皇子尊宮舎人等慟傷作歌廿三首
189
旦日照 嶋乃御門尓 欝悒 人音毛不為者 真浦悲毛
朝日照る嶋の御門におほほしく人音もせねばまうら悲しも
190
真木柱 太心者 有之香杼 此吾心 鎮目金津毛
真木柱太き心はありしかどこの我が心鎮めかねつも
191
毛許呂裳遠 春冬片設而 幸之 【宇陀乃大野】者 所念武鴨
けころもを時かたまけて出でましし【宇陀の大野】は思ほえむかも
192
朝日照 【佐太乃岡邊】尓 鳴鳥之 夜鳴變布 此年己呂乎
朝日照る【佐田の岡辺】に泣く鳥の夜哭きかへらふこの年ころを
193
八多篭良我 夜晝登不云 行路乎 吾者皆悉 宮道叙為
畑子らが夜昼といはず行く道を我れはことごと宮道にぞする
右日本紀曰 三年己丑夏四月癸未朔乙未薨
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