夏山 ほとゝ
に ぎす
聲 恋しき
ふり 人や
たてゝ 入りに
鳴く けむ
我やどの
池の
咲にけり 藤波
山ほとゝぎす
いつか来鳴
かむ
古今集巻第三 夏歌
寛平御時きさいの宮の歌合のうた
紀秋岑
夏山にこひしき人やいりにけむ声ふりたててなく郭公
古今集巻第三 夏歌
題しらず
よみ人しらず
わがやどの池の藤波さきにけり山郭公いつかきなかむ
このうたある人のいはくかきのもとの人まろがなり
露ながら
をりて
かざゝむ
匊の花
おひせぬ
秋の
久しかる
べく
古今集巻第五 秋歌下
これさだのみこの家の歌合のうた
紀友則
露ながらをりてかざさむきくの花おいせぬ秋のひさしかるべく
駒と 雪の
めて 夕
さ 袖うち ぐれ
野の はらふ
わた かげも
り
の な し
蛬鳴くや
霜夜の
さむしろに
衣かた
しき
ひとり
かもねむ
新古今和歌集巻第六 冬歌
百首歌奉りし時
藤原定家朝臣
駒とめて袖うち拂ふかげもなし佐野のわたりの雪のゆふぐれ
新古今和歌集巻第五 秋歌下
百首歌奉りし時
摂政太政大臣
きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかも寝む
新古今集歌
高き屋にのぼりてみればけぶりたつ民のかまどはにぎはひにけり
初春の初子のけふの玉ばゝき手にとるからにゆらぐ玉の緒
子の日してしめつるのべの姫小松ひかでや千代のかげをまたまし
君が世の年のかずをば白妙の浜の真砂とたれかしきけむ
わかなおふるのべといふのべを君が為万代しめてつまむとぞ思ふ
ゆふだすき千とせをかけて足引の山藍の色はかはらざりけり
君が代にあふべき春のおほければちるともさくらあくまでぞみむ
住の江の浜の真砂をふむたづは久しきあとをとむるなりけり
年ごとに生ひそふ竹の世々をへてかはらぬ色をだれとかはみむ
千とせふるおのへの松は秋風の聲こそかはれ色はかはらず
山河の菊の下水いかなればながれて人のおいをせくらむ
祈りつゝなを長月の菊の花いづれの秋かうゑてみざらむ
山人の折る袖にほふ菊の露うちはらふにも千代はへぬべし
神無月もみぢもしらぬ常磐木に万代かかれみねのしら雲
山かぜはふけどふかねどしら波のよする岩根は久しかりけり
くもりなく千とせにすめる水の面にやどれる月のかげものどけし
池水の世々に久しくすみぬればそこの玉藻も光見えけり
君が代の千とせのかずもかぎりなくくもらぬ空の光にぞ見る
住の江におひそふ松の枝ごとに君が千とせのかずぞこもれる
萬代をまつの尾山のかけしげみ君をぞいのるときはかきはに
相生のをしほの山の小松原いまより千代のかけをまたなむ
子の日するみかきのうちの小松原千代をはほかの物とやは見る
子の日するのへの小松をうつしうゑて年の尾長く君ぞひくへき
君か代にあへるはたれもうれしきを花はいろにもいてにけるかな
常磐なる松にかゝれる苔なれば年の尾ながきしるしとぞ思ふ
天の下めぐむ草木のめもはるにかぎりも知らぬみよの末々
わが道を守らは君を守るらむよはひはゆつれすみよしの松
高砂のまつもむかしになりぬへしなほ行末は秋の夜の月
七十ちにみつの浜松おいぬれと千代ののこりは猶そ春けき
くもりなきかゝみの山の月を見て明らけき世を空にしるかな
九谷
金星書印
石川県指定無形文化財 田村金星
明治29年 石川県旧松任市に生まれる
明治44年 小田清山入門、細字修行開始
大正13年 独立開業
昭和40年 小松市無形文化財
昭和51年 石川県指定無形文化財 九谷焼技術保存会会員
昭和62年 死去