式子内親王集 百首 恋
172 沖深み釣りする海人の漁り火の仄かに見てぞ思ひ初めてし おきふかみつりするあまのい...
式子内親王集 百首 雑
187 旅人の跡だに見えぬ雲の中に馴るれば馴るる世にこそありけれ たひひとのあとたにみえ...
式子内親王集 正治百首 春
202 峰の雪も又降る年の空ながら片方霞める春の通路 みねのゆきもまたふるとしのそらなか...
式子内親王集 正治百首 夏
222 桜色の衣にも又別かるるに春を残せる宿の藤波 風雅集 さくらいろのころもにもまたわ...
式子内親王集 正治百首 秋
237 転た寝の朝気の袖に変はるなり鳴らす扇の秋の初風 新古今 うたたねのあさけのそてにかはるなりならすあふきのあきのはつかせ 朝気の風に...
式子内親王集 正治百首 冬
257 神無月御室の山の山颪に紅くくる竜田川かな 新千載集 かむなつきみむろのやまのやま...
式子内親王集 正治百首 恋歌
272 導せよ跡なき波に漕ぐ舟の行方も知らぬ八重の潮風 新古今 しるへせよあとなきなみにこくふねのゆくへもしらぬやへのしほかせ 本歌:白浪のあとなき方に行く舟も風ぞたよりのしるべな...
式子内親王集 正治百首 旅、鳥、祝
旅 282 都にて雪間僅かに萌え出でし草引き結ぶ小夜の中山 みやこにてゆきまはつかにもえいて...
式子内親王集 雖入勅撰不見家集歌 千載集 新古今和歌集
302 眺むれば思ひやるべき方ぞ無き春を限りの夕暮の空 なかむれはおもひやるへきかたそなき...
式子内親王集 雖入勅撰不見家集歌 新勅撰 続後撰
329 如何にせむ夢路にだにも行きやらぬ虚しき床の手枕の袖 いかにせむゆめちにたにもゆきやらぬむなしきとこのたまくらのそて 新勅撰 330 誰が垣根そことも知らぬ梅が香の夜半の枕...