しかし、いかんせん、男料理。無骨で雑、繊細さに欠けるのですが、それでもいいじゃないか。海や山の香りのする料理を紹介しようという思いになったのでございます。相撲のようなうちゃり勝負の料理が多いので、力技(ちからわざ)料理と名づけました。
僕の料理の原点は”母親の策略”にあります。高校2年生ぐらいのときでしょうか。当時食事をめぐり、家庭中で軋轢が生じていました。運動ばかりしている僕や姉は、肉や味の濃いものを食べたがりました。ところが逆に両親はあっさりし、地味な精進料理のようなものを好むようになってきたのです。両者の間に緊張が高まりました。
そこで食事担当の母親が出した結論は、「文句あるならあなたで作りなさい」というものでした。妥協点として、週に一回夕食を家族分作りなさい、2000円あげるからというのです。姉はあっさり降参して逃げました。しかし、僕は小躍りして受けてたちました。母親の策略とも知らず。
ここからが母親の偉いところだったのですが、包丁の使い方から、だしのとり方、料理のいろはを息子に丁寧に教えたのです。特記は、魚のを3枚に下ろす方法を伝授したのです。切り身より海辺では魚一匹買ってきたほうがはるかに安い。当然、2000円など使いきれないので、残りは僕のへそくりになりました。毎週毎週魚をさばき、どんどん腕が上がりました。
魚介料理への関心が高まったのは、海辺で生活するようになってからです。(葉山)のマリンクラブに住むようになり、ここに出入りする男どもから、目の前の海で取れる(海の)幸を料理する方法を習いました。タコ、イカ、貝類、海草、種々の魚など。無骨ですが、素材のいいところを生かした料理です。そして人を喜ばせる料理でした(彼らは女の子を口説くがもとてもお上手でした)。
前置きが長くなったので今日はこの辺で。美味しいもの食べましょうね。
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料理は目で食べるもの ある居酒屋の看板より