新古今和歌集 第九 離別歌
逢坂の關近きわたりに住み侍りけるに
遠き所に罷りける人に餞し侍るとて
中納言兼輔
逢坂の關にわが
宿なか
りせば
別るる人は
たのま
ざらまし
読み:おうさかのせきにわがやどなかりせばわかるるひとはたのまざらまし 隠
逢坂の関に私の家がなければ、遠くに行ってしまう貴方と再び会うことが無かったのだから、また今お別れしても又逢う坂なので、お会いできる日をお待ちしております
作者:藤原兼輔ふじわらのかねすけ877~933三十六歌仙の一人。従三位中納言兼右衛門督。加茂川の近くに家があったので、堤中納言とも呼ばれる。
備考:歌枕 逢坂の関滋賀県大津市逢坂 中納言兼輔集「女のまだあはぬほどに人のくにへいきけるに、逢坂なりける家をかりてそれより出でたちければ」、中納言兼輔集「ひんがしくにへくだるひとに」、兼輔集「あふさかの家かりてそれよりはるかたがいでたつに」とある。各本とも第四句は「わかれてのちは」
歌枕名寄、常縁原撰本新古今和歌集聞書