新古今和歌集の部屋

平家物語 屋代本 安元の大火

 

巻第一
内裏焼亡事

同廿七日亥(イノ)剋斗ニ樋(ヒ)口

冨(トミノ)小路ヨリ火出來テ折リ節(フシ)巽(タツミ)ノ風吹ケハ大ナル車

輪ノ如クナルホムラカ三町五町ヲ隔テ乾(イヌイ)ヲ指テ飛越〃〃


焼行ハ京中多ク焼ニケリ。怖シナトモ愚(ヲロ)カナリ。或ハ良(ヨシ)相(スケ)

公西三条 北野ノ天神ノ紅梅殿。或ハ具(ク)平親王之

千種(クサ)殿、鬼殿、這松殿ヲ始トシテ昔今ノ名所廿余ヶ

所。公卿ノ家タニモ十六ヶ所。マテ焼ニケリ。ハテハ内裏ニ

吹付テ朱雀門ヲ始トシテ應天門、會昌門、豊(フ)樂院

諸司八省アイタム所ニ至マテ、一時カ内ニ灰燼(クワイシン)ノ地トソ成ニケリ。

其ノ外ノ家々ノ日記代々ノ文書七珎萬寶サナカラ塵灰(クワイ)

トソ成ニケル。其ノ際ノ費(ツイヘ)如何(イカ)斗ソヤ。人ノ焼死ル事ノ數


百人。牛馬ノ類(タク)イカスシラス。是只事ニ非ス。


屋代( )内は、ルビで朱字で加筆。区切りはページ。

本平家物語 角川書店 貴重古典籍叢刊 9  国学院大学図書館蔵

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