ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

三十路記念の旅 西と南の果てへ その10

2024-02-22 21:05:55 | 旅行(道外)2020~
2024年1月17日(4日目) ~マボロシ島~

本日はいよいよ日本最南端の有人島・波照間島へ渡る日だ。
狭い個室内で起床早々、船の運航状況を調べてみると―。

欠航は無し、全便「通常運航」。

ついに憧れのあの島へ渡れる。
心躍らせながら身支度をし、まだ消灯されている宿を静かに出発した。
なお旅行計画の段階で、航路が荒れやすい波照間島で一泊するのはリスクが高いと判断し、今回の訪問は日帰りとしている。
夜にはまたこの宿に戻ってくるので、着替えや与那国で買ったお土産は宿に置かせてもらった。
身軽になれるのが連泊の良いところだ。


午前7時すこし前だというのに、まだ日が昇っておらず薄暗い。さすが南の島だ。
昨夜語り合ったおじさんに教えてもらった近道を歩き、20分ほどで石垣港フェリーターミナルに到着した。


2024年現在、波照間島へ渡る唯一のフェリー航路は、同港に本社を置く安栄観光が受け持ち1日3便の運航。本日は午前8時の第1便で島へ渡り、波照間を午後4時20分発の最終便で石垣島に戻ってくる予定だ。
ターミナルの一番端の乗り場へ向かうと、乗船する高速船「ぱいじま2」が待機していた。
昨日見た小型船よりは数十倍大きく、揺れは幾分か軽減されることを期待する。

他の島々からポツンと離れた波照間航路は外洋に出るため荒れやすく、波照間島で検索すると「冬の欠航率は5割以上」「運が良くなければ渡れない幻の島」などという説明が目に入るが、詳しく調べてみると近年はそうでもないらしい。
確かに、かつては小型船のみの運航であったのに加え、2008年にはそのあまりの揺れで客が腰椎圧迫骨折を起こす事故が発生、以降、出航基準がかなり厳しくなったという話もある。
しかし今回乗る大きめの双胴船が導入されて以降は欠航が格段に減り、利便性は向上しているようだ。
(※かつての波照間航路の乗船記や事故についてはめえめえさんのブログが詳しい。)


午前7時50分、ターミナルの売店で念のため酔い止めを購入し、準備万端で乗船する。
思ったよりも座席数が多く広くて快適だが、船のサイズに対して利用者が少ないのだろうか、揺れが大きいと思われる船前方の数列は立ち入りが禁止されていた。
ターミナル内は朝から予想以上の人の多さだったが、ほとんどが観光地の竹富島・小浜島航路などへ向かったらしく、マニアックな波照間航路の利用者は少なめだ。

午前8時、船は意外にも大人しいエンジン音を響かせて定刻通りに出港した。
波照間島着は午前9時40分。約1時間40分ほどの船旅だ。



早いとも遅いとも言えない速度の船は、八重山の島々を望みながら大海原へ。
本日は天気が良いのでマシな方だと思われるが、確かに上下左右にゆっくりと大きな揺れが連続し、乗り物酔いする人には厳しそうだ。
船内のテレビを見ていると気持ち悪くなる予感がしたので、目をつぶったり外を見たりして過ごした。これだと意外と快適だ。

私は乗り物で酔ったことは無いが、船は乗船経験が少ないので未知数。
揺れる公園遊具で気持ち悪くなったことがあるため三半規管は弱めと思われる。修学旅行で乗船した竹富や西表航路では大丈夫だったが。
実は先ほど、ターミナルで酔い止めと一緒にポークおにぎりを買っているのだが、念のため今は食べないでおこう。



船後方のトイレに行くついでに船内を見物。
食料や配達物、新聞など石垣島からの便が一緒に積まれていた。離島ならではの光景が新鮮だ。
危険なのでデッキには出ることができないが、船後方の座席は横向きのベンチシートで、横になっている人も(船酔いでダウン中?)。大きな窓から一面の海を楽しむことができた。
船が立てる波に驚いているのか、時おり水面からトビウオと思しき魚がジャンプしていくのが見える。

次第に進行方向左側に、平べったい緑色の陸地がポツンと見えてきた。
あれが波照間島か。



船は大海原から一直線に波照間港へ進入。
防波堤に書かれた「ようこそ最南端の島へ」「南十字星が輝くぺぇ~ぬ島」などの歓迎の文字が見え、気分が高まる。天気も最高だ。


午前9時40分、定刻通りに港へ着岸。いよいよ波照間島へ念願の上陸となった。
小さなタラップの横で、すぐさまバケツリレー方式で物資の積み下ろし作業が行われていた。




だだっ広い波照間港には、来島者を歓迎する民宿やレンタカー/サイクル店の送迎車がずらりと並び、各自お手製のパネルを掲げてアピールしていた。
今日も自転車を借りて島内を巡る予定で、すぐにお店に行こうと思っていたのでこれはありがたい。
「レンタサイクル 西浜荘」とデカデカと書かれた古いエルグランドが一番わかりやすかったので乗せてもらう。確か港から2番目に近いレンタサイクルで、ちょうど利用しようと思っていた場所だ。

「ようこそ波照間島へ。ここは人口450人ほどの日本最南端の島です」
車に乗ったのは結局私ひとりだったのだが、スタッフの女性は丁寧な案内で、わずか数分の「民宿 西浜荘」へと送迎してくれた。
島生まれ、島育ちのおじぃが一人でこつこつ建てた宿泊施設なのだとか。

簡単な手続きで1日1500円のママチャリを貸してもらう。
電動自転車をお勧めされたが「与那国島を一周できたので大丈夫です」と断らせてもらった。
ちなみに今月は北海道からの利用者が既に私で3人目だといい、女性は驚いておられた。
みな台風シーズンを避けて来るからだろうか。


午前9時50分。最南端の日差しですっかり退色したママチャリを受け取り、まずは先ほど見れなかった波照間港のフェリーターミナルへ。
既に折り返しの船が出港後で人はまばら。ずらりと並んでいた来島者目当ての車たちは、先ほど私の送迎車が出発するのと同じタイミングで散り散りに消えて行った。なかなか面白い光景だった。



ターミナルの中は時刻表などの案内板も少なく簡素だ。
乗船手続きのカウンターと小さな食事処、お土産店があるのみ。
畳の休憩スペースはいかにものんびり南の島らしい。

さて、波照間島は面積13平方キロメートルほどで、ほぼ平坦な島のようなので自転車移動は楽勝だ。
今日の一番のお目当ては、何と言っても島の反対側にある「日本最南端」の碑。
その他、絶景という噂の「高那崎」「ニシ浜」なども押さえておきたい。島一周はどうしようか迷っているところ。
ともかく、帰りの船までは6時間以上ある。行きたい場所を気ままに巡ろう。


まずは島の真ん中にある集落を目指す。
先ほどレンタサイクルのスタッフも教えてくれたが、波照間島は中央が少し盛り上がっている地形のようで、集落へ向かうにはなだらかな坂を上らなくてはならない。
サトウキビ畑を横目に見ながら、海を背に坂道を漕いでいると驚いた。



ヒマワリが咲いている。
今まで見た事のない1月の風景に思わず笑ってしまった。しかも満開だ。
札幌では前日、寒波の影響で4~50センチの降雪があり、交通の便は大混乱だったようである。
「別世界」という言葉がぴったりだ。
今日も北海道民の日常とまるっきり掛け離れた風景が見れそうでワクワクする。


次回、島のあちこちに●●。
続く。
コメント (2)
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