年ふればよはひは
老いぬ
しかはあ
れど
花をし見れば物
思ひも
なし
赤染衛門 年ふればよはひはおいぬしかはあれど花をし見れはもの思ひもなし
ナレーション 赤染衛門は、彰子の女房になっていた。
赤染衛門 この御歌は、女御様の御先祖の藤原良房公の歌にございます。良房公は権勢を誇る摂政であらせられましたが、歌詠みとしても名手にございました。
女房 帝の御渡りにございます。
古今集 春歌上
そめどのゝきさきのおまへに花か
めにさくらの花をさゝせ給へるを
見てよめる
さきのおほきおほいまうちきみ(藤原良房)
年ふればよはひはおいぬしかはあれど花をし見れはもの思ひもなし
意味:年を取ると齢は老いてしまう。そうであっても、桜花と明子中宮が栄えているのを見ているので、思い悩む事も無い。
備考:染殿の后は、文徳天皇の中宮で清和天皇の母で、太政大臣藤原良房の娘である藤原明子。