六月
廿日。天晴る。午の時許りに、御所に参ず。未の時、滋野井泉に御幸し了りて退出す。昨日の西行の歌、二首出され了んぬ。其の次で、公経卿、又宰相中将(良)の歌、出され了んぬ。予、今朝師重に問ひ、即ち勘へ送る。法性寺殿母儀、北政所従一位源の師子と。仍て之を書き直す。正光卿中将に侍りける、止むべき由仰せ下さる。此の歌、伊勢大輔集に入らず。僻事か。又、祐子内親王書き直し了んぬ。凡そ此の卿の撰歌の詞、散々なり。見及ぶに随ひて直すと雖も、見落す事此の如し。
小事ありて、大外記師重朝臣来談す。ー略ー
西行二首
不明
賀歌
祐子内親王家にて桜を
土御門右大臣
君が代にあふべき春のおほければ散るとも桜あくまでぞみむ 通具 隠
哀傷歌
従一位源師子かくれ侍りて宇治より新少将
がもとにつかはしける
知足院入道前関白太政大臣
袖濡らす萩のうはばの露ばかり昔忘れぬ虫のねぞする 通(尊経) 隠
雑歌上
参議正光おぼろ月夜に忍びて人のもとにま
かれりけるを見あらはしてつかはしける
伊勢大輔
浮雲はたち隠せどもひまもりて空行く月の見えもするかな 通
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