香自禅心無
用火
花開合掌不
因春
和漢朗詠集 仏名
菅家文草 巻第四 279
懺悔會作 三百八言
一切衆生煩悩身 一切衆生煩悩の身
求哀懺悔仰能仁 哀みを求めて懺悔(さむくゑ)して能仁を仰ぐ
承和聖主勅初下 承和の聖主勅初めて下したまひぬ
貞観明王格永陳 貞観の明王格永く陳ねたまへり
内自九重外諸國 内は九重より外は諸国
起於万乘及黎民 万乗より起りて黎民に及ぶ
年終三日繋心馬 年の終に三日心馬を繋ぐ
天下一時轉法輪 天の下に一時法輪を転ず
發願以來五十載 発願してよりこのかた五十載
星霜如故事如新 星霜故きが如く事新なるが如し
我今爲吏居南海 我今吏となりて南海に居り
朝夕翹誠望北辰 朝夕誠を翹して北辰を望む
趨拜宮門或侫士 趨りて宮門を拜するは或は侫士ならむ
奉行制旨卽忠臣 制旨を奉行するは即ち忠臣なり
會之中間絶葷辛 会の中間は葷辛を絶つ
禪悦寒擎霜椀味 禅悦寒にして擎ぐ霜椀の味
遏伽曉指井華神 遏伽暁に指す井華の神
城中遍滿菩提念 城中遍満す菩提の念ひ
香出善心無出火 香は善心より出でて火より出づることなし
花開合掌不開春 花は合掌に開けて春に開けず
歸依一万三千佛 帰依す一万三千仏
經中佛名 経中仏名
体系279
※菅家文草は、
香出善心無出火花開合掌不開春
和漢朗詠集は
香出禅心無用火花開合掌不因春
令和元年10月29日 壱