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ドムドムハンバーガーが“攻めすぎ”なバーガーを出し続けるワケ。丸ごとカニ、はみでるアジフライetc.

2024年11月17日 12時03分58秒 | 食のこと
ドムドムハンバーガーが“攻めすぎ”なバーガーを出し続けるワケ。丸ごとカニ、はみでるアジフライetc.

3・9・2022



ドムドムハンバーガーは1970年創業の日本最初のハンバーガーチェーンとして知られる。あまりに独特すぎるその商品がネットを中心に話題になり続けたこともあり、近年カルト的とも言える注目を集めている。その“仕掛け”の裏側に迫った。



「元大手」復活のカギを握るアイデアマン


現社長の藤﨑忍氏は専業主婦から渋谷109のギャルショップ店長、新橋で居酒屋の経営者という異色の経歴を経て’19年に社長就任。その破天荒かつ実直な経営手腕で、ドムドム復活の狼煙を上げている


稲田:ドムドムハンバーガーって日本で最初のハンバーガーチェーンなんですよね。 

浅田:はい、最初は米国マクドナルドと提携の話が進んでいたのですが、うまく進まず、自分たちで純国産チェーンを展開することになったようです。私は’97年からドムドムに関わることになり、そこで当時、商品開発アドバイザーとしてドムドムに関わり始めたばかりの現在の社長、藤﨑忍と出会いました。 彼女はとにかく意志の強い人でしたね。それまでのドムドムの商品開発は、とにかく場当たり的だったんです。世間で高価格のプレミアムバーガーがはやるとすぐそれに追随し、やってみて売れないと今度は低価格路線に舵を切る、みたいな。 そこを藤﨑は、地域密着型の庶民派チェーンであるドムドムは他社にない「和の要素」を打ち出すという信念を持って商品を作り上げていったんです。

手づくり厚焼きたまごバーガー」誕生のウラ側

ドムドムフードサービス取締役部長の浅田裕介氏(左)、イナダシュンスケ氏


稲田:なるほど、そこで生まれた商品が当時大ヒットし、今も定番商品として続いている「手づくり厚焼きたまごバーガー」ですね。

 浅田:そうです。藤﨑は和風路線として「たまご焼きバーガー」は絶対にやりたいと主張しました。「たまご焼きが嫌いな日本人はいない!」と断言して(笑)。 

稲田:ああ、それであれは決して「オムレツバーガー」ではなくて、ダシが効いてほんのり甘い「たまご焼き」なんですね。それにしてもあれ、注文ごとに店舗で焼いていると聞きました。普通、チェーン店ではそこまでやりませんよね。 

浅田:最初は(業務用の)既製品を使うことも検討したんですけど、あれ、意外と高いんですよね。 

稲田:その割にそんなにおいしくない……。 

浅田:なので藤﨑が味を決めて、私がそれを店舗オペレーションに落とし込みました。加熱はほぼ電子レンジで、なおかつ変色しないように調味料などを選定して。

 稲田:電子レンジだったんですか。確かに配合次第で電子レンジでも卵はふわっとなりますしね。調味料の配合でpH(酸度)を調整して、仕上げは鉄板で両面を焼く? 

浅田:そうです。おかげさまで当時爆発的に売れ、今でも安定した人気になっています。 

稲田:最近、「だし巻きサンドウィッチ」がちょっとしたブームですけど、完全に先駆けてますよね。先見の明! 

浅田:いや、そんな意識はなかったと思いますよ(笑)。ただただたまご焼きバーガーを世に出したかっただけ。


独特すぎる”バーガーたち


ビジュアルが物議を醸した伝説の「はみでる!アジフライバーガー」

ビジュアルが物議を醸した伝説の「はみでる!アジフライバーガー」

稲田:和風路線といえば数年前に「鯖タツタバーガー」「アジフライバーガー」を続けざまにリリースしましたよね。私、あれで「ドムドムって最近なんか妙に面白いことやってる?」と気づいたんです。 

浅田:四角い白身魚フライを挟んだフィッシュバーガー的なものって定番ですけど、当時のドムドムにはなかったんですよね。でも、どこにでもあるものをやるのもつまらないな、と。だから白身フライにこだわらず、季節ごとに違う魚でバーガーを出そうと。 

稲田:その発想が独特ですよね。でもちょっと独特すぎるような……売れましたか? 

浅田:思ったほどじゃなかったですね。でも、アジフライはいろんなところで取り上げてもらいました。あれで「ドムドムってまだあったんだ」と気づいてくれた人も多かったんじゃないですかね。実はほかにもいろんな魚で試したんですけど、マグロだとなんだかチキンバーガーとそう変わらないし、鯛だと高くつく割には普通のフィッシュバーガーで……。  
   

売り上げトップの「ビッグドム」シリーズ

 稲田:和風以外だと「ビッグドム」が印象的でした。牛肉の味そのものが濃密で、あれビーフ100%ですか? ド直球の高品質プレミアムバーガーで、ドムドムの「庶民派」的なイメージをあっさりと覆してくれました。価格は相変わらず妙に安かったですけど。 

浅田:実はビッグドムシリーズは売り上げトップのメニューなんですよ。しかもシリーズ中で最も高額な「ビッグドム トマト&チーズ」が一番人気。これはまったく予想していませんでした。パティは正確に言うとビーフ100%ではなく、玉ねぎなどの副材料が10%だけ入ってます。ウチはテイクアウトが多いから、冷めてもおいしくなきゃいけないってことも大事で。

 稲田:そのあたりがハンバーガー最古参の老舗らしいすごみですね。ネットではある種「色モノ」的に話題を呼ぶも、その根幹は正統派。しかもお客さんはその正統派としての実力を支持しているという構図。実にかっこいいです。ネットの話題としてはなんと言っても殻ごと食べられるソフトシェルクラブを使った「丸ごと!!カニバーガー」ですね。なぜあんな突拍子もないものを思いついたんですか?




SNSでバズった「丸ごと!!カニバーガー」。味も抜群で大人気商品に

SNSでバズった「丸ごと!!カニバーガー」。味も抜群で大人気商品に

浅田:よくそう言われるのですが、自分としては特に奇抜な商品というふうには思ってなかったんですよね。普通の食材。アメリカとかではソフトシェルクラブのサンドなんて割と当たり前ですし。 

稲田:そうかもしれませんけど、日本ではあんまりなじみがないじゃないですか。しかも結構な高額食材だし。バーガーで980円は決して安くはない、っていうか明らかに高いですけど、それでも原価率で50%超えますよね。 

浅田:前年に「丸ごと!!カマンベールバーガー」が、同じような価格と原価率でかなりヒットして、だったらカニもイケるだろうと考えました。どこでも売ってるカマンベールだと原価が透けて見えちゃうけど、ソフトシェルクラブならそこもぼかせるな、と。おかげさまで予想の倍どころではない大ヒット商品となりました。  
   

最初はネタのつもりだった

 稲田:そしてそこからの「丸ごと!!カレイバーガー」ですね。鯖タツタ以来の「四角い白身フライ以外のフィッシュバーガー」という謎のこだわりと、カニバーガーの成功を踏まえたインパクトありすぎのビジュアル……。正直、「丸ごと!!カニバーガー」以上のインパクトある商品は出ないだろうと思っていた矢先の衝撃でした。

シリーズ最新作「丸ごと!!カレイバーガー」の身はフワフワで美味


浅田:最初はネタのつもりだったんですけどね。商品企画会議の直前に業者さんから「こんなのもあるよ」って見せられたのが、カレイの形はそのままで骨だけを抜いた商品。和食屋さんなんかで煮付けや唐揚げに使われるやつです。会議でこれを出したら笑いが取れるなと思って、とりあえず衣をつけて揚げてバンズにはさんで出してみたんです。私はその時点では味見すらしてませんでした。 

稲田:案外テキトーですね(笑)。 

浅田:そうしたらそれがバカ受けだったんですよ。「よし、これでいこう!」って。まさかこんなことになるとは……。

 稲田:浅田さんも浅田さんですけどほかの経営陣も大概ですね(笑)。実に素敵な会社だなぁ。 

浅田:それでもカニバーガーが2年続けて大ヒットした後で、正直かなりのプレッシャーがありました。2年前のカニバーガーと同じ日付の9月5日に満を持してリリースしたところ、その時期って競合各社がいっせいに「月見バーガー」をリリースするシーズンなんですよ。各社が「月見バーガー」でしのぎを削るそのときにウチだけ「カレイバーガー」。

 稲田:テレビ東京みたいだ(笑)。 

浅田:もうほんとウチだけマイペース(笑)。さすがにカニバーガーは超えられませんでしたけど、ずいぶん話題にもなって、おかげさまでかなりのヒットになりました。 


【ドムドムフードサービス取締役部長・浅田裕介氏】 ネットでもたびたび話題になる個性的商品を仕掛けてきた。社長の藤㟢忍氏をして「浅田さんの発想はとにかくすごい」と言わしめる



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