百人一首改観抄
契沖
めぐりあひてみしやそれともわかぬまに雲隠にしよはの月かな
新古今集雑上はやくよりわらは友だちに侍
ける人の年比へて行あひたるがほのかにて七月
十日比月にきほひて帰り侍りけれはと有。わらは友
だちに年比へてあひたる誠に空行月のふたゝび
めぐりあひたるかごとし。されどしばしの對面に
てわかれければかれはもとみし人があらぬかと見
もさだめぬ心を其夜の月折しも十日比にてよ
は過る比くも隠して入ゆくによそへたり。わらはなる
がをとなになりぬれば面影もかはる物なればかく
いふ心も有べし。