。 (後藤逸郎/ジャーナリスト)

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